岐阜県山県市のごみ処理、現在は岐阜市の施設に委託している。が、その施設の寿命がくるということで、山県市も岐阜市も、次期をどうするかの検討が迫られていた。
ずっと、委託の延長線上で、広域化の方向がイメージされていた。
ところが、今の山県市長が、3年前に突然、山県市単独で建設していく方向を決めた。理由の究極は、「迷惑施設で地元の説得が大変」ということに尽きる。
山県市から見ると、単独の方が何十億円も余分に要ることは分かっているのに。
山県市の議会には、3年前から「岐阜市が一緒にやってくれないから、単独でいくしかない」と答えてきた。
昨年春、「岐阜市は一緒にやりたいんだ」といういくつかの情報を得て、驚いた。実際、昨年春にも、「一緒にやらないか」と岐阜市の部長らが要請に来たのに、これも蹴っていたのだ。
だまされていた。それで、私は、情報収集や議会の一般質問などしてきた。
交付金を出して助成する国は、小規模な施設は不効率だから認めない原則を持っている。県も、広域化計画を策定している。
問題にし始めたことで、県はあわてたらしい。
だって、広域化計画を作りながら何もしてこなかったから。
昨年11月、「県は、山県市と岐阜市が広域処理を行うのがよいと考えている」とい旨の記録を突然作った。アリバイ証明だ。誰にって、それは「国」と「よく事情を知らない知事」に。
国も、昨年12月になって、小規模施設計画はあくまでも特例であり、特例を認めるには厳しい基準があることを、あらためて、文書で全国に通知した。今年2月にも念押しの文書が出た。こちらも、アリバイ証明だ。誰にって、それは「会計検査院」や国会に。
とりあえず、岐阜市が3者のやり取りをしっかりと記録に残していたので、昨日の裁判に提出。それを紹介しよう。
どうみても、将来、「岐阜市単独」を批判されたとき、あるいは岐阜市民から住民監査請求されても岐阜市として言い訳が立つよう、「山県市が単独でいくと決めたから仕方なかった、県もそういう考えだった」、そういう記録を残しておきたい、という気持ちがありありとしている。
この際だから、明日は、先回の弁論に提出した、国、県、山県市の記録をまとめた書面を紹介したい。
みんなが無責任。
何十億円もの無駄遣いが分かっているのに。
下記の 青字 部分は、情報公開で出てきた文書の抜粋部分。
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次回第3回期日2006年11月29日(水)午後1時10分~
平成18年(行ウ)第13号 山県市ごみ処理計画差止請求事件
原告 寺町知正 外5名
被告 山県市長平野元
2006年11月28日
原告準備書面(2)
岐阜地方裁判所 民事第2部 御中
原告選定当事者 寺町知正
岐阜県山県市西深瀬208-1
訴状第5、6に関連して主張・立証する。
第1 岐阜市は、山県市が一方的に広域処理を拒否したことを明確にしている
平成18年3月1日に岐阜県庁で開催された3者(県、岐阜市、山県市)の会議の記録のうち、甲第15号証は岐阜市が所持する同日の会議記録の抜粋である。県にも山県市にもない、発言要旨が記録されている。
ここには、岐阜市は旧山県郡時代から山県市のごみ処理に協力的であり、かつ、双方とも、将来についても前向きに協議できる関係であったにもかかわらず、次期のごみ施設に関して、山県市が一方的に単独を表明したことで、岐阜市も広域化しないこと、その後、平成17年おいても、岐阜市が山県市に対して広域の働きかけをしたことなどが記録されている。
県も、かつて広域化計画を立案提示したことを忘れたかのように、山県市の単独推進に加担していることが明瞭に記録されている。
「山県市循環型社会形成推進地域計画に係る県・岐車市・山県市の協議 会議要旨」(甲第15号証の4枚目から7枚目まで)のうち、発言者については、本件原告が、分かりやすくするため「県」「岐阜市」「山県市」とし、発言の要点を下記に示す。
「 平成18年3月1日(水) 開催(於・岐阜県庁)
