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寮管理人の呟き

阿比留瑠比 / 政権交代の悪夢(新潮新書417)

5月1日の産経新聞の新刊レビューを見た私は駅前の書店までわざわざ出かけた。首相会見の質疑応答で菅さんをムッとさせた阿比留瑠比さんが書いた本を買うために。

本書は9つのパーツから構成されており、各タイトルはなかなか刺激的だ。

第1章 大いなる不安
第2章 隠された本質
第3章 舞い上がり、甘え、驕り
第4章 宇宙人の非常識外交
第5章 小沢とカネ問題
第6章 ルーピーの退陣
第7章 究極の55年体制、完成す
第8章 軽蔑される首相
終章 焦土にて

本題に入る前に阿比留さんは「はじめに」と題して読者に問いかける。

 政権交代とはいったい何であり、どんな意味があるのか。
 民主党に、本当に政権を担う準備と資格はあるのか。
 政権交代によって日本はどう変わり、どこへと向かうのか。

的確で辛らつな指摘が随所に盛り込まれ一気に読ませる内容だ。悪い所は明確に批判しなければ気がすまない点は備後人の性格と似通っているようにも思う。「マンセー」ばかりが聞こえた平成21(2009)年の秋は今から思うとただの「裸祭り」であった。その後片付けが一向に進まないのが現状であろう。終章では冷めた目で与党をこう分析している。

 彼らの国家観なき政治の出発点には、国家の否定があるのだ。
 「国というものが何だかよく分からない」(鳩山)とすら言ってはばからない民主党政権によって日本が壊されていったのは、あるいは当然のことなのかもしれない。彼らの言動からは国家に対する歪んだルサンチマンが漂う。
 一方、東日本大震災をきっかけに浮かび上がったのは、国家という共同体の枠組みの重要性と、それがきちんと機能することがいかに大切かということだった。国民がそのことを再認識した意義は大きい。

読了後、小説「三四郎」のある場面が頭に浮かんだ。遊び人の佐々木与次郎を阿比留さん、そして小川三四郎を国民に置きかえてみれば面白かろう。

※ 夏目漱石の小説『三四郎』の中に、地方から上京して大学に入学した三四郎が毎日まじめに登校して週四十時間も講義を聴いていると聞いて、友人の与次郎が「下宿屋のまずい飯を一日に十ぺん食ったら物足りるようになるか考えてみろ」と警句を吐くところがある。
※ 上村行世 / 戦前学生の食生活事情(三省堂選書172 平成4年)

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