全国市民オンブズマン連絡会議の年1回の大会が山形県で、今日15日と16日に行われます。
全国市民オンブズマン連絡会議の山形大会
選挙公営の問題について、この場で各地報告(5件のうちのひとつ)としての発表を頼まれました。
こちら山県市は議員の辞職が今2人。
4人欠員になれば選挙が行われ、そうなれば、いっそ「自主解散」して全員の選挙という状況です。
それで、最初は断りました。が、どうも当分の間は選挙が無い雰囲気になってきたので、今日15日5時過ぎに出て、今日午後から明日16日昼までの大会に参加することにしました。
今日のブログは、9月7日に提訴した岐阜県議議会議員選挙のポスター代の過払い分の返還を求める住民訴訟 『岐阜地方裁判所 平成19年(行ウ)第15号 岐阜県議会議員選挙公営費返還請求事件』の訴状と訴状別紙の相手方や返還請求額の一覧、そして、Webページ くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク に開設した、関連資料一式へのリンクをまとめたページを紹介します。
人気ブログランキング→→←←ワン・クリック10点
提訴のときの様子や報道記事など
●提訴日の資料
訴状の全文 印刷用PDF版 221KB テキスト版 28KB
訴状の別紙-1(2003年分の相手方と金額などの一覧) 印刷用PDF版 82KB
訴状の別紙-2(2003年分の相手方と金額などの一覧) 印刷用PDF版 88KB
●2007年6月からの山県市議ポスター代水増詐欺事件に端を発した報道記事データ
新聞データにリンク
(住民監査請求や住民訴訟などの立証資料にも使えるよう印刷用に編集)
使える資料・データはそのまま使っていただいて結構です。
ということで、今までの住民監査請求の書類のPDF版やテキスト版、条例廃止の直接請求書類なども含めて、まとめのページをつくりました。
⇒ ポスター代水増詐欺撲滅キャンペーンのページにリンク
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
岐阜県議会議員選挙公営費返還請求事件
訴 状 (抜粋版)
原告 寺町知正 外9名(目録の通り)
被告 岐阜県知事 古田肇
2007年9月7日
岐阜地方裁判所民事部御中
請 求 の 趣 旨
1. 被告は、別紙1及び2「岐阜県議選 選挙ポスター代・支払一覧」表中、「返還請求額」欄に金額の記載のある「候補者名」欄の記載の者及び同「利用印刷会社」欄記載の者に対し各「返還請求額」欄記載の各金額及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うように請求せよ。
2. 被告は、古田肇もしくは本件支出に権限のある職員に対して(計2888万6037円)を支払うように請求せよ。
3. 被告が、別紙1及び2「岐阜県議選 選挙ポスター代・支払一覧」表中、「返還請求額」欄に金額の記載のある「候補者名」欄記載の者及び同「利用印刷会社」欄記載の者に対し各「返還請求額」欄記載の各金額(計2888万6037円)を支払うように請求することを怠ることは違法であることを確認する。
4. 訴訟費用は、被告の負担とする。
との判決、ならびに第1項につき仮執行宣言を求める。
請 求 の 原 因
第1 当事者
1. 原告は、肩書地に居住する住民である。
2. 被告は、岐阜県知事古田肇(以下、「被告」という)である。
3. 原告らが被告に対して、不当利得返還請求もしくは損害賠償請求するよう求める相手方は、2003年4月執行もしくは2007年4月執行の岐阜県議選の立候補した者ののうち選挙公営制度におけるポスター代の公費負担を請求した者及びその候補者のポスターを作成したとして届け出た業者である。
4. 相手方の一部は、本件支出に権限を有して関与した岐阜県職員らである。
第2 住民監査請求前置と本件提訴
・・・
第3 選挙公営制度とポスター代の公費負担制度の概要
1. 岐阜県の県議や知事の選挙の時のポスター代、選挙カーの賃貸料や燃料費、運転手の日当などについて、候補者側から請求に基づき税金で負担する制度がある。選挙はがきの経費負担は義務的であるし、有権者に候補者の政策を周知するための「選挙公報の作成・頒布」の(経費負担の)意義は高く評価されている。
しかし、ポスターなどの公営には多様な議論がある。
2. 一説によれば、「『選挙公営』の趣旨は、お金のかからない選挙を実現するとともに、候補者間の選挙運動の機会均等を図る手段として制度化されている」とされる。が、その理屈では、「『町村の選挙』では選挙カーやポスターなどの選挙公営を採用できない法制度である」という事実の説明がつかない。
