詩画・月見る月[渡月茫景]

2017-03-31 16:19:20 | 詩画

 
               渡月茫景

     種も仕掛けもなく
     みんな消えました
     
     取り違えたもの掴み損ねたもの買いそびれたもの消し忘れたもの書き損じたもの
     言いにくかったこと聞きにくかったこと勿体なかったこと明日でもよかったこと
     気にさわったこと

     掛け布団カバー敷布団シーツ土鍋ポータブルコンロ非常食命綱ヘルメットくるま
     ようちえんはつでんしょけいさつしょさいばんしょ物置
     間に合わせの空気
     
     教訓隠語類似語旧約新薬毒掃丸仏典私語日常語診断書保険証書いっさいがっさい
     茫言苦言雑言
     
     ああ、いとおかしき いといやしきこころ いとあわれなる御身 いとなまめいたる女
     いとややこしきことども

     ほら、ごらんのとおり種も仕掛けもありませんでした
     世界がまるごとのみこんでくれました
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山吹

2017-03-30 16:00:01 | 独り言
そろそろ鉄分を摂らなきゃいかんな、牡蠣が安いか見に行こうと思って外へ出たら黄色い霞、花粉とPM2.5だそうです。古都の空が汚染されている。

山吹の咲きたる野辺のつほすみれこの春の雨に盛りなりけり    
                        高田女王(万葉集巻8-1444)

山吹とつぼすみれ、そして雨、こんな景色に行き会いたい。春は桜よりも山吹の花色に惹かれるなあ。そこに可愛いつぼすみれ、1+1が100ぐらいになる満足感。
若山牧水の歌にも山吹は多くでてくる。この花色を楽しみながら牧水は

けふもまたこころの鉦を打ち鳴らしうちならしつつあくがれてゆく

そんな旅を続けたのかなあと憧れる。

ちなみに鍋用牡蠣(9粒入)は151円でゲット。まあ80%の満足感。
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もう一品欲しいなーカザルスと筑前煮

2017-03-28 18:09:31 | 独り言
ピクルスではない。パブロ・カザルスです。
風のない陽だまりのベランダ、暖かいコンクリートの上が、ルルちゃんの居場所となる。目を合わせると、そこで彼女の相手をしなければならなくなるので、戸を閉めて放っておく。
CDラックからベートーヴェンのチェロ・ソナタを選んだ。チェロの音に惹かれたのは、カザルスのバッハ「無伴奏チェロ組曲」を聴いてからです。そのチェロの音はあたたかい抱擁であった。一切を拘束しなかった。可能性という広がりを感じさせてくれた。カザルスのチェロを聴いていると余計な緊張が解けていく。安心という拠り所を得られる。
ベートーヴェンのチェロ・ソナタ第2番を気持ちよく聴いているときにふと思いついた。「筑前煮をつくろう」
ピアノとカザルスのチェロとが美しい旋律の対話を交わしていたからだろうか。
昨日の夕食のとき、何かもう一品欲しいなと思った。そして筑前煮を思いついたのだ。なぜ筑前煮かはわからない。おそらく昨夜から台所にある食材を無意識にあれこれイメージしていたに違いない。
出来上がった筑前煮は上々の味だ。申し分ない「もう一品」だ。今夜は贅沢な(?)食卓になる。ルルちゃんにはマグロとアジのレトルトを開けよう。
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詩画・月見る月[てふてふ舞]

2017-03-27 14:35:23 | 詩画


         てふてふ舞

     同じアホなら踊らにゃ ソンソン
     てふてふ君は
     やけのやんぱちです
     どないとなれ

     頭つかまれて
     腕ひっぱられて
     首根っこねじられて
          
     いろんなことがあったなあ
     騙されもしたが
     ずいぶん助けられたなあ
     世の中お愛顧か
          
     この世から出るには
     もうちょっと
     泣いて笑って
     里芋の葉っぱから落ちるように
     消えたいな
     
     翅は傷んでるけど
     まだまだ風はつかめる
     遠回りして帰ろう
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朗読して味わってみたい詩・「だるまさん千字文」

2017-03-26 22:19:29 | 
二日前に白隠さんのことを書きながら思い出していました。或る朗読会で<だるまさんがころんだ>と始まるこの詩をぼくは選び、その後も何回か朗読しました。
「だるまさん千字文」は矢川澄子さんの詩です。
子供の頃鬼ごっこで使った<だるまさんがころんだ>という戯れ歌から、矢川さんが「だるまさん」の一生をひらがな1000文字で綴った(10文字×100行)詩です。
だるまさんがたっちして、ころんで、わらって、おおきくなって、なやんで、けっこんして・・・死を迎える。これは人の一生の在り方そのものです。矢川さんは1000文字のなかに、いたわり、厳しさ、悲しみ、優しさ、同情、励ましなど、ぼくたちの日常の感情をそのまま、ひらがなことばで綴ってだるまさんに送っています。ぼくはこの詩は人に譬えた比喩ではないと思います。あくまで矢川さんが「だるまさん」に送った言葉だと思います。ぼくはそういう気持ちで朗読しますが、矢川さんのことばのリズムとか柔らかさ、包容力、それらが自然にぼくに送られているように感じてしまうのです。矢川さんの「だるまさん」に対する思いやりにジーンときてしまうのです。読めば読むほど「だるまさん」がぼくの中に入ってきます。
曲が付いていますが、ぼくはその人なりのリズムと感情で繰り返し読むこともお勧めします。
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