●質問事項 収支報告書の不記載、虚偽記載、業者との不透明な関係について (答弁者 市長、総務課長)
林市長が、3年前の市長選挙の期間中に、市の条例に基づいて市民に配布した「選挙運動用ビラ」には、「約束を守る」「偽りの無い、不正を徹底的に排除する政治を推進」と自らの署名入りで書かれている。しかし、役所内外から聞こえてくる声は市長の偽りを指摘している。
ともかく、市民は、市長が清廉潔癖であることを願っている。そこで、市長の行為の法律適合性、倫理の順守や透明性、公正性について問う。
(前提-1) 「政治団体の収支報告書」の「不記載」「虚偽記載」
政治団体(いわゆる後援会)は、政治資金規正法第12条の規定により、1月1日から12月31日までの収入や支出を翌年3月31日までに都道府県選挙管理委員会に報告する義務がある。記載の仕方には大原則がある。その際、領収書等を徴し難い事情があったときの記載方法も規定されている。
総務省の「政治団体の収支報告の手引」は次の通り(岐阜県選管の解説も同旨)。
「収入」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の収受をいう。財産上の利益とは金銭、物品に限らず、債務の免除、金銭・物品の無償貸与、労務の無償提供など、これを受ける者にとって、財産的価値のある一切のものをいう。なお、金銭以外の財産上の利益については、これを時価に見積もった金額を記載することとされている。
東京都選管の解説は次である。
「陣中見舞など選挙運動のためのいっさいの寄付を指し、名目について特定の規定はない。公選法に基づき、選挙運動収支報告書に記載する必要がある。」
この「政治団体の収支報告書」の「不記載」「虚偽記載」については同法25条で「5年以下の禁錮又は100万円以下の罰金」とされている。
林市長は、部長辞職(H22年12月末)後に政治団体を設立し(同年12月27日)、H23年2月18日にその収支がゼロと報告され、2年目の収支報告は市長就任(H23年4月)から約1年後のH24年3月28日にされている。
(前提-2) 「選挙運動収支報告書」の「添付書面の未提出」、「虚偽記載」
「選挙」の収入や支出については、公職選挙法第189条の規定により、15日以内に当該選挙管轄の選挙管理委員会に選挙運動収支報告書を提出する義務がある。記載の仕方には大原則がある。支出を証すべき書面を徴し難い事情があったときの記載方法も規定されている。
この「選挙運動収支報告書」の「添付書面の未提出」、「虚偽記載」は、同246条で「3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金」とされている。
林市長の選挙運動収支報告書は、H23年5月9日、17日、6月17日に提出されている。
(前提-3) 山県市議会議員及び市長等の政治倫理に関する条例
市民の直接請求運動を受けて、当時の市長(林氏は総務部長だった)が議会に提案して可決成立した「山県市議会議員及び市長等の政治倫理に関する条例(H20年3月25日 条例第20号)の第1条は、「政治倫理の確立と向上に努め、常に良心に従い誠実かつ公正にその職務を行うことを促し、もって清潔な市政の発展に寄与することを目的とする。」としている。
同第3条(政治倫理基準等)において、次を規定している。
1 議員及び市長等は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。 (1)市民全体の代表者として、品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関し、不正行為及びその疑惑を持たれるおそれのある行為をしてはならない。
(6)市及び特定団体から委託され、又は補助金を受けている団体等を自己の利益のために不正な方法で利用してはならない。
(8)政治活動は、公正かつ清廉に行うものとし、政治資金規正法及び公職選挙法を遵守し、寄附する者が特定の個別利益を期待する寄附等は決して受けてはならない。
2 議員及び市長等は、前項の政治倫理基準に違反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自ら潔い態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならない。