3. 選挙に出ても、適法かつ適正な政治活動、選挙運動をするなら立候補に必要な総費用は、さほどではない。お金のかからない選挙を実現することは、候補者が努力すべきことであって、税金で負担することは、各候補の選挙費用を減らすことに逆行するだけである。選挙は、意志を持って立候補するのだから、経費は候補者が自分で出すべきで、贅沢なポスター代などを公費で認めようということは筋違いである。
4. 過去に、選挙ポスター代の水増し請求が見つかった自治体もある。実際に、制度の趣旨に厳格に従って請求すれば、請求可能な金額は低いといわれる。現在の法制度で基準とされるポスター印刷単価は世の中の実勢価格と合致しておらず、引き下げる自治体もある。いまや、選挙公営は本来の制度の趣旨を逸脱して、単に候補者個人の高額な選挙費用一部補填制度である。
5. たとえば、岐阜県山県市では、本年1月16日に選挙公営条例の廃止を求める直接請求が開始された。署名が法定数に達し、その手続が粛々と進む中、3月2日の山県市議会定例会開会の初日に議員提案により、同条例の廃止が議決され、速やかに公布された。
6. 多様性は自治や分権の基本である。財政に余裕のある自治体はともかく、財政の著しく困窮した岐阜県においては、県民の理解を得られない選挙の候補者の費用を税金で負担するという制度は見直す必要がある。速やかに廃止すべき、もしくは、仮に、継続するとしても、ポスター印刷・作成代等について真実の実勢価格を基準とする条例に改正すべきである。
例えば、ポスターの紙質や印刷技術等も向上しているから、県条例において、「ポスター掲示板の2倍の枚数を上限とする」との本件条例の規定は時代錯誤であり、「ポスター作成・印刷の基準額が高すぎる」ことは本件住民監査請求で例示する事案から明白なことであって、この2点はいずれも不正の余地を生じさせるものであり、不要・過剰な部分である。
7. よって、本件制度の適用は慎重かつ厳格でなければならない。
第4 岐阜県の具体的なポスター公営制度と公費支出
1. 条例規定
2. 手続き及び契約等
3. 2003年、2007年県議選のポスターの作成経費に係る支出(参考/甲第2号証)
2003年(平成15年)4月4日届出岐阜県議会議員選挙に関する選挙運動用ポスター作成に係る公費負担は、各候補者から選挙管理委員会に選挙運動用ポスター作成契約届出書(契約書の写し添付)の提出を受け、その後の諸手続きを経て、同年7月頃までに、県は、各ポスター作成業者にポスター作成費を支払った。
選挙には、73人が立候補し、本件条例に基づくポスター公営に関しては71人の立候補者が請求した。
ポスター作成費の交付総額は4060万9225円であり、このうち、50候補がポスター1枚作成単価上限額の50%以上の額を請求し、その合計額は3584万1477円であり、50%未満の額を請求した21候補の合計の額は476万7748円である。
2007年県議選のポスターの作成経費に係る支出は、選挙には71人が立候補し、本件条例に基づくポスターに関しては68人の立候補者が請求、ポスター作成費の交付総額は3447万7538円であり、このうち、47候補がポスター1枚作成単価上限額の50%以上の額を請求し、その合計額は3075万3090円であり、50%未満の額を請求した21候補の合計の額は372万4448円である。
第5 選挙用ポスター公営制度をとりまく状況
1. 栃木市議会では2001年(平成13年)3月議会で議員提案によって条例改正し、ポスター作成費の「企画料」30万1875万円を削った。理由は、ポスター作成費の水増しがばれて、議会全体が謝って、あいまいな「企画費」の部分を0にしたものである。
栃木市議会議員及び栃木市長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例(平成6年9月27日 条例第18号)は以下のように規定されている。
「附則 3 当分の間、第8条の規定の適用については、同条中『301.875円』とあるのは、『0円』とする。」
よって、同市のポスター作成費として認定している額は、「501円99銭に当該ポスター掲示場の数を乗じて得た金額」、つまり1枚501円99銭である。
2. 愛知県豊明市の見積調査例(ポスター掲示場数の135枚を制作する場合)
A社 印刷7万5000円+デザイン料2万5000円=10万円
B社 印刷6万7250円+デザイン料4万円=10万7250円(+撮影代3万円)
選挙用ポスター1枚あたりにすれば、A社740円、B社1016円である。
A社の営業マンは、「リーフレットやはがきの印刷代もポスターといっしょに請求してくれればいいと言われることが多い」とした。
条例の基準額は、1枚2740円である。
