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高齢者になっても、ヒマ・ひま・暇やはり暇

高齢者「さいら」ブログ。リタイヤーから、晴れて高齢者の仲間入り。店名をマイナーチェンジ。内容は以前と同様雑他。

無線の思い出

2005年09月26日 | 今日の話題
或る漁業無線局
何時もコメントを下さる「ちかま」さんは趣味としてアマチュア無線をされています。「さいら」はアマ無線の世界は知らないのですが、仕事関係で無線について幾つか聞いた話などがあり、今日はそれを思い出しながら、記事にしようと思いました。
昔、無線局が併設されていました。当然無線免許を持った方も数人おられました。無線局ですから、24時間体制です。夜遅く遊びに行っても誰かがワッチしていて歓迎してくれました。仮眠できるところもあります。そう言う訳で、よく遊びに行きました。
 その局の時計に特徴がありました。12と1と中心点を結んだ扇形のところは赤色で塗りつぶされています(あやふな話です。もう一カ所有った様な気もします)。これは、その間は通常電波を発してはいけない。「沈黙」の時刻帯だそうです。世界中の無線電波が止まる訳です。と言っても、その間職員は遊んでいるのではありません。注意深くワッチはしています。緊急通信のための「静寂な時刻帯」だそうです。
 1通の方も居られて、その方の話です。1通の実技試験になると、努力の域は出てしまうそうです。その方が嘆いていたのは、「それが出来たばかりに(当時は1通の方が花形だったそうです。)一級無線従事者を取らなかった。(確か2級は自動的にくれる様でしたが)今じゃ(と言っても数十年前ですが)そちらの方が潰しがきいたのに。」その送受信風景・話を今も忘れることが出来ません。受信機から音が流れて来ても直ぐには筆記とかタイプを打ちません。「さいら」にとっては暫くしてから始めます。その間頭の中がどうなっているのか不思議でした。モールス信号は英語と日本語があると言うことです。そして、それを聞き分け、打ち分けるそうです。最初少しだけ聞くと、自然に英語か日本語か分かるというのです。それが分かると、頭の中は英語の単語か日本語の単語が間違いなく出て来るそうです。驚きました。それと、受信していると誰が送信しているかも分かるそうです。それぞれ人によって癖があるそうです。彼らにとっては正に会話をしている様な感じです。それらもはるか遠く日本の裏側からの聞き取りにくい「電波で」です。
 年賀電報の頃になると電報用紙にタイプします。年末恒例の風景で、テレビでも映りました。多分電電公社から委託されていたのだと思います。何処かで話した様に思いますが、そのカタカナ タイプライタの活字が90度横を向いていて、打っている間は素人には何を打っているのか全く分かりません。洋上からの年賀電報は結構長いのです。しかし、打ち上がったものを見ると縦書きで読める様になっていました。昔の電報はその様なタイプライタで打って、配達された様です。
 どうしても電波が届かない時は「船間中継」をして貰い、それを電波が届くところにいる船から送信して貰うそうです。勿論逆の場合もあります。モールス信号での通信は業務として今では殆ど使われていないそうです。しかし、アマチュア無線の世界では「ちかま」さんにお聞きしたところでは健在のようです。

