い・ち・に・ち

明日が今日になって昨日になるような毎日

記憶

2016-12-18 | いちにち
子供の頃
引越しをして
見知らぬ街に住んだ

以前から
仕事をしていた母の
帰り道が
心配だった

ある日
大通りに面した
路地の角で
母の帰りを待った

夕暮れ時
顔を出しては危ないほどの
歩道のない車の行きかう場所で
電柱に身を隠したまま
覗き込む視界が

突然
見下ろすような
パノラマに変わる
足元にあるのは電線で
空の中だと気付いた

このままでは
雲に入ってしまう
手を合わせお願いした

 どうか おろして下さい

母の声で
地面にいることを知った
誰にも告げることなく
新しい土地にも慣れた

だけど
もう一度
不思議な体験をする事になる



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