昭和初期に、活躍した亡き、日本映画史上屈指の天才監督のひとり、山中貞雄の
作品の2作品を観る。
『河内山宗俊』、『人情紙風船』である。
数少ない作品のなかで、「人情紙風船」が最高傑作品で遺作となっている。
公開されたのが、1937年(昭和12年)、私が生まれる15年前だから、母の胎内に当然
、誕生していない。その時代に、山中貞雄は、映画少年から、天才監督として、
活躍していたのである。
映画進行のなかで、時折、現れる、紙風船。
それは、なにげなく、さりげなく、何も語らず
どこか寂しげさを感じる。
紙風船。
長屋生活を描写した映画作品は、数多くあれど、
ものいわぬ紙風船に、託した作品への思いを託した。
山中貞雄監督。
偉大である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/27/368f9a2ce2f9f1f03e1b3308478b52c0.jpg)
(2点の作品は、タイトルには、直接関係ありません、あしからず)
戦争のため、28歳の若さで、旅たった彼を想うとき、
未来へ向けて溢れる創造力を、中断された悔しさ、悲しみは、
理解することが出来る。
最後の手記には「紙風船が遺作とはチト、サビシイ、友人、知人には、
いい映画をこさえてください」と遺された。
戦争とは、未来ある映画文化の担い手である巨人をも奪ったのである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/f2/9fd21e1f0dc67c47f0f022d7e351abdd.jpg)
天才映画監督 山中 貞雄
映画「人情紙風船」のキャスト
河原崎長十郎(海野又十郎)
中村翫右衛門(髪結新三)
山岸しづ江(又十郎の女房おたき)
霧立のぼる(白子屋の娘お駒)
助高屋助蔵(家主長兵衛)
市川笑太朗(弥太五郎源七)
市川莚司(猪助)
橘小三郎後の藤川八蔵(毛利三左衛門)
御橋公(白子屋久左衛門)
瀬川菊乃丞(忠七)
市川扇升(長松)
■ 追記
第33回日本アカデミー賞の授賞式が5日、都内で行われ、「沈まぬ太陽」が
に最優秀作品賞に輝き、
カメラマンの木村大作氏の初監督作として話題となった「剱岳 点の記」は監督賞など
6部門で受賞した。剱岳を応援してきた私にとっては、朗報である。
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