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てらまち・ねっと



 一昨日の最高裁判決は痛快だった。
 相続税と所得税の二重課税は違法、との逆転判決。

 先月、最高裁が高裁判決を見直すための弁論を開いていたことで、逆転は見込まれていたとはいえ。

 夫の死亡で生命保険関係の財産を相続、そのとき相続税と所得税の両方がかけられていることに、相談を受けた税理士が「おかしい」と気づいたという。
 「それが通常であることに、疑問を抱くこと」は難しいこと。

 当事者である妻は、弁護士をつけない「本人訴訟」で長崎地裁の法廷へ。
   なんと、勝訴。

 被告国が控訴したので、弁護士に依頼。
   福岡高裁では、敗訴。

 そして、今回の最高裁の判決。
    この間、約7年。
   (このブログ末にその判決の全文にリンクし抜粋しておく)

 この長年違法なままに継続した「二重課税」。
 国に返還義務があるのは過去5年分との法律があり、なお、話題に。
 この非常識に、昨日、財務大臣は「それ以前分も返還する」と発言。選挙中に関係なく、当然とはいえ、いい決断。

 なお、「還付対象となる二重課税は数万件以上に上る見通しで、課税見直しの対象は、他の金融商品に広がる可能性もあり、影響の大きさは予測できない」(7月6日毎日)とされているが、
 時効分も含めるとなると膨大な件数になる。 

 ただし、還付は「当事者からの請求」が前提。
 どの程度の還付請求がなされるか・・・

 いずにしても、この最高裁判決の関連情報は、朝日新聞に詳しい。
 書いた記者のセンスが伝わる。 

 7月6日の朝日新聞には次のようにある。

 最高裁によると、税務訴訟で納税者の一審勝訴率は近年、ほぼ1割。

 (税理士に勧められた。)「勝てる見込みは少ないが、おかしいことはおかしいと誰かが言わないと」

 一審は弁護士を頼まない本人訴訟だ。

 税理士の助けを借りて、訴状や準備書面を作った。法廷では、被告席に国側の代理人がずらりと並ぶ。原告席に一人でぽつんと座ると怖くなった。

 二審から代理人を引き受けた丸山隆寛弁護士(福岡県弁護士会)は「おかしいと思う人はいても実際にここまでやる人は少ない。勝訴は2人の頑張りの結果だ」と話す。


 こちらも、先週、住民訴訟で、最高裁でこちらの勝訴確定の決定をもらったばかりなので、親近感がある。10年かかった。

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●二重課税の所得税、時効分も返還へ 野田財務相が表明
        朝日 2010年7月7日16時20分
 野田佳彦財務相は7日、生命保険金に対する課税実務を「二重課税」と判断した6日の最高裁判決を受けて、二重課税となった所得税の返還について、2004年以前の「時効分」についても応じる考えを明らかにした。財務省内で記者団に答えた。

 野田財務相は「04年以前の分は法的な措置か政令改正か、子細に検討をさせていただき、関係者の皆様に迷惑をかけないようにする」と述べた。税法上は、納税者が手続きをとれば税金は最大5年前(05年分)までさかのぼって返還される。

●二重課税の所得税還付へ 財務相、最高裁判決で
      2010/07/07 16:51 【共同通信】
 野田佳彦財務相は7日、年金形式で受け取る生命保険金に対する二重課税を認定した6日の最高裁判決を受け、同種の保険商品で取りすぎた所得税を遺族らに還付する方針を表明した。現行制度では還付の対象外となる過去5年を超す分についても、法改正などでの救済を検討する。

 年金形式で遺族が保険金を受け取る商品は、今回の裁判で争われた「収入保障保険」と呼ばれる商品以外にもある。これら商品に対しても所得税を還付するかどうかについて、財務相は「政府税制調査会の中で議論し、来年度の税制改正で対応することも視野に入れたい」と述べた。

●年金型保険の二重課税問題、所得税を還付へ=財務相
     ロイター 2010年 07月 7日 16:29 JST
 野田佳彦財務相は7日午後、最高裁が6日、年金型の生命保険について相続税と所得税の二重課税は違法との判決を下したことを受け、「判決を謙虚に受けとめ、適正に対処したい」と語った。財務省内で記者団に述べた。

