羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

ルパン三世 6

2015-12-04 20:41:10 | 日記
「うっそっ! マジ?」ワイン庫の錠を開けようとしている不二子に気付いた。
会場ではカップル客が熱烈にキスをし始め「当て付けかぁ?」とルパンを憮然とさせていた。不二子は集中してダイヤル錠を開けようとしていたが「うん、了解!」突然後ろからレベッカの声がして驚いて振り返った。レベッカがスマホで話していた。「ありがとうロブ」通話を切ったレベッカは不二子の横に割って入り、ダイヤル錠に手を掛けた。「右に3、左に5っと」錠を開けたレベッカ。レベッカは屋敷ごと買い占めて番号を聞き出していた。「あのワインの為に?」「違う、あなたに勝つ為!」「負けず嫌いもそこまでくると病的ね」不二子は当然のように自分が先にワイン庫のドアを開け、素早く中に入った。
「あっ! ズルいっ!」追うレベッカ。「私が先っ!」「早い者勝ちよ!」競ってワイン庫を走る二人はラベルと同じ焼き印の樽を見付けた。不二子は樽に手を伸ばしたが、途端に頬を赤らめ、トロンっとした表情になった。レベッカもやはりトロンっとした顔になる。オークション会場ではルパン以外のカップル客が熱烈にイチャ付き出し、異様な光景になっていた。(まさか?!)ルパンはテーブルに走り、置いてあるボトルのラベルを剥いだ。ラベルの下にはもう1枚ラベルが貼られており、それは『恋煩いの豚』のラベル。一方、既に不二子とレベッカの姿の無いワイン庫に、痩せた男が現れ『恋煩いの豚』の『樽』の前に立っていた。
ルパンが事態を察し、不二子達も件のワインを呑んだことを思い出していると「ルパ~ンっ!」不二子が抱き付いてきた。「不二子っ」「こんな所出て、二人で楽しみましょう!」ルパンの腕を取り、会場から連れ出しに掛かる不二子。と、館の隔壁が落ちて二人の行く手を遮った。「捕まえた! この屋敷買っといてよかったぁ!」レベッカが壁の操作盤の
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ルパン三世 7

2015-12-04 20:40:57 | 日記
スイッチを押していた。「あたしのダーリンから離れてぇ!」ルパンの左腕を取るレベッカ。「いーやっ!」ルパンの右腕を引っ張る不二子。「わぉっ!」一時、喜ぶルパンだったが「じゃなくて! しっかりしろぉっ!」と怒鳴り付けるがすぐに二人に抱き付かれた。「あなたこんなにいい男だった?」熱い目で見てくる不二子。「いいから、離れろ! ホントに襲っちまうぞ?!」不二子に怒鳴り、レベッカを軽く脅すルパン。「ルパンなら大歓迎だよ?」脅し、効果無し。
ルパンがため息をついていると、サイドカーに『樽』を乗せた痩せた男が走り込んできて、ルパン達の前で急停止した。「どうして出口が?!」下ろされた隔壁に驚く男。「お前は?」「ああ、さっきの兄ちゃんか。効果覿面のようだな」「お前が客に『恋煩いの豚』を?!」男はセキュリティにもワインを呑ませるつもりが先を越されたと笑った。「お嬢さん達にも感謝するよ、簡単に『彼女』を取り戻せた」『樽』を撫でる男。「まぁ、楽しめ」男はサイドカーで去った。
「いいのか? お宝奪われちまうぞ?」「今はルパンの方が大事だもん!」離れないレベッカ。「狙った獲物は逃さないってのが、泥棒ってもんだろが?」「それがあなた好みの女なら、ルパンの為に頑張っちゃう!」不二子は男を追い掛け出した。「じゃあワインを手に入れた方が、ワインをゲットってことでっ!」レベッカも続く。「今度は俺の為にお宝がダシに」ルパンが頭を掻いていると、最初に廊下で不二子を連れていることに悪態をついてきた男達がルパンに殺到し出した。「素敵な揉み上げ!」「可愛いお猿さんっ!」媚薬ワインの効果がルパンに対して現れたらしい。「俺っ?!」揉みくちゃにされるルパンだった。
痩せた男はサイドカーで窓ガラスを突き破り、外へ飛び出した。そのサイドカーの後部に
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ルパン三世 8