(参考) 豊明市文化会館のコンサートなどのポスター用紙サイズで選挙用の2倍の大きさのA2版につき、紙の種類は、雨に強い紙ではあるがユポ紙ではなく、印刷枚数30枚、写真持ち込みで印刷代+デザイン料、カラーで一枚あたりの印刷代2000円である。
3. 印刷業界は、ポスター作成費で「全部突っ込み」が通常
三重県内の某自治体の選挙前、ある印刷業者が、「ポスター作成費に、ハガキやリーフレット、名刺など突っ込みで印刷しますから」という主旨を記載したチラシを配って営業活動をした。
これが、都市部等の選挙グッズ印刷業者の相当な部分の実態である。
4. 水増し部分を候補者にキックバック(現金で返す)する業者もいる。この点は、自動車や運転手でも同様である。ガソリン代については、選挙用自動車(1台に限定されている)以外の車のガソリンを請求する例もある。
5. 今年2007年6月になって、山県市でのポスター代水増し容疑で県警が市議や印刷所を捜査、7月11日に現職県議1人、市議6人、業者ら6人を書類送検した。
山県市の設置した3人の弁護士による調査委員会も7人の水増しを認定、議員主導のケース、現金のキックバックも認定されている(甲第3号証)。報告では、ポスター代上限額の53%で請求した議員も水増し請求を認めた。すなわち、上限額の50%台でも不正の余地を疑うべき事情の存在が明らかになった。山県市長は利息をつけて返還することを求め、現在、返還が終了した。
容疑の山県市議は、8月31日時点で2人が辞職している。
県内他市においても、同様の問題が報道されている。
岐阜県議会議員の選挙においても同様の懸念がなされ、本年4月の選挙に関して、県選管に返還の動きが出た。
6. 以上、実際のポスター作成費は、現在の条例基準額の3割程度で十分に作成できるというデータがそろってきているといえる。ポスター作成費の真実は、条例で基準額と設定される額の1/3程度、どう高く見ても1/2以内で済むとみるべきものである。
第6 本件における違法性もしくは著しい不当性
1. 本件条例違反
真実でない請求をしたことは、第2で述べたとおり本件条例(第2条、3条)に違背する。
2. 刑法違反
真実と異なる金額や枚数等を記載した契約書、請求書、領収書などが提出されていたら私文書偽造罪および同行使罪(偽造は、詐欺の手段として行われたもので科刑上一罪の余地あり)というべきである。
各印刷業者に対する債務は、本来候補者が自分で支出すべきものであって、県の吏員を欺いたり、欺罔(ぎもう・人をあざむき、だますこと)の結果、債務を免れた(財産上不法の利益を得た)としたら、「2項詐欺罪」(刑法第246条第2項)である。
印刷所から候補者への現金のキックバック、寄付行為による事実上の割り戻しなどは論外である。
無論、お金の動きの態様によっては、候補者がポスター代などを水増しして業者に支払って、あとで県から候補者に公営選挙の費用が支払われるという場合についての「1項詐欺罪」(刑法第246条第1項)の余地もある。
3. 地方自治法違反
本件請求手続きが契約書を提出し、選挙管理委員会等が確認したうえで作成費を交付すると規定していることは、契約書が真実であることを前提にしているのは明白である。
地方自治法第2条、「16項 地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。なお、市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない。」「17項 前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為は、これを無効とする。」とされているところ、本件に妥当する。
真実に基づかない契約書によって生じた「過払い部分」は、県が負担する必要も根拠もない債務であるから違法な支出である。
4. 地方自治法、地方財政法の原則
仮に水増しなどの行為がない請求の場合でも、50%を超える部分については通常相場と比較して著しく高いもので、かかる支出は地方自治法2条14項「最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」に違反し、地方財政法第4条1項「必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない」に違反している。
5. 予算の編成の原則
また、地方財政法第3条(予算の編成)「地方公共団体は、法令の定めるところに従い、且つ、合理的な基準によりその経費を算定し、これを予算に計上しなければならない」ところ、実態と著しく乖離した本件条例を放置して、もって漫然と予算計上した行為は同項に違反している。
6. 条例の「2倍規定違反」
