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てらまち・ねっと



 集団的自衛権についての閣議決定の概要が自民党から示された、という。
 強い抵抗を示していた与党公明党も、ここにきて、幹部が「合意を目指す」と急転換。
 「政党の基本線」を貫く信念より、「与党であることの魅力」の方がよほど勝るのか。
 
 ここのところの報道を見てみた。
 ★(東京新聞)《党幹部はこれまで「行使を認めれば『平和の党』ではなくなる。絶対譲れない」とまで述べてきた。容認すれば「与党の立場を維持するため党是や憲法の論理を捨て、海外での武力行使につながる解釈改憲を認めた」と批判されることになる。》

 一番納得したのは次。
 ★ 社説「集団的自衛権…アベノミクス」(毎日新聞 06月17日) 《集団的自衛権の議論とアベノミクスは一見、別々のようで、実は密接に関わり合っている。
 「アジアで一番危険な人物は誰か」 「日本の指導者、『アベ』」
 安倍首相の安保政策をそう警戒視する海外投資家は少なくない。
 近隣国との相互不信が「成長戦略」に逆風となる。中国をはじめとするアジア諸国との経済統合を加速させてこそアベノミクスは意味を持つ。だが、その安倍首相の外交・安保政策は彼らを刺激し、脅威となっている。
 安倍首相は、集団的自衛権を行使できるようにしておくことが抑止力となり、地域の安定につながると言う。だが、それでは軍備増強競争となり、相互不信と偶発衝突の危険性を強め、経済を疲弊させるだけだ
 人口が急速に減少し、近隣国市場との一体化を急ぐべき日本が最も選んではならない道である。》


 ところで、今日は、議会の常任委員会。私は委員ではないので傍聴。
 議会から付託された案件の審査の後、何もなければそれで終わるのが通常。
 今回は、昨日、委員長に、集団的自衛権に関する意見書を出すことの議論をお願いしておいた。

 6月18日ブログ ⇒ ◆集団的自衛権「慎重な検討」を 自民岐阜県連が要請/山県市議会常任委員会は全会一致で可決

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●政府、閣議決定概要を提示 憲法解釈改め自衛権発動
      2014/06/16 22:04 【共同通信】
 政府は16日、集団的自衛権の行使容認に向け、憲法解釈を変更する閣議決定の文案概要を自民、公明両党の幹部にそれぞれ非公式に提示した。政府、与党関係者によると、日本への攻撃がなくても他国に対する武力攻撃発生時に自衛権を発動できることが柱。他国からの武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」への対処迅速化や、自衛隊による他国軍への後方支援拡大を盛り込んだ。関連法整備の必要性も強調し、安倍晋三首相が掲げる「積極的平和主義」の推進も明記。

 政府は17日午前の安全保障法制に関する与党協議に概要を正式に示す構え。与党内の文言調整を想定している。公明党は難色を示している。

●集団的自衛権」明記 閣議決定の概要判明
       テレ朝 (06/17 00:00)
 集団的自衛権の行使容認に向けて政府が与党に示した閣議決定の概要が判明しました。「集団的自衛権」を明記し、国際法上認められていることから行使できるとしています。

 政府は16日、与党側に水面下で閣議決定の概要を示しました。武力行使は「国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される恐れがある場合」などに限定し、「必要最小限度として許容される」としています。

そのうえで、「国際法上は集団的自衛権が根拠となる」として、国際法で認められていることを理由に、集団的自衛権の行使を容認する考えが盛り込まれています。
 しかし、公明党は「集団的自衛権」を明記した形での閣議決定に難色を示していて、調整は難航しそうです。

●集団的自衛権 公明 行使容認なら矛盾 山口代表一転「合意目指す」
         東京 2014年6月16日
 安全保障法制の見直しをめぐる与党協議で、公明党の動きに注目が集まっている。公明党は、集団的自衛権行使を認める場合でも極めて限定的にとどめる方針とし、山口那津男代表も十三日に「合意を目指す姿勢で臨む」と発言した。だが、山口氏を含む党幹部はこれまで、海外での武力行使や憲法解釈の変更は受け入れられないとの発言を繰り返してきた。解釈変更で合意するとすれば、これまでの発言に反することになる。 (金杉貴雄)