(前提-4) 市の印刷業務の請負会社
「ヨツハシ株式会社」(四橋印刷(株)とヨツハシ(株)の合併新会社)(以下「ヨツハシ」という)は、市が自治体合併したH15年度からH25年度まで11年間のうち8年間分の「広報 やまがた」を印刷する業務を請け負ってきた。この間の印刷費委託料約6600万円のうちの8割以上の約5400万円を占める。しかも、今後についても「2年契約済み」でH27年度まで契約している。
しかも、同社は、市の広報のほか、合併後の市の総務・企画・財政分野に限ってみても、冊子的な印刷物をたくさん請け負っている。例えば、市の総合計画、市勢要覧、男女共同参画プランなどの市の重要施策のとりまとめのほか、予算書や決算書などでの26件で約5万3000部、約1660万円であり、多くが随意契約である。
このように、山県市とは極めて関係が深い業者である。
林市長は、職員時代からの深い付き合いだ。
(前提-5) 選挙に精通した専門家の存在
先の3月議会のこの議場での私の一般質問のうち「違法な選挙運動や地位利用」の中で、市長に次の旨を質問した。「リーフレットなど印刷物は、作成に時間がかかる。どういう内容、どういう文章、どういう政策を取り上げるかというようなことを、誰が考えてあなたに提案したか。職員がかかわっているならそこも」と。
市長の答弁は、「リーフレットの作成につきましては、退職後、それなりに選挙に精通した専門家の方の御意見を、私の思いを伝えながら、そういったアドバイスをいただいて作成をいたしました。」とのことだった。
さらに、私は次の旨を質問した。「これは、1カ月じゃ絶対にできない。特に林さん、選挙は初めてですから。なれている人でも1カ月ではできない。これは16ページ、カラー。これはいつごろ、どこでつくったのか。」
市長の答弁は、「リーフレットやら、厚い政策的なことを書いたもの。双方同じような形で、同じ段階で、専門的な方の御意見をいただきながらつくった。かなり専門的にかかわってみえる方。」と答弁した。
以上を前提に質問する。
◆質問―1 収支報告書の記載方法
まず、選管書記長である総務課長に「一般論」として問う。
「寄付」、「役務の無償提供」や「領収書のない場合」の「政治団体収支報告書」及び「選挙運動収支報告書」の記載の仕方の義務付けと罰則はどのようか。
候補者の選挙(事務所)にかかる「陣中見舞」、「生花や飲食物」などの「選挙運動収支報告書」の記載の仕方はどのようにすべきなのか。
先に引用した総務省や県選管、都選管の見解と異なるならその理由も示されたい。
◆質問―2 陣中見舞、生花などの不計上
選挙にはたくさんのお酒や花などが差し入れられるのが通常だ(私は、政治活動においても、選挙期間においても、すべてお断りしている)。場合によっては現金の寄付も届く。だが林氏の後援会の収支報告書には、自己資金としての「寄付金350万円」以外に何の記載もない。
次に、選挙運動収支報告書は、「自己資金313万1584円、5万5259円、13万5999円」のほか、「寄付28万6532万円、林ひろまさ後援会・事務所借上料無償」との記載以外に、寄付も無償提供なども何もない。
「領収書等を徴し難い事情」は、「事務所借上・待後援会からの寄付」以外に記載は何もない。
市長は長く選管の書記長をしていたから、報告書の書き方を知らなかった、という弁明は通用しない立場だ。
以上の陣中見舞、生花などに関する「選挙運動収支報告書」の「添付書面の未提出」、「虚偽記載」について、このことは、公職選挙法第189条、倫理条例第条3条1項(8)に違反しているのは明らかだ。
倫理条例第3条2項及び社会通念に照らして、事実関係、違反についての見解、責任を明らかにされたい。
◆質問―3 後援会事務所費の不計上
前項のとおり、林ひろまさ後援会は林候補に市長選の事務所として「無償提供」している。
そもそも、後援会は、土地・建物を所有していない。それにもかかわらず、市長就任から約1年後のH24年3月28日に提出された政治団体収支報告書において、選挙前(つまりH23年3月4月頃)の後援会事務所の借り上げ料の計上もなく、寄付あるいは無償提供としての計上もないのは、「政治団体の収支報告書」の「不記載」「虚偽記載」だから、政治資金規正法第12条、倫理条例第条3条1項(8)に違反しているのは明らかだ。
