川塵録

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宗教法人に「公益性」は要求されない

2024年03月13日 | 法律・海外法務
家庭連合の解散騒ぎで、文科省は、「高額献金のトラブルがたくさんある、被害が甚大だ、これは公益法人に求められる公益性に反する、だから解散だ!」と息巻いていらっしゃいます。

え、そもそも宗教法人に公益性が要求されるのでしょうか。

否。

理由は、宗教法人法6条。

第六条 宗教法人は、公益事業を行うことができる。 

任意的なんですね、「公益事業」を行うか否かは。

そもそも宗教法人は、宗教法人法2条に定める

  1.  宗教の教義を広める
  2.  儀式行事を行う
  3.  信者を教化育成する

の3つが主目的と定められている。要するに宗教事業。これを公益事業とは言いません。

税法上? いちおう「公益法人」ってことになっていますが、特に「公益性」が求められているわけではない。

それは、立法の経緯、宗教法人の設立に関する以下の歴史的背景からも、説明できます。

すなわち、
  1. 戦前:宗教団体法=認可主義 ←公益性から
  2. 戦後:宗教法人令=準則主義 ←株式会社と同じ
  3. 現行:宗教法人法=認証主義(「一種の準則主義」)
…こういう流れにあります。

つまり、戦前は、宗教団体に公益性が要求されていたから、「認可主義」だった。お国の認可がないと、設立できない。

敗戦直後、「準則主義」になった。だれでも簡単に宗教法人を設立できた。

その後、あまりにも宗教法人が濫立されすぎたから、6年くらい経って、やや今の「認証主義」になった。必要書類あれば自動的に認証される。

ま、「一種の準則主義」なんです。設立は緩いんです。お国が公益性を認めて厳密に、、ってことじゃないんです。

だから、今、日本に、宗教法人が、18万も、あるんです。

こういう、歴史的な立法の経緯からも、「今の宗教法人法は、戦前の認可主義の時代と違い、公益性を重視していない」といえるんです。

 以上、『宗教法人法の基礎的研究』274-283頁。

なお、同様の説明は文科省のサイトにもあります。(認可主義と準則主義と認証の表現あり)

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