●公選法買収容疑、3人逮捕 陣営側「一切関知してない」
朝日 2014年12月17日01時45分
4日投開票の衆院選で、群馬県警は16日、群馬2区に維新の党公認で立候補し、比例区で復活当選した石関貴史氏(42)陣営の運動員とされる3人を公職選挙法違反(買収)の疑いで逮捕し、発表した。警察庁によると、投開票後に警察が摘発した事件のうち、買収容疑での摘発は初めてという。
石関氏の事務所は「一切関知していない。捜査対象者は選対関係者や運動員ではなく、まったく知らない。公選法にのっとって運動しています」とのコメントを出した。一方、県警は3人は石関氏の陣営の運動員だと説明している。
逮捕されたのは、いずれも群馬県伊勢崎市の会社役員本木博幸容疑者(49)と会社役員宮川陽一容疑者(37)、自営業高柳彰寛容疑者(34)。
県警によると、本木容疑者は公示後の12月上旬、宮川、高柳の両容疑者に選挙運動に使う看板を掲示するなどの選挙運動を頼み、報酬としてそれぞれ現金数万円を渡した疑いがある。宮川、高柳の両容疑者はともに受け取った疑いがある。
県警は3人の認否を明らかにしていないが、それぞれ「演説会に多数の有権者を集める目的があった」などと話しているという。3人は看板制作やイベント企画の会社を経営しているという。
●公選法違反:陣営での立場が焦点 連座制対象か 買収容疑、元秘書送検 /群馬
毎日新聞 2015年01月07日
昨年12月の衆院選を巡る石関貴史氏陣営の公選法違反事件で、県警は6日、公選法違反(運動員買収)容疑で逮捕した石関氏の元秘書で伊勢崎市議の山越清彦容疑者(43)を前橋地検に送検した。石関氏は同日、維新の党の選対委員長を引責辞任した。公選法は選挙運動に使える宣伝物に一定の制限を設け、報酬を支払える対象者も限定している。山越容疑者が陣営内で責任ある立場だった場合、「連座制」で候補者の当選が無効になる可能性があり、県警は山越容疑者の立場を慎重に調べている。
山越容疑者の逮捕容疑は、衆院選公示後の12月上旬、市内の看板製作業、本木博幸容疑者(49)に看板百数十枚の製作と設置を依頼し、現金約50万円を渡したとしている。看板は12月7日にアントニオ猪木参院議員を招いて石関氏を応援する集会を告知するためのもので、現金は看板製作費と設置作業に関わった3人の報酬になったとみられる。県警は容疑者の認否について明らかにしていない。
◆「運動員買収」とは
公選法は有権者に金品を渡して買収する行為だけでなく、「選挙運動員」の金銭授受も禁じている。選挙運動は無償ボランティアが原則だからだ。しかし、演説会の設営や撤去、運転手など、単純作業を担う人は「労務者」とみなされ、報酬を支払える。県選管は「選管が用意した掲示場にポスターを貼るだけなら労務者。一方、ビラ配布は有権者と直接関わる行為で、看板設置も場所の選定を含めて選挙運動になる」と説明する。本木容疑者と看板を設置したとされる2人の男性は同容疑で逮捕後、処分保留で釈放された。「指示された場所に看板を設置するだけなら単純な労務ともとれるし、選挙運動となるかは個別の判断になる」という。
◆「連座制」とは
候補者本人が選挙違反に直接関与していなくても、陣営の中心人物が悪質な選挙違反で有罪が確定すれば、「連座制」で失職する可能性が生じる。当選無効だけでなく、5年間は同じ選挙区から立候補できなくなる。
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