トリCのブログ

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少子化を数字で考える

2019-12-28 21:53:41 | 政治

少子化の話題が、政治から離れて、ようやく一般化されてきた。政治に興味のない人でもさすがにこれはまずい、と感じてきたようだ。数字の桁数には(単なる10進数のキリが良いだけなので)本当は意味はないのだが、100万人を割った、遂には90万人を割ったなどというのは、問題提起には便利だ。


だがこういう問題の場合、まず間違いなく政治(=自民党)に責任が転嫁される。しかしこの問題は、政治では手が出せない要因が積み重なり、この結果となっている。政府は何とかしようと、方策を練っているが劇的に現状が改善されることはまずないと見ていい。なぜなら、さっき書いたように少子化は政治の領域ではない部分で、問題が起こっているからだ。

さて、まず現実的に何が起こって、少子化になっているのか自分なりの考えを説明してみる。一般に言われるのは、所得が減って結婚できなくなったからだ、と感じる人が多いと思う。平均所得が減ったのは事実だ。バブル全盛時の30才(男性)は今の30才よりも100万円程度は年収が多かった。


分かりやすくする為に100人の単位(30才)でこれを説明する。バブル時代の女性(25~30才)は、50人中半分しか就業していない。同世代の男性はほぼ100%近く働いている。女性の25人と男性の50人、合わせて75人で仕事をしなければならない。この為、男性は今でいうブラックなのは当たり前、残業は多いし、土曜出勤の人も多かった。この時代は、女性を強制的にブラックに巻き込むのはちょっと…、という社会的倫理もあって、100人中、男性の50人がブラック、25人の女性が定時退社(ホワイト)という時代である。


要するに男性が100万円多かったのは、100人中25人が実質無職、25人ホワイト、そのしわ寄せが男性50人に集中し、結果、社畜男性の年収が多かった。仕事以外の時間をほとんど作れなかった男性は、余った預貯金で結婚、投資(土地、ゴルフ会員権)、趣味レベルの高級品(車、家電)を買いまくり、その結果のバブル、内需の好景気だった。


この後に起こった社会現象は、ご存じの通りで、男女平等の観点から女性の経済的独立推奨、ブラック企業の取り締まり、総労働時間の削減、バブル崩壊の後始末、で現代に至る。


現代(2019年)の女性で25~30才で働いている人は、50人中40人(15人増)。ホワイトばかりではなく、果敢にブラックに参加している女性も増えた。男性はブラックが相変わらず多いが、派遣(=楽な仕事、低年収)が激増した。


つまり全体の仕事の総量は大して変わらない、と仮定してだが、女性がバブル時代に比べて15人増え、男性のブラック残業が減り、減ったついでに低年収でもおkな非正社員の男性が増えた。


女性の社会進出のおかげで、男性の社畜率と残業はかなり減り、バブル時代に比べて「平均が100万 ※注」落ちた。ただしバブルと同じレベルの社畜男性は存在する。その一方、女性の年収はバブル時代と大差ない300万円(就業数は15人も増えている)。100万円分働かなくてよくなった男性分をこの15人が吸収したと見ていい。


※ 100万円落ちたのは、男性全体ではない。同じレベルの年収を維持している男性はまだまだ存在する。


仮に計算してみる。バブル時代の男性50人(30才)を一律年収500万だったとしよう。50人x500万で2億5000万円の仕事量だ。女性は25人が一律300万円であれば25人x300万で7500万。バブル時代の仕事量は3億2500万相当となる。

男性の仕事量=50x500=25000
女性の仕事量=25x300=7500
バブル時代の総仕事量=32500


現代ではどうか。男性は相変わらずのブラック勤めを50人中35人頑張っているとすれば、35人x500万円=1億7500万、女性の年収は変わっていないが人数は増えたので、40人x300万=1億2000万円、ここから派遣で働く男性の人数を残りの15人と仮定すれば仕事量不足分の2500万円は一人160万程度となる。

男性の仕事量=35x500=17500
低年収おkの男性=15x160=2500
女性の仕事量=40x300=12000
現代の総仕事量=32500(バブルと同等と仮定)

男性の平均年収=(17500+2500)/50=400万


女性の内訳も男性と同様に正社員(ガチ組)、ホワイト組、派遣と分かれるが、今回は男性のみに視点を集中してみた。


この推測の数値を見てもらえば分かるが、同年代の女性を上回っている年収を維持する男性は劇的に減っている。と同時に女性も男性を上回る人が増えている。減った男性と増えた女性の間で、結婚が成立するのは、恐らく稀だろう。そもそも男女とも、低年収の人々は、現状維持で満足なはずで、つまり結婚に全く執着していないと言える。


出産適齢期の女性(30才前後)の結婚条件に適合する相手が50人から35人(70%)に減っている上に、未婚の男女は危機的な意識はない。この結果、現代の30才(1990年生まれ)は約120万人の内、既婚率が35才までで65%(80万人)。現代の夫婦も平均2人の子を作るが、出生数は90万人というのは、おおよそ数字があっている。


つまり少子化の要因は、社畜を放棄した低年収で独身でもいいや、という50人中15人の男性にあるわけで、これを政治の力で何とか出来るのか、と問えば自民党どころか野党でも、ほぼ不可能だろうと思える。


よく、低年収にあえぐ若年層を、マスコミや野党、アベガーの方々が、(左の票田として)怒りの投票を若年層に期待するが、ほぼ無反応なのは、安倍政権に満足しているわけではなく「社畜にはなりたくない、結婚にも興味ない、一々うるせえなぁ」という単純な理由なのだ。


もし本気で、少子化対策をするとなれば、男子のぬるい人生禁止(低年収だと自衛隊の予備兵訓練参加、とか)、30才で未婚の女子は金を持っているオヤジに求婚されたら100%断れない、という法案でも作るしかあるまい。もちろんそんな事は強権で鳴らす安倍首相でも不可能なわけで、中長期的には、AIやロボットが人で不足を解決させるはず、という方針の方が、政治に求められるのではないだろうか。


まあ、そのAIやロボットを開発する為の社畜が大量に必要なのだが。