倫理条例第3条2項及び社会通念に照らした、事実関係、違反についての見解、責任を明らかにされたい。
◆質問―4 政治団体収支報告書への選挙専門家の委託・報酬の不計上
林氏の市長選挙(H23年4月)前後の後援会の収支報告などを点検すると、後援会の印刷物はヨツハシが請け負っていた。
ちなみに後援会の収支報告の明細は、機関誌の発行、宣伝事業費の政治活動費として「まちづくりビジョン印刷費47万2500円」、「入会のしおり印刷費33万6000円」、「ポスティング代25万7727円」など7項目であり、すべてヨツハシで合計136万5586円である。
先の「かなり専門的な方」は、いわゆる「選挙プランナー」だと私は聞いている。ともかく、その「選挙に精通した専門家」から「専門家としての役務の提供」を受けたのだから、ボランティアでは通らず、業務委託料もしくは報酬が支払われなければいけない。しかし、市長の後援会の収支報告書には、「委託料」「報酬」あるいは、「印刷物作成業務費」は、先のヨツハシ以外、何も記載されていない。
仮に、「労務は寄付された」と無償労働だったとしても、それは、専門家の仕事だから「相応の金額」を「寄付金」として計上すべきことは明らかだ。しかし、その「寄付」も「無償提供」の計上もない。
「領収書等を徴し難い事情」の記載は皆無である。
「選挙に精通した専門家」に関する収支を計上しなかったことには確信犯的な悪意、不正の意図があるのは明らかだ。
ともかく、政治団体収支報告書の「不記載」「虚偽記載」が政治資金規正法第12条の規定に違反するのは明らかだ。しかも、倫理条例第条3条1項(1)(8)に違反している。
倫理条例第3条2項の趣旨及び社会通念に照らして、事実関係を回答し、違反についての見解を述べ、その責任を明らかにされたい。
◆質問―5 選挙運動収支報告書への選挙専門家の委託・報酬の不計上
選挙の収支報告をみても、同様に印刷物はヨツハシが請け負っていた。
次に、選挙運動収支報告書の印刷費の明細は、「葉書印刷代17万6400円」、「運動用チラシ代16万4640円」、「ポスター代16万8000円」の3項目、すべてヨツハシで合計50万9040円である。
「領収書等を徴し難い事情」は、「事務所借上・待後援会からの寄付」以外に記載は皆無である。この専門家に関して、全問同様に、委託料も報酬も、寄付も無償提供も計上がない。「領収書等を徴し難い事情」の記載は皆無である。
選挙運動収支報告書の「添付書面の未提出」、「虚偽記載」が公職選挙法第189条の規定に違反するのは明らかだ。しかも、倫理条例第条3条1項(1)(8)に違反している。
倫理条例第3条2項の趣旨及び社会通念に照らして、事実関係を回答し、違反についての見解を述べ、その責任を明らかにされたい。
◆質問―6 市の印刷業務の請負業者に後援会と選挙関係文書を印刷、配布させた
林氏の市長選のための政治活動のリーフレットや政策集を印刷した「ヨツハシ」は、市長選後のH24年3月1日の5社参加の「広報 やまがた」委託業務の入札において、3年ぶりに復活したという事実もある。
市の印刷物の中心的な受託業者は、印刷物のデータや手法を市の業務で保有している。この業者に自らの後援会及び選挙運動の各種の文書、資料を作成させたことは、その基礎データや手法を林氏の政治家個人としての自らの印刷物への再利用、もしくは効率的に利用しようという意図の存在は明白である。
倫理条例第3条1項(1)(6)の趣旨に違反しているのは明らか。
前問同様に、倫理条例第3条2項及び社会通念に照らして、事実関係とその責任を明らかにされたい。
以上
★自治体合併後・「広報 やまがた」の印刷会社の状況
(2014年6月2日の寺町知正の求めに対して、市が調査し、6月9日に交付された調書(太字は寺町が加筆))
★合併後の市の総務・企画・財政分野において「ヨツハシ株式会社」が作成(進行中を含む)した、○○計画、○○要覧などの冊子的な印刷物の概況
(2014年6月2日の寺町知正の求めに対して、市が調査し、9日に交付された調書 (太字は寺町が加筆))
|