◆合理的なシステムを感じる(その1)
例えば、「給食」です。
S小は校舎の構造上、廊下も広く、教室の壁もない(※いわゆる「オープンスクール」)ので、給食を乗せる「ワゴン車」(台車)で給食を運ぶことができます。
これを児童ではなく教師が運べばいいので、給食を運ぶことで起きる事故はほとんどおきません(今のところ)。
また、給食を食べたとき、はじめはその「冷め加減」が気になったのですが、使用している食器(陶器製)を考えたら、児童や教職員のやけど防止、食器のこわれ防止という意味でも合理的かと思いました。
あと、これは個人的な感想になりますが、冷めていても美味しいのに驚かされました。
冷めてもおいしく作るのは、相当の研究をされたのかと思うと、各学校に栄養士を配置し、「自校給食」を実現している市教委の姿勢は、評価してもいいのかなと思います。
残菜が少なくなるよう、教職員が様々な手立てを講じていますが、S小の場合、それがくどくなくていいなと思いました。
「S市の学校給食」といえば、近隣でも「おいしい」ので有名ですが、理由はともかく、その体験はさせて頂いています。
学校給食で「冷めていても立っているお米」を食べたのは初めてです。
混ぜご飯やピラフ系にしても、お米が立っているのです。
そんなことに感動してしまいます。
「やはり、自分は日本人なんだな。」と思わされます(笑)。
◆合理的なシステムを感じる(その2)
もう一つが「校歌」です。創立25年目と「若い学校」なので、校歌も時代を表しているものと考えます。
それはともかく、全校で「三部合唱」でこの校歌を歌っているのです。
それが「きれいな歌声」なのかどうかはともかく、「三部合唱に親しませよう。」ということで、「三部合唱」にしているとのことです。
あれやこれや、合唱コンクールなどの行事が近づいてから教えるのではなく、日々、親しんでいる校歌で歌ってもらう、低学年は聞くだけだったり、主旋律だけだったりしても、学年が上がるごとに「『合唱』にふれる機会が増える。」わけです。
教育の大きな側面の一つに「慣れる」(慣れさせる)というのがありますが、その場をどう提供するか、その工夫に終わりはありません。
それを合理的に行うシステムは、日々「学校の先生」は探し続けていると思います。
「三部合唱を小学校の全ての児童に教えるなんて、無理だ。」という意見もありますが、そういう声に対して、S小は「要は『やり方』『親しませ方』の問題だ。」
と、一笑しているように思いました。
(ちなみに、多くの学校では「校歌斉唱(せいしょう)」と言うのに、S小では「校歌合唱(がっしょう)」と言うのだそうです。)
◆S小での私の立場
私こと、今年度は「日本語指導」ということで、S小の大きな特徴の一つである、いわゆる「外国籍児童」への「日本語指導」を行っています。
といっても、実際には多くの児童が、こども園(幼稚園、保育園)にて、日本の子ども達と交流してきており、実質、日本語を「話す、聞く」では、日常的に問題ないといえます。
ですから、どちらかというと日本語を「読む、書く」という指導をしています。
児童の実態や今後の指導の方針については、個人情報もあるので、これくらいにしておきます。
以下、述べることは、特に取り扱いに気をつけて頂くよう、お願いします。
実は「外国籍の児童」のほとんどは、母国が「アフガニスタン」(アフガニスタンを「アフガン」と呼んでもいいそうです。)になります。
国際情勢的にも決して、「安全」とはいえず、現在の政権を掌握している組織が、宗教上の理由から、女性に対しても相当厳しく接しているようです。
児童に保護者が現在の母国の状況についての考えなどを聞くのは、ご法度ではないけど、本人の気持ちを考えたら、こちらからはとても聞くことができません。
一度だけ、数名の方に日本(S市・S学区)に住んでいる感想を伺ったら
「ともかく、平和でありがたい。」
このことに尽きる、そんな感じでした。
どういういきさつで「アフガン」の人々を日本政府が受け入れたのかはともかく、受け入れたS市も「英断」だと思います。
(S学区の人の考えはともかく、今年度は、アフガンの方でPTA役員を引き受けて頂ける方もいるとのことです。)
そういえば、「アフガニスタン人」「アフガン人」と呼ばず、「外国籍の」と、表現しているのは、あえて「多国籍」とぼやかして、「国を特定させない」ようにしているというのもあるそうです。
(いくら、日本とはいえ、現政府を掌握している人たちに、わざわざ「日本のここにいますよ。」という必要はないですから。)
私自身は、S小に通う目の前の「アフガン」の子ども達が、将来、アフガンと日本の交流が深まるにあたり、重要な存在になりえると信じています。
彼らが母国に戻るか、日本に残るか、いずれの場合でも、ある意味で、私自身「きわめて難しい外交的なミッション」に取り組んでいると自覚しています。
彼らが日本での生活、教育を楽しんでもらえるかどうかがその後を決めるのは、例えればティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使を見れば、想像できます。
現在の国内の少子化問題の解決に向けても、S小での取り組みが、一つ大切になるとも考えています。
◆ひとまずここまで。
今回、「10年ぶり」に転勤したことで、様々なことが変わりました。
(S小の職員の方には、「10年も一つの場所に勤められたのですか?!」と大いに驚かれた人もいました。)
約1時間だった通勤時間が「15分程度」になり、寝坊する心配が激減したことも一つです。
その分、住んでいる市内に勤めることで、ある種の責任感も増えたと思います。
まだまだ、「S市の教育のあり方」全般にまで、考えは及びませんが、今後、時間が経つごとに、市民ネットのみなさんに、何らかしらの情報提供ができたらいいかなと思います。
それでは、いったん、終わりにします。(未完)
-K.O-