四旬節の間の金曜日の夜に「十字架の道行き」の祈りがあります。
ローマ総督ピラトの死刑の判決の後、イエス様は重い十字架を背負わされ、刑場のゴルゴダの丘の上まで歩くのです。その道行きの間にいろいろな事がおきます。その出来事を14枚の絵画にしてカトリック教会の壁には必ず飾ってあります。
今夜7時からその14枚の絵の前に神父さまが立ってお祈りの先唱をしました。それに続けて信者一同がイエス様の苦しみを思い、イエス様への信仰の祈りを唱えたのです。
この祈りを終えると、いよいよ復活祭を迎える準備が進んだという気分になります。
この14枚の絵の全てを説明すると長すぎますので6枚についてだけ以下に説明いたします。6枚の写真は先程、カトリック小金井教会で撮って来ました。
当時の死刑執行権は占領軍のローマ軍にしかありませんでした。そのローマ軍の命令で重い十字架を背負うのですが、あまりにも重いのでイエス様がころんでしまうのです。
早く執行したいローマ兵がたまたま見物していたクレネの人のシモンという男に無理に十字架を持たせる場面です。左の男がシモンですが、彼は後にキリスト教の信者になります。
シモンが背負ってくれたのでイエス様はまた元気になり十字架を再び背負って歩きます。汗が流れます。すると勇気のあるベロニカという女が汗を拭うようにと布を差し出します。イエス様は汗を拭います。そしてその布をまたベロニカへ返します。この写真はその場面です。「ベロニカの布」は後に有名な聖物になります。
左のイエス様を十字架に釘で打ちつける前に、右のローマ兵が衣服を剥ぎ取っている場面です。そして上着は縫い目をほどいて4枚に分け、4人のローマ兵がぶんどりました。下半身の衣服は縫い目が無い1枚の布だったので、くじ引きをして1人のローマ兵が取りました。当時は衣服が貴重だったので死刑にする前に衣服を死刑執行人のローマ兵が取ったのです。
十字架の上でイエス様が絶命した場面です。右下で女性が泣き悲しんでいます。
絶命したイエス様を信者達が十字架から下ろし、横たえて、亜麻布をまいて墓へ葬る準備をしている場面です。この後、3日目に復活したイエス様が亜麻布を、丸めて捨てるのです。復活の重要な証拠になる亜麻布です。
重い十字架は全人類の罪の重さの象徴です。人々に代わって自分が背負い、苦しい道行きの果てに十字架の上で絶命するのです。神様の御意志に静かに従うのです。こうして自分を神へ捧げるのです。しかしイエス様は必ず復活し、人々を救うのです。
このような道行きの間の14の出来ごとを描いた絵や彫刻の前でイエス様の苦しみを思う出し、イエス様へお祈りするのが今夜の道行きの祈りでした。
この記事をお読み下さる皆様の平和をお祈りして来ました。後藤和弘