漁船の無線局
 遠洋とは言わなくても遠くへ行く漁船には「通信士」が乗船しています。日本近海ですと、資格は2通ぐらいで充分だったと思います。これは約10年ほど前にイルカの調査で気仙沼から高知沖まで一ヶ月ほど航海した時の思い出話です。400トン位の漁船をその目的のために乗組員と共に傭船したものです。ですから、実際の操業は全くしませんが、漁船という特殊な職場環境での話です。今では衛星通信ですが、未だモールス信号も使っていました。通信は何時も確保しなければなりませんので、当然24時間ワッチです。しかし、通信士は一人しか乗船していません。通信士兼無線局長です。漁船は大体そんな感じだそうです。ですから、寝室は、無線局の中の通信機器でいっぱいの局の中のベッドです。一人ワッチですから、睡眠中と言えどもそこを離れることが出来ません。何時緊急無線が入ってくるか分かりません。執務室兼寝室です。幾ら一人勤務と言っても、何時も何時も通信をしている訳では有りません。しかし妄りに持ち場を離れる訳には行きません。そのような雰囲気的にも、何となく「学究肌」の人が多いと思います。漁師という感じが全くしません。船舶電話も当然備えているのですが、これは電話賃が要りますので、一般的な業務通信は当然無線でします。天気図や天候の情報・航海安全のため海保等から出される情報等の収集も通信士の役目です(最近は一部自動化されています。)。それらの他に日常の会社からの連絡事項、社会・スポーツ等のニュースも船内の廊下に掲示します。これらは少し装飾図柄なども入れて目を惹くようにしています。台風が発生したときは、その情報を元にして、判断されます。
 実際の漁業をしている漁船の場合は、操業に重要な、海流・水温等のデータ、他の漁船の漁模様や操業位置などの情報を取得することも大切な役割です。漁船からの情報は結構「がせネタ」が多くて、その点も考えなければなりません。漁船の場合、その船の中で一番偉いのは船長ではありません。「漁」に責任を持つ「漁労長」が一番偉い人です。船長・機関長などは一応運航上の資格をを持っていますが、それだけです。実際は小間使いみたいなものです。「漁労長」の言う通りに危険を顧みず、操船しなければなりません。漁労長の腕次第で、乗組員の給料が決まります。この職は特に資格が要る訳ではありません。船舶免許を持つ必要もありません。昔は現場でのたたき上げの漁師が行っていました。「カンと経験」の世界です。しかし、漁労長も情報無しでは身動きが取れません。一方、全ての情報は無線局に集中します。その漁労長に操業に必要な情報を提供するのも通信士の大きな役目になる訳です。出来る通信士は「それらの情報と漁労長の次の操業の判断」を学んでいく訳です。そうして段々と漁場のこと、漁のことを覚えて行きます。その結果、通信士は経験を積んで、漁労長になるケースが多くなっています。何人かの漁労長に前職を聞きますと、圧倒的に「局長さん」が多い訳です。漁業もそう言う時代に入ったと言えます。

シーバ組
 ここでは日帰り程度の沿岸漁船の話です。これらの漁船は、音声で交信する無線機と最低限の資格を持っています。出航するときから帰港するときまで、その無線機のスイッチは入れたままです。ブリッジにいると、エンジンの音とその無線から流れてくる「会話」に満ちています。その話の内容は全く意味不明です。しかし、それに受け答えしているところを見ると、漁師には分かっているのでしょう。時には、「カラオケ」が聞こえてきます。大体漁師はカラオケが旨いです。潮風のためかだみ声ですが旨いです。
 その無線電話ですが、合法かどうか知りませんが、2,3機搭載しています。一つは漁協や他の漁船との連絡用です。問題はそれ以外の無線機です。操業するときに仲間の中でお互いに連絡し合うための無線機が有ります。同じ周波数だと思うのですが彼らは「同じ石」と言います。そのグループを「シーバ組」と言います。そう言う組が幾つかあります。例えば、思わぬ魚群に或る漁船が出くわしたとします。その時にはその「シーバ組」の間で連絡します。他のシーバ組には連絡をしません。他にも操業上のトラブルなどが有ると、まずその所属するシーバ組が応援に来ます。全く非公式なグループですが、「強い絆」で結ばれています。私どもは、どうしても緊急に連絡しなければならない時、末端まで周知徹底しなければならないときにはそれぞれの「シーバ組」の組長に連絡若しくは非操業日に集まって貰います。その席でそのシーバ組の組長の合意を取ります。なかなかすんなりいかないのですが、そこで合意を取ると、しめたものです。その効果は覿面です。漁協の長を集めて話すよりも効果的です。電話無線機の利用方法の一つでした。

