トリCのブログ

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日本が有事に弱い理由

2020-04-27 10:21:31 | 政治

一般に政治に無関心な人が多いのが、日本の特徴だが、東日本大震災や今回のコロナ騒動の様な一般人を巻き込む事件の場合は、さすがに注目が集まる。

平時での政治闘争のバランスは、結構偏っていて、コアな政治好き、財界、官僚、マスコミ、野党が自民党に要求を突きつける形になっていて、その割合は全国民の1%もいないだろう、と思う。

これが、今回の様な事態になると、普段は政府に何の関心もない人が、急に乗り込んでくるので、政治批判のレベルダウンが見るからに起こる。日本政府の対応の遅さ、どうでもよさげなものに予算をつぎ込む、などが批判にさらされているが、これらの世論を作り上げているのは、まあ、こういう人たちがせっせと働いているからだ。政府批判の総本山ともいえる反政府系の人々にとっては、医療関係者やスーパー、物流並みに、超多忙な日々となるわけだ。

 

確かに、行政の広報のくどさ、などを見ていると「人に伝えるのは相当に難しい」という認識に著しく欠けている。伝えるプロであるマスコミを利用せず、自前で作ってもまず一般人は読まない。

唯一真剣に読むのは、文書間の穴を見つけて役人を凹ませてやろうと勇んでる市民系活動家や左寄りのマスコミ、政府批判のネタ探しの野党ぐらいなので、むしろその人ら相手のスキのないまわりくどい文章、という流れが出来上がっている。

平和な時の対応(1%程度の人々でちまちまやってた戦い)そのまま、の状態に無関心層が一気になだれ込んでくるのだから、(世論操作も含めて)有事の体制がまるで整っていない事がよくわかる。

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反政府系の人達がよく言う「韓国に学べ」「台湾がずっと進んでる」等は、ある意味で正しい。韓国は、常に国境の向こうから何をしてくるか分からない敵がいる。ミサイルだけではなく、潜入してきた兵士がウイルスをばらまき繁華街で人がバタバタと倒れても即座に対応しなければならない。台湾も海峡をはさんで主敵が存在する。中国発祥のSARSは、WHO(台湾を認めない組織)の助言ももらえず苦しんだ経験がある。

世界各国の対応をよく日本政府と比較する論者がいるが、なぜ日本政府の対応が遅いのか、その理由を付け加える人はいない。彼らの目的が一般人に「役人と政治家が無能だから」と刷り込ませるからなのだが、実際は、

「有事に対する政策が作りにくい(作れない)」

のが最も大きい要因だ。


だったら作ればいいじゃない、と思うのは政治に興味のない人で、作られると困る人々が猛反対してるから作れないのだ。憲法改正など、他国は何の抵抗もなく出来るが、日本は別。韓国や台湾に学べ、というカテゴリーの人々も、韓国や台湾の憲法を参考に改正せよ、とは絶対に言わない。


日本は実質自民党が与党、というスタイルを戦後ずっと貫き通してきた。この自民党を倒すには、有事に自民(あるいは自衛隊)が活躍しない様に、法を改正させない世論に持っていく。これが万年野党の方針であったのだが、95年阪神大震災、11年東日本大震災の時に"たまたま"政権をとっていたのが、不運な事に自民ではなかった。


当時の反自民政権もまた「無能の極み」「何をやっても遅いしやらなくていい事だけは早い」などと散々言われたが、彼らの本音を代弁すれば「何せ初めての事で法律を今から作るから仕事が遅いわけじゃない」だ。


もし自分のPCのデータが消失したら、と考えれば皆バックアップを取る。これを日本の場合に置き換えると、「データが消失」するのはハードディスクに不備があるからだ、ハードディスクの設計に問題あり、政府はハードディスクが絶対に壊れないと保証せよ、という流れになるので、そもそも政策に「PCのデータが消失した場合の対策」案件を提示するのは難しい。ハードディスクに問題がある事を秘密裏にしていた政府が遂に認めた、と大々的に騒がれるだけであるから。


実質の一党独裁(一応公明党もいるが)状態で、野党も与党になる気がほとんどゼロ。2大政党政治なら、数年後に自分に降りかかってくる難問政策を放置など出来ないが、日本では有事法案はおいしい政府叩き(=自民叩き)ネタになるので戦争法案などと揶揄し言論封鎖に持っていく。


安倍首相が憲法改正に前向きなのは、中国やロシアと戦争したいわけではなく(書いてて恥ずかしい)、万年与党と万年野党のチマチマした政争材料維持の為に、有事対策が全く進まない事に、危機感があるからだ。本人、言わないが今回のコロナに関しては「言わんこっちゃない」である。