 公明党は憲法解釈変更による行使容認に対し、昨年七月に山口氏が「断固反対だ」と表明。今年四月にも「政府解釈の変更は、憲法の精神にもとる」と批判した。他の幹部も「到底賛成できない」などと強く反対してきた。
 山口氏らが特に重視するのは、これまでの政府見解との論理的な整合性だ。政権によって憲法解釈の論理が変われば、憲法が権力を縛る立憲主義や法治国家の根幹が揺らぐからだ。

 ところが、自民党の高村正彦副総裁が示した新三要件は、集団的自衛権の行使を禁じた一九七二年の政府見解のうち、自衛権を行使できるのは「国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される急迫、不正の事態」に限定するとした記述について、「事態」を「おそれ」に変えるなどして引用。見解の中核部分を用いながら異なる趣旨に転換し、自衛権行使の範囲を集団的自衛権を含め幅広く解釈できる内容にした。

 これまでの政府見解と論理的な整合性があるとは、とてもいえない。その新三要件について、安倍晋三首相は十四日、機雷掃海も議論すべきだと主張して「限定」を無意味にした。過去の山口氏らの発言からすれば、公明党は首相らの考えを受け入れる余地はない。

 だが、与党協議について「今国会中に閣議決定を」と圧力をかけ続ける首相に対し、公明党内には「連立維持のためには限定的には容認せざるを得ない」との声が広がり始めている。中堅幹部は「政治の安定、経済の再生が優先だ」と行使容認はやむを得ないとの考えを示す。

 党幹部はこれまで「行使を認めれば『平和の党』ではなくなる。絶対譲れない」とまで述べてきた。容認すれば「与党の立場を維持するため党是や憲法の論理を捨て、海外での武力行使につながる解釈改憲を認めた」と批判されることになる。

●社説 集団的自衛権/どこまで無理を重ねるのか
          河北新報 2014年06月16日
 見直しの根拠を求めて検討を重ねれば重ねるほど、不都合があらわになる矛盾。限定の枠を狭めたように装いながら、拡大の抜け穴を潜り込ませる欺瞞(ぎまん)。率直な印象を言えば、そうなる。

 安倍晋三首相が今国会中の閣議決定に向けて躍起になる、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認のことである。
 その決着をめぐって自民、公明の両与党による協議が大詰めを迎えている。反対姿勢が強く先送りを模索してきた公明党が条件闘争に転じたからだ。

 平和国家を象徴する憲法9条の制約で「権利は保持しているが行使はできない」とされ、歴代政権が踏襲し定着している憲法解釈を変更するとなれば、最低限、確固とした論拠が要る。

 「長年の政府見解との整合性」を重視する公明党の意向をくむ形で、自民党がたたき台として示したのが、1972年の政府見解を盛り込んだ自衛権発動のための新たな3要件だ。

 政府見解は「わが国への武力攻撃で国の存立が脅かされ、国民の生命、権利が根底から覆される急迫、不正の事態」を前提に、個別的自衛権の発動を認めつつ、集団的自衛権は専守防衛を逸脱し、憲法上、認められないと明確に結論付けている。
 新3要件は(1)排除する他の手段がない(2)必要最小限度の実力行使にとどめる-を加えた従来の3要件の核心部分、「わが国への武力攻撃」に「他国」の文言を付け加えて、集団的自衛権の行使を可能とした。

 要件の一部をいかにも都合よく切り取って、全く逆の結論に導いており、その理屈立ては評価に耐えない。
 公明党は「国民の生命、権利が覆される」との部分を厳格に受け止めれば、行使の範囲を狭められて容認の「高い壁」を越えられると読んだとされ、提案はあうんの呼吸でなされた。