 具体的には、これまでの解釈を変更し、過去5年分の所得税について更正請求を受けた上で還付する。5年を超える分については制度を変更する必要があるため、「法的な措置が必要か、政令改正で済むかは検討しなければならないが、関係者に迷惑をかけないように対応する」とし、5年超に関しても救済する方針を明らかにした。

 現行制度で対象となる過去5年分の還付額については「(現段階では)件数もわからないので、額まで言えない」と述べた。

●二重課税違法、生保に事務負担増も  商品販売には追い風
    2010年7月7日 読売新聞    
 年金型の生命保険で、最高裁が6日、相続税と所得税の二重課税は違法との判断を示したことで、生命保険各社の経営にも影響が及びそうだ。

 契約者への対応で新たな事務手続きにかかる費用が懸念される一方、課税額が減れば年金型商品の販売に追い風になるとの見方もある。

 対象となった保険商品は、契約者が死亡した際、受取人が一定期間、死亡保険金を年金として分割して受け取るものだ。死亡後に一括か年金かを選択できる契約もあり、ほとんどの場合、一括より年金の方が最終的に受け取る総額は多くなる。

 今回問題となった課税方法は1960年ごろに定着したとされる。生保各社は年金を支払う際に自動的に所得税を源泉徴収するシステムを持っている。しかし、最高裁が年金のうち、運用益を除いた部分は所得税を課税すべきではないとの判断を示したことで、システムの変更が必要になって、生保各社に新たな費用が生じる可能性がある。また、すでに納税した所得税の一部が、過去最大5年分返還される見通しで、生保各社は窓口での混乱や事務費用の増加を懸念している。

 一方、所得税の負担が軽くなれば、保険金の受取額は従来より増えることになり、「年金型の商品がより売りやすい商品になる」(大手生保幹部)との声もある。

 日本生命保険の岡本圀衛社長は6日、読売新聞の取材に対し「今後の事務手続きや費用負担について、国税当局との協議が必要だ」と述べた。(三好益史、山内竜介)

●主婦の疑問、国に勝った 保険金「二重課税」判決
      朝日 2010年7月6日
 一人の主婦と税理士の素朴な疑問が、税金の取り扱いに変更を迫った。生命保険金に対する数十年来の課税実務を「二重課税」と判断した6日の最高裁判決。訂正を申し立ててから最高裁まで約7年に及ぶ闘いを終えた2人は、「同じ立場の人たちのためにもなる判決だ」と喜んだ。

 長崎市の主婦(49)が、夫の生命保険金を受け取ったのは2002年11月。電気工事業を営んでいた夫が「万一のとき、家族が困らないように」とかけてくれたものだった。すべて一括で受け取るか、一部を年金にするか選べる保険で、保険会社から「違いはない」と説明された。

 当時、小学4年と中学3年の娘がいた。「娘たちが大きくなるとき、少しずつ使えたらいい」と年金を選択。保険会社からの通知で1回目の年金230万円から、所得税約22万円が源泉徴収されているのを知っても、「こんなにとられるんだ」ぐらいにしか思わなかった。

 だが、近所の人の紹介で相続税の申告を頼んだ江崎鶴男税理士(66)は「年金分には相続税がかかっているのに、なぜ所得税まで徴収されるのか」と首をかしげた。税法の条文を調べ、江崎税理士の疑問は確信に変わった。「普通の人が読めば、誰でもおかしいと思う」

 最高裁によると、税務訴訟で納税者の一審勝訴率は近年、ほぼ1割。「勝てる見込みは少ないが、おかしいことはおかしいと誰かが言わないと」。江崎税理士に説得され、主婦も「大事な人を失って受け取る生命保険金は誰でも1円も無駄にしたくない。同じ立場の人たちの役に立てるなら」と決心した。

 各種の控除もあり、訴えが認められても実際に返ってくるのは2万5600円。一審は弁護士を頼まない本人訴訟だ。「国にたてつくなんて」と身内はいい顔をしなかったが、江崎税理士の助けを借りて、訴状や準備書面を作った。法廷では、被告席に国側の代理人がずらりと並ぶ。原告席に一人でぽつんと座ると怖くなったが、「ここまで来たらやるしかない」と気持ちを奮い立たせた。