暗号文
 今では洋上の船舶と通信するのも、電話・ファックス・データ通信がありますが、この話はそう言う手段がない、今から30年ほど前の話です。もう、今となっては時効ですし、鮭鱒の沖合漁獲は衰退しています。釧路に滞在していたときの話で、当時鮭鱒漁業が未だ盛んなときです。鮭鱒漁業の基地である釧路に臨時的に監督官事務所を置いて、洋上の数隻の監督船と連絡をします。その事務所は他にも重要な業務(麻薬Gメンの漁業版ようなものです。)があるのですが、洋上の監視船に現状と方針を伝え、監視船からは現場の情報を入手することにより円滑に操業を行い、違反操業がないようにすることが大きな目的です。その事務所には他にも職員がいますが、上席と末席の「さいら」が中心です。この通信文の送受信は他の職員には任せることが出来ません。上席が電文と言うか、指導文を作って「さいら」はそれを中継する局へ送信(と言うよりは電話です。)する役割でした。勿論モールス符号でなくて、イロハの「イ」、アサヒの「ア」・・・で送ります。その局からその文を監視船に無線で送付します。受けるときには洋上の監視船から無線局へ。無線局から同じようにして事務所が受けます。無線ではなくて電報の様なものです。
 問題はその通信です。2種類有ります。一つは「平文」で他の一つは「暗号文」です。上席がその判断をします。無線ですから「傍受」されても仕方がないので、時には「暗号文」でする訳です。「暗号文」の時は「平文」を「暗号文」に変換するのも「さいら」の仕事です。暗号文は非常に注意深く送受信する必要があります。最初から読んでも意味は通じません。幾らイロハの「イ」というような方法でも丁寧に送受信しなければなりません。しかも、その文章は長いのです。一通り送信が終了すると、局から「以上。何年何月何日何時に○○字送信しました。」それでお互いに字数をチェックします。送信側と受信側との字数が合えば余り問題はないのですが、そう言うケースは余りないのですが、合わないときには大変です。どちらも同じ電報用紙を使っていますので、最初のページから、そのページの末尾の「字」が一致するかどうかを順次確認し合います。末尾が違うところで、そのページの最初からもう一度確認して、そのページから送受信をやり直します。送受信した年月日も非常に重要です。電報用紙ごとに暗号化しますので、やむを得ません。
 意味が分からない字を読んだり書いたりするのは大変です。実は、そうは言っても、ここは「多分」です。その暗号文も操業船に傍受され、解読されている可能性は有ります。そんなに難しい暗号化ではありませんから。では何故「暗号文」で送信するかと言いますと、「暗号文」で送信した内容は、上席の非常に強い意志を現していて、それを傍受・解読されても、業者は、上席の強い意志を読み取り、操業の牽制になっている訳です。

アマチュア無線
 ちかま 様・mizu 様
 中学生の頃ですが、ラジオとか無線に興味がありましてコメントを頂き昔を懐かしく思い出しております。有り難う御座います。コメントの返事は今晩と言うことで、取りあえず、思い出したことを忘れない内にと思い記事にしました。勝手なところにトラックバックさせて頂きましたが、不愉快に思われませんように。鉱石ラジオから始まって、並3・4ラジオなどを造った記憶が思い出されます。しかし、どうも配線図と実際に半田付けする時の配線との違いが理解できなかった様です。
 オリンピックなどの中継放送は短波を使っていたのでしょうか?中継アナウンサーの声が大きくなったり、小さくなったり、かすれ声になったりで、如何にもはるか遠くから中継しているのを実感しました。当時の一番易しいアマ無線でも、記憶違いかも知れませんが、モールス信号の実技が有ったように思います。それを習いに行く機会がなくて、その内にアマ無線への興味も薄れてしまいました。
 中学3年生の時の卒業文集に、「20年後の私」と言う題で、アマ無線を書いたことを思い出します。同級生が外交官で米国滞在中。「さいら」がエンジニア。のシチュエーションで、昔と今を比較しながら、アマ無線で語り合うというような作文でした。先生方には好評でした。ですから、当時の同級生はアマ無線の資格をてっきり取ったものと思っていたようです。今更ながらに、もう少し頑張ればと悔いています。


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