 ただ、自民案は「覆される」に「おそれ」を添え「覆されるおそれ」とし、行使拡大の余地を残した。限定への期待も事実上、解釈次第となるわけだ。

 公明党の抵抗でたたき台を修正し、行使に厳しい枠がはめられれば、その分、自衛隊の活動は制限されて「外交・安保環境の激変」に対応するため、日米同盟の深化を図って抑止力の強化につなげる、との狙いを実現しにくくなる。自公の綱引きがぎりぎりまで続こう。

 もっとも、憲法の縛りを外してしまえば、今後の安保法制の改正で活動範囲を広げていくことはでき、当初の限定や歯止めが機能し続ける保証はない。第一、有事に際して実力行使を必要最小限度に抑えきることの困難さは指摘するまでもない。

 憲法解釈変更のよりどころを、最高裁・砂川事件判決に見いだそうとした時期もあった。迷走ぶりは、集団的自衛権行使の容認をそれに求める「解釈改憲」の手法に無理がある、何よりの証しではないのか。

 理屈をこねても「針の穴」は通し難く、肝心の国民の理解も広がるまい。必要ならば、憲法改正の正攻法で臨むしかない。

●社説:視点・集団的自衛権…アベノミクス=福本容子
     毎日新聞 2014年06月17日
◇成長戦略に逆行する
 集団的自衛権の議論とアベノミクスは一見、別々のようで、実は密接に関わり合っている。

 安倍晋三首相が記者会見で、集団的自衛権の行使容認に意欲を見せた翌日の先月16日、米ラスベガスで開かれていたヘッジファンド業界の会合では、こんな質問が飛びだした。「アジアで一番危険な人物は誰か」

 答えを求められたのは著名投資家のジム・チャノス氏だ。中国の不動産バブルに長年警鐘を鳴らしてきた同氏だけに中国人指導者を挙げるかと思いきや、口にしたのは日本の指導者の名前、「アベ」。驚きをもって受け止められ、ロイター通信などが世界に発信した。

 日中関係が険悪なところに、集団的自衛が可能になれば、東アジアで戦争が起きる危険が強まる。チャノス氏に限らず、安倍首相の安保政策をそう警戒視する海外投資家は少なくない。

 戦争に至らなくても、近隣国との相互不信が「成長戦略」に逆風となる、との見方もある。

 知日派として知られ、中国大使の経験もあるカナダのキャロン元駐日大使は、論文「アベ・ジレンマ」の中で、次のような主張を展開した。中国をはじめとするアジア諸国との経済統合を加速させてこそアベノミクスは意味を持つ。訪日外国人の倍増目標にせよ、農産物の輸出強化にせよ、カギを握るのは近隣国。だが、その安倍首相の外交・安保政策は彼らを刺激し、脅威となっている--。

 アベノミクスを片方の腕で掲げながら、もう一方の腕で、その成功に不可欠な近隣のパートナーを排除しているところに、大いなる自己矛盾を見るのだ。

 外交・安保問題が経済連携の足を引っ張り、それがさらに外交・安保に跳ね返る。この歯車を逆回転させねばならない。

 「中国、日本、韓国は(3カ国間の)経済連携協定を目指すべきだ。経済統合を深めることは、軍事対立の歯止めに役立つ」--。日米中や東南アジアのジャーナリスト、学者が参加し今春、上海で開かれた会議(日本の国際交流基金が主催)で、中国人参加者が訴えた。経済面での連携強化だけで、紛争を回避することは困難だろうが、現状では経済統合に向けた政治の努力があまりにもなさ過ぎる。

 安倍首相は、集団的自衛権を行使できるようにしておくことが抑止力となり、地域の安定につながると言う。だが、それでは軍備増強競争となり、相互不信と偶発衝突の危険性を強め、経済を疲弊させるだけだ。人口が急速に減少し、近隣国市場との一体化を急ぐべき日本が最も選んではならない道である。



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