山県市循環型社会形成推進地域計画に係る県・岐車市・山県市の協議会議要旨
出席者 岐阜県・廃棄物対策室長ほか。岐阜地域振興局
山県市 助役ほか 岐阜市 審議監ほか
(県) 県は環境省の指導のもと広域化計画を進めてきた。山県市が交付金制度にて、ごみ処理施設建設計画を立てたが県の広域計画と異なる単独での建設計画であった。環境省より改めて広域化計画に基づく協譲を関係市で行うよう指示があった。
(山県市) 過去には山県市より岐阜市に単独での建設計画を進め、伝えてきた。今一度広域化については白紙に戻し、スタートラインで計画に沿った話が出来ないかお願いしたい。
(県) 国から交付金については広域化をぜひやって欲しいと話があり、もう一度話し合いをすること、将来的には広域化をして欲しいとの2点を今回協議したい。現時点での話し合いをして進めて行きたい。
(岐阜市) 協議の場に臨むことはいいが山県市より白紙に戻す発言があったが。
(山県市) 過去に出したものは事実であり、今回話し合いの中で白紙に戻した考えで協議したいと言ったつもりである。
(岐阜市) 15年12月22日付け山県市より22年から当市でごみ処理は行うとの文書も頂いている。交付金制度移行に伴い、岐阜市として山県市の動向を考え、17年5月に県地域振興局へ出向いた。
難関が予想される中、同じ地或の仲間として協力することは惜しまない。
(県) 今の時点で広域化に対する検討を再度するのではなく、広域化というボールが投げられたのでどの様に整理するかを考えてほしい。
(岐阜市) 課題は岐阜市との広域化ではないのか。
(県) もう一度広域化できない理由を整理し、対外的にも説明できるように県としてはしておきたい。
この件については山県市にお願いをしていたが、岐阜市より何度も打診があったが、お断りをしていたので言いにくいとの事であり、県、岐阜市、山県市でもう一度整理することでお願いをした。
(岐阜市) 国の指示は当然で計画の初歩の話ではないのか。計画の見直しはひと月ではむりだと思う、議会等課題は大きい。県の広或計画の見直しか。
(県) 国から見れば近接自治体がなぜ広域化できないのか疑問視されているので説明理由がいる。
(山県市) 対応策として話し合いをしたい。施設配置計画等あると思う。
(岐阜市) 当市も最終処分場建設の時期が迫っており、地域計画の策定も進めている現状。過去のいきさつもあるが、現時点で広域化の可能性はゼロかと言われれば室長の立揚では、そうではないとしか返事できない。当然市長にも及ぶ話である。
(岐阜市) 合併の時期よりお互いに対等の立場で考えていきたいとお伝えしてきた。掛洞でのごみ処理は委託事業として処理を行っているが将来的には施設更新もあるので山県市の考えを聞かせて欲しいと伝えてきたが、単独で行うと聞いてきた。この段階で今回のような指導がなされるべきでないのか。
県は山県市が単独を選択されたのをこの時点で承知のはず。
(山県市) 岐阜市の議会での答弁書も見た。山県が単独で行うので岐阜市も単独で行う内容、平成15年12月以後、一野部長に二度ほどお会いしたが良い結果はでなかった。岐阜市内で広域施設の建設をしていただければ助かる。
(岐阜市) 岐阜市内での広域施設建設は過去の経緯からも無いと思うし、部長も広域化の考えから建設地は山県市でお願いしたいと言ってきた。今まで委託ではあるが他市町のごみを受け入れてきた地元はたまにはほかの場所でという考えは当然持っている。
(岐阜市) 部長は山県市がお困りの状況があるなら協力できることはして行く考えの下に行動をしてきた。しかし、山県市さんが最終的に単独での判断をされてからは庁内での議論もない。
(県) 岐阜市は対等な立揚から施設建設を双方でどちらかの施設を持って欲しいと望んで見えるわけですね。
(岐阜市) 岐阜市は最終処分揚の建設計画を進めている。
(県) 山県市はもう焼却施設しかない。この経緯を文書化して理由書に出来るか。
(岐阜市) 岐阜市で広域化での施設建設を急に言われても因る。