 一審で勝訴したが、二審は逆転敗訴。それでも、「まだ最高裁がある」と信じていた。年金分の所得があることで、娘たちの授業料が免除されなかったこともある。思いは、同じ境遇の人たちに及ぶ。この日、最高裁で勝訴判決を聞いた主婦は法廷を出て「裁判は本当に長かったが、同じ立場の方たちのためにもお役に立ててよかった。国が今後どのように対応するのか期待したい」と話した。

 江崎税理士は判決後「百点満点の判決。要求を完全に認めてくれた。税法や民法で救済できない人は、国が立法で救済するしかない」と語った。二審から代理人を引き受けた丸山隆寛弁護士(福岡県弁護士会)は「おかしいと思う人はいても実際にここまでやる人は少ない。勝訴は2人の頑張りの結果だ」と話す。(延与光貞、浦野直樹)

●年金型生保二重課税訴訟:違法判決 還付対象、広がりも 影響の予測は困難
       毎日新聞 2010年7月7日 東京朝刊
 <検証>
 年金払い型の生命保険に所得税と相続税をかけるのは二重課税だと争った裁判で、最高裁は6日、40年以上続いてきた課税実務を覆し、原告の主張を認めた。国は今後、「過払い税金」ともいえる取りすぎた税金への対応を迫られることになる。還付対象となる二重課税は数万件以上に上る見通しで、課税見直しの対象は、他の金融商品に広がる可能性もあり、影響の大きさは予測できない。

 「どのくらい、還付を求められるのか、現段階では予測もつかない」。国が逆転敗訴した今回の判決を受けて、国税庁の職員はこう話した。

 争点となったのは、年金払いの保険金に対する課税のあり方。原告の女性は、夫の死亡で10年間に毎年230万円ずつ年金を受け取る受給権を得た。総額2300万円のうち6割がこの時点での価値とみなされ、相続税の対象になった。さらに国は、毎年受給する230万円も、掛け金分などの控除を除き、所得税の対象とした。判決は、1回目の支給分にかかった所得税を「違法な二重課税に当たる」と判断した。総額の4割については、2回目以降の支払い時に所得税の課税対象となる見通しだ。

 二重課税で払いすぎとなった税金は、還付対象になるが、原告と同様に課税されてきた受給者が還付を受ける場合、税務署への請求が必要だ。ただ、国税庁が過去、訴訟結果を受けて法解釈を改め、還付対象の例を公表したケースでは、判決確定から1カ月~2カ月半かかっている。

 また、還付対象は国税通則法で申告期限から5年を超えない所得税に限られるが、関係者の間では「国の判断の誤りだったため、5年より延びる可能性もある」との声も上がる。

 判決を受け還付対象になる可能性が高いのは、遺族が保険金を年金形式で定期的に受け取る個人年金保険や、保険金を年金形式に変更したケース。既に支払いが始まっていた年金保険を相続した場合も対象になりそうだ。

 大手生保各社は、現在支払い中の契約だけでも1社当たり数百から数千件あり、5年間分では業界全体で数万件に上りそう。掛け金分を除いた受給金の1割が源泉徴収されており、「1年分あたり数万円の還付を受けられる人が多いのではないか」(原告側税理士)という。また、定期預金や株式など、将来にわたる利益を時価評価して相続税がかかる金融資産でも、判決が影響を与える可能性がある。【山田泰蔵、加藤隆寛】

 ◇生保、膨大な作業を懸念 対象者通知、システム変更…
 生保各社は6日から、契約者の問い合わせ増加に備え、商品説明のマニュアル変更やコールセンターでの想定問答を作成するなど、対応に追われた。ただ、「二重課税」と認定される商品の対象範囲や還付方法などの詳細は国税庁の判断が出なければ決められず「どこまで影響が広がるのか、どこまで対応すればよいのかわからない」と頭を抱えている。