2015-12-04 20:40:45 | 日記
レベッカが飛び乗ってきた。「何っ?!」「ご免なさいすれば、許してあげてもいいけどぉ?」男はサイドカーを激しく蛇行させ、レベッカを振り落とした。「いったぁっ、もうっ、絶対に許してやんないんだからぁ!」怒るレベッカ。男は構わずサイドカーを走らせたが、タイヤを銃で撃ち抜かれ、「おわわわッ?!」サイドカーを転倒させ『樽』も跳ね落ちた。「今度はタイヤじゃ済まないわよ? あなたの負けよ」倒れた男の前で銃掲げてみせる不二子。「それはこっちの台詞」背後から不二子に銃を向けていたレベッカ。
「乱暴なんだからぁ、『樽』が割れたらどうすんのぉ?」「細かいこと気にして、つまらない女ね」「何を言おうと、これでルパンはあたしのモノ。てゆーか元々あたしのモノなんだけどね、『結婚』してるし!」「形だけはね」振り向く不二子。「選んでもらえなかった、女の負け惜しみにしか聞こえないけど? 悔しいんでしょ? 自分の居場所、奪われて」「あなた、誰かを本気で愛したことある?」質問に、ほんの一瞬戸惑ったレベッカ。その隙に不二子は蹴りでレベッカの銃を払い落とした。銃を突き付ける不二子。
「どんなに遠くに居ても、互いを感じて、思い出す度に魂が震えて熱く溶けるような、そんな相手」「それがルパンだっていうの? アクセサリーはファッションに合わせて変えるもんでしょう? そういう重いのとか、マジ勘弁だし!」「可哀想に、軽くて、薄っぺらい愛しか知らないのね」レベッカがムッとして言い返そうとすると「はいっ、そこまでぇ!」ルパンが『樽』に足を掛けて現れた。「この勝負、俺の勝ちってことで!」ボロボロのジャケットとスラックスを無くしてパンツ一丁のルパン。「何その格好?」「ちょっと脱出に手間取ってな」レベッカに答えるルパン。時計に仕込んだワイヤーで逃げる際、スラックスを男達に掴まれ、スラックスだけ残して
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ルパン三世 9

2015-12-04 20:40:33 | 日記
逃れていた。ルパンは痩せた男が落ちたレベッカの銃を取ろうとすると、その手の上に『樽』を落とした。「ぬぁああーッ?!」慌てて挟まれた手を引く男。「ガリガリのおっちゃんよ? アンタが『恋煩いの豚』を狙う謎が解けちゃったんだけど?」既に大量に媚薬ワインを持ち、『樽』を『彼女』と執着していたことを指摘するルパン。「こいつは製造主、グイド・シーザレオだ」冷や汗をかくグリド。「めっちゃ痩せてんじゃんっ!」媚薬は妻ミミの調合によるものだった。「失踪したのも媚薬のことで揉めたからか?」『樽』を軽く叩くルパン。
「結局、『樽』にどんな秘密があった訳?」「そんなこともわからないんだ?」ワイナリーの倒産時期、伯爵のワインの保存方法。「あっ!」理解したレベッカは『樽』に駆け寄り、蹴り割るレベッカ。中から赤い液体が飛び散る。ミミの死体も露となった。へたり込むグイド。「ミミっ、許してくれ」グイドは泣いた。「なんで媚薬が効いてないの?」呑んだはずのルパンが平然としていることを不思議がる不二子。「そんなこともわからないんだ!」ここぞとばかりに言い返すレベッカ。
「ルパンは最初から世界中の女に恋してるんだから」レベッカの言い様に不二子が知った風な口を利くと、また反目し出すと、ルパンは「二人とも特別な女なんだからよ?」と納めに入った。「選べないなら」上目遣いの不二子。「どっちもってチョイスもありよ?」囁くレベッカ。「もう我慢できなーいっ!」跳び付くルパン。これに実は媚薬効果の切れていた二人は手酷くルパンを蹴り倒し、揃って去って行くと「女のプライドを保つのは大変だぜ」と呟くルパンでもあった。
「本気で愛したこと、あるの?」不二子言葉を思い出すレベッカ。(何なの? イタリアの夢って)少女と親しいような顔のはっきりしない男、古びた本。記憶の断片がよぎっていた。
・・・ルパンもイタリア男風。解説多めでもあった。