ハードディスク・レコーダーの容量が一杯になりそうなので、昨シーズンのゲームの録画を消去しつつある。消去しながらもちょこちょと試合を見ていると、本書に書かれているフィンケ監督を迎えた09シーズンの記憶がリアルに蘇ってきた。今シーズンの参戦へのガイドとしてはよい本だと思う。
という思いとある意味、逆になるのだが、いちばんはっとしたのは、74ページの記述にある監督のコメント。
「すべてのチームが同じシステムでプレーして、いつもそれぞれの選手が固定したポジションでプレすることになると、最も優れた選手たちを揃えるチームが順位表でトップにいることでしょう。そして、あまり強い個性を持たない選手たちがいるチームは下位に沈む傾向になる。しかし、これではサッカーの可能性がなくなってしまいます」
フィンケ監督はドイツで教師をしていた人だが、クラブ監督としての能力を発揮してフットボール界で活躍してきた。そうした出自が影響しているのかはわからないが、このコメントからは、自分の率いるクラブだけの隆盛というより、その国のフットボール環境全体のほうに視点があるように思える。新たな視点を日本のサッカー界に持ち込んでくれること、それはそれでよい。しかし、この監督で浦和も強くなって欲しい。その二律背反(になるのか?)を、しばらく楽しんでみたい。