(県) 論点の3点目は将来の広或化に対する事柄であるが、今回はだめであるがその次は広域化で協議することを記したい。」
第2 岐阜市は旧山県郡時代から山県市のごみ処理に協力的であった
1 県ごみ処理広域化計画の推進
平成11年には、岐阜県のごみ処理広域化計画に従って協議が進めていた(甲第16号証)。県の仲介のもと、岐阜市と旧山県郡はごみの広域処理を友好的に協議した。
2 岐阜市・山県郡廃棄物処理部会
(1) 標記の部会が中心であった(甲第17ないし32号証)。
(2) 例えば、平成14年6月7日の「第12回岐阜市・山県郡廃棄物処理部会会議報告」(甲第27号証)には次の記録がある。
「 3 今後のごみ処理広域化について
(1)岐阜市の説明
平成12年11月に基本合意を取り交わした。その3項に「将来予想される掛洞プラントの更新及びそれに伴う最終処分場の確保について、候補地の選定、施設の建設計画及び運営計画の構築、建設費用及び運営費用の負担をする等の協力をするものとする。」とある。
掛洞プラントは平成21年頃が寿命なので、今から始める必要がある。将来の焼却施設・最終処分場の場所がまず問題だ。岐阜市は山県郡の考え方を聞いて進めたい。
現段階では基本的なことを決める必要がある。具体的には、自治体間の平等な責任分担という考え方から焼却施設か最終処分場のどちらかを持ってもらいたい。
(2)質疑
(伊自良村)規模、面積等はどれほどか。
(岐阜市)今後の灰の処理方法等によって変わってくるが、今後の検討課題だ。
(振興局)場所については何かあるのか。
(岐阜市)掛洞プラントは借地で、期限は別だ。地元や議会に話すにも方向性を示せる必要がある。
(伊自良村)掛洞プラントは21年度以降も再契約してもらえるのか。敷地面積や最終処分場の位置関係等の概要書を提示して欲しい。上司への説明資料が必要だ。
(美山町)以前にも各町村で候補地を探してはどうかとの話があったが、規模・面積等岐阜市の技術者も含めての勉強会をお願いしたが流れてきた。
(岐阜市)200t300tの施設を考える前に行政の意思として一緒にやろうと
するのか単独でやるのか、この施設は受けられるとかの話を聞きたい。
(美山町)7年後2町1村では施設を独自ではもてないと考えている。
(岐阜市)そうしたことを文書化するなどを考える必要がある。
(伊自良村)相談はするが、7年後の話は大きいので、助投会議を開いて欲しい。
(高宮町)6月4白に町議会で町長の辞任が認められた。7月14日に選挙で町長が決まるが、合併問題・ごみ処理広域・地球環境村についての態度がそれ
まで決まらない。昨年12月岐阜市議会で丸山議員が山県郡のごみについて質問、高富町議会でも質問があり、合意書通りに行くと答えている。
高富町では岐阜県ごみ処理広域化計画に沿って進めている。山崎前町長の指示で山県郡だけでもできるか研究をしていたが、基本は岐阜市で受けてもらえると考えてきた。合意書も期間が経っているのでトップの会議も含めて協議を進めていく必要がある。
4 本日の協議のまとめ
1.現状ではトップに地元へのお願いに行っていただく可能性がある。
2.この問題を持ち帰り検討していただくと共に、各自治体の考え・方針を示していただきたい。そのためにはトップレベルの会合等も考えていきたい。」
(3) 例えば、平成14年7月26日「第13回岐阜市・山県郡廃棄物処理部会報告」(甲第28号証)には、次の記録がある。
「 2 今後のごみ処理広域化について
・現在の掛洞プラントでのごみ処理事務の受託を考えているので、規約には期限を入れたい。
・その後どうするかについて覚書を取り交わしてはどうかと考えている。
・来年度からは掛洞プラントの更新施設を一緒にやっていくかどうかを協議していくことになる。」
(4) 例えば、平成14年10月31日「第16回岐阜市・山県郡廃棄物処理部会報告」(甲第31号証)には、次の記録がある。
「3 今後のごみ処理広域化について
