tonto's blog

コメントをいただく時はこの下、「メッセージを送る」からお願いします。お返事したいので、メールアドレスもお忘れずに。

のど

2016-08-21 | weblog

 つい最近のことですが、小学5年生の女子が野外活動中に、フランクフルトソーセージを「喉に詰まらせ」て亡くなってしまったという事故がありました。もちろん誰にとっても悲しいことでした。このことに小学校の先生の管理責任が問われることはないと思いますけど。

 「喉に詰まる」とはどういうことなのか、複数の記事を見てみましたがどうもすっきりとしません。太さ2.5cmで長さ9cmのソーセージを1/2に切ったものと書いてますが、それを噛み切らず飲み込もうとして、喉頭部で詰まってしまった?正月によく話題になるお年寄りの柔らかい「もち」によるものは明らかに気管に入ってしまう誤燕による窒息。大きく硬さのあるソーセージが気管に入るとは思えません。小児だとピーナッツが気管に入って面倒なことになることがあります(そのぐらいの大きさのものなのです)

 

 胃カメラ検査での喉頭部の写真です。上が身体の前方で下が背中側。Bの両側で「ハ」の字に見える白いものが声帯、その奥が気管になります。この写真下方 Cが食道入口部で、通常はこのように上下(身体だと前後)に閉じた状態です。何かを飲み込もうとすれば、Aの喉頭蓋が手前に折れ曲がってBを蓋するようになり、Cが開き、ゴックンと飲み込む仕組みになっています。気管に入らないようにとてもうまい仕組みになっています。

 お年寄りの「もち」の場合は、気管にうまく蓋ができないためにもちが「流れ込む」感じで誤燕するのだと思いますが、今回のものは物理的に絶対といっていいほど入るわけがありません。

 数年前のこと、電話で「お母さんが肉を喉に詰まらせ、息ができない。いま医院に向かっている」と連絡がありました。そんな状態で来られるのかなと思いながらも、対処できる準備をしながら到着を待ちました。5分ぐらいで来院された車から、見覚えのある50才代の女性が、両手で首のあたりを押さえ苦悶状の表情で、でもご自分で車を降り歩き入ってこられました。

 喉(のど)を観察したところ、Cの部分に「肉片」というか「肉塊」が見えました。コッヘルという外科では通常よく使う器具で挟み・引き出したのですがかなりの力が必要でした。つまり「肉の塊」を飲み込んだものの、この C のところには挟まれ、その締める力が強いものだから飲み込むこともはき出すこともできなくなった状態。そして気管が後方から押され、閉塞までには至ってないが狭くなった(首を手で締められた苦しさと同じだと思います)状態。取り出せば、すぐ普通に戻りました。

 今回のフランクフルトの件は、このようになり残念ながら気管が後方からの圧迫により閉塞・窒息してしまったのじゃないかと想像しています(気管には輪状の軟骨があって「つぶれる」のを防いでますが、食道側はつながっていなくて膜様となってますし、小児の気管軟骨は成人に比べ柔らかい)

 複数の記事には「誤燕による急性肺障害」とありますが、「誤燕」ではないと思います。大人も子供も、食事中も楽しい会話は必要ですが、飲み込む時は前を向いて慎重にという事です。首を横に向け、テレビを見ながら食事なんてとんでもない。

 

 

この記事についてブログを書く
« 誠意を示せ | トップ | 農民車 »