[パパの頭を滑る]
うちのパパは頭が禿げていて毛が少ない。
夢で私は、パパの頭をスキーで滑り降りていた。少ない髪の毛は、
夢では、少ない小さな木になっていた。小さな木の間をぬって、滑
り降りるのは気持ちよかった。何度も転んで、雪の面に凹凸を作っ
たりした。
朝起きると、パパは頭が痛いと言った。
私はびくっとし、隠れてパパの前には出ないようにしていた。
ママは、
「あんなに遅くまで、飲んでくるからよ」
と言ってパパをとがめた。
「だって、付き合いだからしょうがないよ」
パパはそう言って、たいぎそうにしていたけれど、遅刻して会社
に出かけて行った。
猫のタマコは、悪さをして怒られたときみたいに、遠くから顔だ
けパパに向けて見ていた。
私はそのタマコを見ていた。
「パパはもう行った?」
「OK」
タマコはそう言って、毛づくろいをはじめた。私はほっとして、
リビングルームに出ていった。
おわり
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