 取り過ぎた税金の還付を国が直接行う場合、各社は対象となる契約者の情報を国に提供するだけで足りる。しかし、国が各社に対象者への通知や還付手続きを行うよう求めた場合、コンピューターシステムの変更など膨大な作業が必要となる。これら事務手続きにかかわる費用を誰が負担するのかも不明確だ。業界内からは「国の決まりに従って代わりに税金を徴収しただけなのに……」(大手生保幹部)とぼやく声もあがるが、過去、保険金の不払い問題で契約者の不信を買った経緯もある。契約者への通知や対応を怠るわけにはいかず、対応に苦慮している。

 約3400件の年金払いの契約者を確認しているという日本生命保険の岡本国衛社長は6日、「業界全体の問題だ。混乱が起きないよう対応したい」と話した。【伊藤絵理子】

 ◇「相続税と所得税」認めず
 最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は6日、亡夫が加入していた年金払い型の生命保険に相続税と所得税の両方を課すのは違法として長崎市の女性(49)が所得税の課税処分取り消しを求めた訴訟について、「違法な二重課税に当たる」との初判断を示し、国側敗訴の判決を言い渡した。

 国税当局は1960年代前半以降、遺族が年金払い型の保険金を受け取る場合、受給期間に応じて総額の2~7割を相続財産とみなし、相続税を課税する一方、毎年の支払い分にも所得税を課してきた。

 上告審で国側は「保険金の総額(年金受給権)と毎年支払われる保険金は法的には異なる財産であり、双方に税金を課せる」と主張したが、小法廷は「同一の経済的価値に対する二重課税は認められない」と退けた。

 最高裁 公式Web /最新判例にリンク



平成20(行ヒ)16
事件名 所得税更正処分取消請求事件
裁判年月日 平成22年07月06日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 判決
結果 破棄自判

福岡高等裁判所
原審事件番号 平成18(行コ)38
原審裁判年月日 平成19年10月25日

1 相続税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)3条1項1号の規定によって相続により取得したものとみなされる生命保険契約の保険金で年金の方法により支払われるもの(年金受給権)のうち有期定期金債権に当たるものにおいて,当該年金受給権に係る年金の各支給額のうち被相続人死亡時の現在価値に相当する金額として相続税法24条1項1号所定の当該年金受給権の評価額に含まれる部分は,相続税の課税対象となる経済的価値と同一のものとして,所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)9条1項15号の規定により所得税の課税対象とならない。

2 所得税法(平成18年法律第10号による改正前のもの)207条所定の生命保険契約等に基づく年金の支払をする者は,当該年金が同法の定める所得として所得税の課税対象となるか否かにかかわらず,その支払の際,その年金について所得税法208条所定の金額を徴収し,これを所得税として国に納付する義務を負う。


  判決全文にリンク



主文
原判決を破棄する。
被上告人の控訴を棄却する。
控訴費用及び上告費用は被上告人の負担とする。
理由

1 本件は,年金払特約付きの生命保険契約の被保険者でありその保険料を負担していた夫が死亡したことにより,同契約に基づく第1回目の年金として夫の死亡日を支給日とする年金の支払を受けた上告人が,当該年金の額を収入金額に算入せずに所得税の申告をしたところ,長崎税務署長から当該年金の額から必要経費を控除した額を上告人の雑所得の金額として総所得金額に加算することなどを内容とする更正を受けたため,上告人において,当該年金は,相続税法3条1項1号所定の保険金に該当し,いわゆるみなし相続財産に当たるから,所得税法9条1項15号により所得税を課することができず,上記加算は許されない旨を主張して,上記更正の一部取消しを求めている事案である。

2 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。

・・・・・・・・

4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。

・・・・・・・

(3) 以上によれば,本件年金の額から必要経費を控除した220万8000円を上告人の総所得金額に加算し,その結果還付金の額が19万7864円にとどまるものとした本件処分は違法であり,本件処分のうち総所得金額37万7707円を超え,還付金の額22万3464円を下回る部分は取り消されるべきである。

5 これと異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,以上説示したところによれば,上告人の請求には理由があり,これを認容した第1審判決は結論において是認することができるから,被上告人の控訴を棄却すべきである。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
・・・・・



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