・10月21日の首長会談でも今後の協力について話された。
・計画から実施まで時間がかかる事業であるため、早急にお互いに準備を進めて、来年度には施設の位置・施設内容等について結論付けたい。
(山県郡)
1 掛洞プラントの位置で更新を計画しているのか、他の候補地を探すのか。
2 更新施設は、焼却施設と最終処分場を一体で整備するのか。
3 岐阜市の最終処分場は、いつ頃まで稼働できるのか。
(岐阜市)
1 山県郡と一緒にやるのか単独でやるのかで変わってくるため、白紙だ。
2 掛洞プラントの施設内容・処理方法等も今後の検討課題だ。
3 当初は平成18年としていたが、1~2年延命できると考えている。」
3 岐阜市・山県郡ごみ処理委託連絡会議
(1) 例えば、平成14年11月11日 「第1回岐阜市・山県郡ごみ処理委託連絡会議報告」(第32号証)には、次の記録がある。
「 3 今後のごみの共同処理について
・掛洞プラントの施設の寿命もあり、平成22年度以降の施設について、場所・内容・規模・粗大処理施設や処分場等を早急に検討しなければならない。
このため、来年度前半には大筋を決め、後半には予算付していく必要がある。
来年度中までには基本方針を決める必要があるので、まず、来年度早々にも山県市が岐阜市とごみの共同処理をしていくのかどうか回答いただきたい。
一緒にやるということなら、施設の交互設置等も含め検討願うことになる。
(山県郡)
1 岐阜市南部も含め、岐阜市全体で考えるのか。
2 共同処理の方法は、委託か組合か。
(岐阜市)
1 岐阜市南部の将来計画は、決まっていない。
2 施設を設置してやるなら、組合が一般的だと思っている。」
(2) 例えば、平成15年1月9日 「第2回岐阜市・山県郡ごみ処理委託連絡会議報告」(第33号証)には、次の記録がある。
「 3 今後のごみの共同処理について
(岐阜市)
掛洞プラントは平成21年度までを予定しているので、平成15年度に意思決足し、平成16年度からは建設に動きたい。岐阜市と山県市は対等・平等の立場で事業を進める事になるので、施設設置等について基本的な考え方を検討いただきたい。今年の秋までに平成16年度予算に間に合うように基本的な事項を決めたい。ごみ量・溶融等の方式・PFI等の事業手法等の検討も必要だが、先ず22年度以降の共同処理の意思と施設の設置場所について検討を願いたい。
(山県郡)
1 山環センターでは地元に区費の補償をしているが、岐早市の焼却場では地元への迷惑料は払っているのか。
2 施設の改善により迷惑施設の迷惑度は少なくなっているが。
(岐阜市)
1 地元への迷惑料は支払っていないが、地域の環境改善は行っているし、地元の方を雇用する等の配慮をしている。
3 地元ではパッカー車が通ることも迷惑とされている。」
第3 まとめ
被告市長は、平成15年12月ころの山県市議会の説明で、「岐阜市は山県市とは一緒に広域処理してくれないから単独でいくしかない」旨説明して単独の計画の筋道を了解させ、岐阜市にも単独の旨を伝えた。
平成16年度において山県市議会に設置されたごみ処理に関する特別委員会においても、その旨を答弁し続けた。
しかし、先に示したとおり、岐阜市は、平成17年春においても、次期のごみ処理の計画実施について、山県市がOKすれば山県市との広域処理の意向であったことは明らかである。
被告市長は、ゴミ処理の将来計画についての岐阜市との協議に関して、国の広域化継続の強い意向に反して、山県市が恣意的意図的に岐阜市との広域処理の可能性を否定、広域処理の可能性について住民との理解が得られるか否かも何ら確認せずに単独計画のみを推進してきた。
経過及び本質的な経済的合理性を無視した本件事務事業遂行は、行政に許された裁量を著しく逸脱して違法なもので、伴って生ずる公金支出は著しく多額な損害となる。
よって、本件単独事業および関連支出は差し止めるべきである。 以上
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