本件住民監査請求において監査委員は、「ポスター掲示場の2倍の枚数まで公費負担の対象となるのは、1回のはり替え分まで公営の対象とする趣旨である」と手引きにおいて明らかとされている認定した。しかし、たった10日間の県議選において、ポスターを張り替えることを事前に企画し実行した候補をきかない。この点からすれば、張替え意思がないにもかかわらず掲示場の数を超える枚数を請求した候補は、その越える部分につき悪意をもって違法に請求したわけである。
7. 補助金規定
第7 社会通念との著しい相反
1. 信義則違反
・・・
2. 議員の責務についての社会的な認識
・・・
3. 政治家の倫理に反する
・・・
第8 岐阜県の損害
第9 不法行為責任と返還義務
1. 候補者や業者
相手方は、上記第8の2で述べた「候補者」と対応する「利用印刷会社」(業者)である。
相手方である候補者及び対応する業者は、不法行為責任があり、各候補者及び対応する業者(名目的には業者が代金を県から受け取る)らの取得した額のうちの本件請求にかかる分につき損害賠償義務あるいは不当利得返還義務がある。
よって、原告は請求の趣旨-1につき地方自治法第242条の2第1項4号に基づき、損害賠償もしくは返還請求の命令を求めるものである。
本件水増請求した部分の金員の受領には悪意があることは疑いないから、少なくとも民法規定の年5%の遅延損害金をつけて請求すべきである。
2. 知事の怠る事実は違法である
違法な支出により岐阜県に損害が生じた場合、被告は関係者に損害賠償請求もしくは賠償命令しなければならない。損害賠償請求権は「財産」に当たるところ、被告が請求権を行使していないことは、被告の「財産の管理を怠る事実」として違法である。
本件において知事が相手方(各候補者及び対応する事業者)に対して、各自にかかる交付額のうち「『ポスター1枚作成単価基準額の50%以上の請求の部分』につき返還請求しないこと」は知事の怠る事実として違法である。
3月20日の住民監査請求の後においてこのような実態であるから、知事の責任は重大である。
知事には、職務怠慢あるいは不法行為責任があり、本件請求にかかる分につき損害賠償義務がある。山県市の状況から推測すればななお更である。
本件補助金的要素からしても、知事は速やかに調査、対処しなければならないところ、無作為である。
本件支出に関して知事は財産の管理を怠る事実の違法があるから、原告は請求の趣旨-3につき地方自治法第242条の2第1項3号に基づき、違法確認を求めるものである。
3. 岐阜県職員個人に対して
(1) 知事である古田肇個人
(2) 支出権限のある職員個人
第10 本件住民監査請求及び住民訴訟の特質(正当理由の存在及び期間制限の無いこと)
1. 財務会計行為としての正当理由の存在
2003年4月執行の選挙分に関して本件住民監査請求が当該支出(財務会計行為)から1年を途過しているわけだが、そのことには正当理由がある。
水増しという事実は県民が知ることができることではない。原告は、ポスター代の請求額の全額でなく、水増し行為を原因とする損害部分のみについて当該不法行為を原因とする損害と主張して返還を求めているところ、水増しのことは秘密にされてきたわけである。そのことが、山県市の刑事事件の事案等で明らかとなり、同じ事態が本件県議選でも強く推測をもって疑われる状況になったのである。本件は、それから、速やかな期間に住民監査請求している。
2. 怠る事実に関する請求には期間制限が無い
(1) (2) (3)
(4) 財務会計職員を欺罔又は強迫して財務会計上の行為をさせたときについては、真正怠る事実である
「《1》窃盗、横領、公有財産の無断使用等、事実的侵害に基づく場合、並びに、《2》これと同視できる場合、例えば、財務会計職員を欺罔又は強迫して財務会計上の行為をさせたときについては、真正怠る事実である。」(大阪地方裁判所平成11年10月28日判決)。まさに、本件「過払額部分」に関しての評価として妥当する判示である。
3.
4. まとめ
本件住民監査請求及び住民訴訟は、ポスター作成費のうち「ポスター1枚作成単価上限額の50%以上の額を請求した候補及び業者に関しての50%以上の額を超える部分の合計額2888万6037円は水増し請求である」という観点での真正怠る事実の違法確認と、それに伴う県の損害の回復を求める主旨である。
以上、本件住民監査請求及び住民訴訟は適法な請求である。
以上
《添付書類》 別紙 原告目録
《証拠書類》
甲第1号証 2007年8月10日付け岐阜県監査委員による結果の通知 (原本あり)
甲第2号証 本件2件の選挙の請求・支払の概括表 (作成/原告寺町知正) (原本あり)
甲第3号証 2007年7月31日付け岐阜県山県市の調査報告書 (写し)
その他、口頭弁論において、必要に応じて提出する。
| Trackback ( )
|