波乱の海をぶじ目的地へ

現世は激しく変動しています。何があるか判りませんが、どうあろうと、そんな日々を貧しい言葉でなりと綴っていけたらと思います

パパの頭を滑る。

2012-03-30 11:31:51 | 童話



 [パパの頭を滑る]


 うちのパパは頭が禿げていて毛が少ない。
 夢で私は、パパの頭をスキーで滑り降りていた。少ない髪の毛は、
夢では、少ない小さな木になっていた。小さな木の間をぬって、滑
り降りるのは気持ちよかった。何度も転んで、雪の面に凹凸を作っ
たりした。

 朝起きると、パパは頭が痛いと言った。
 私はびくっとし、隠れてパパの前には出ないようにしていた。
 ママは、
「あんなに遅くまで、飲んでくるからよ」
 と言ってパパをとがめた。
「だって、付き合いだからしょうがないよ」
 パパはそう言って、たいぎそうにしていたけれど、遅刻して会社
に出かけて行った。
 猫のタマコは、悪さをして怒られたときみたいに、遠くから顔だ
けパパに向けて見ていた。
 私はそのタマコを見ていた。
「パパはもう行った?」
「OK」
 タマコはそう言って、毛づくろいをはじめた。私はほっとして、
リビングルームに出ていった。
                          おわり







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