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無理な試合運営が一人の選手に悲劇をもたらした・・・

2007年01月22日 | スキー・ジャンプ
こんばんは、野々村です。

先日のこのエントリで、「ジャンプはちゃんとやっていれば危険ではない」という
ようなことを書きました。
たしかに「しっかり小さい台から経験を積む」ことがキチンとされていたり、
このときは書きそびれていましたが、「ちゃんと安全な試合運営さえされて」いれば
ジャンプはそんなに危険ではないと思うのです。

ですが、選手の危険を顧みないような試合運営、たとえばべらぼうに
アプローチスピードを上げて実力のない選手が軽々大ジャンプをするような
試合であったり、突風が吹き荒れるコンディションの中で試合を強行したり
と言うようなことになったらいくらジャンプでも選手に危険が及ぶ、たとえば
突風に煽られて墜落、危険な転倒をしたりする可能性は大いにあるものです。

そしてそう言うケースがとうとう、20日のW杯で起こってしまいました。

20日にポーランドのザコパネで行われた個人ラージヒル、前日から強風で
公式練習が中止になっており、この試合中も風が不規則に吹き付けていて中断が
あったようです。
ですがこういうコンディションの時はこの間のHBC杯のように選手の安全を
考えて思い切って中止にすべきだったと思います。
あんな事が起こってしまっただけに・・

1本目15位だったチェコのヤン・マゾフ選手が空中に飛び出した直後、
後ろからの突風を受けて右の板が完全に落ちる形で墜落、ランディングバーンに
叩きつけられた際に頭を打ち、意識を失い病院に運び込まれました。
昏睡状態で重体という報道もありましたが、ヨーロッパの大手スポーツ専門チャンネル、
ユーロスポートのサイトにあったニュースソースを訳してみると、
意識は戻らないものの容体は安定していること、
ただ当初危険な状態というので脳へのダメージを抑えるために人工的に昏睡状態に
入れられて、検査結果次第では起こされる事もあること、
最新の検査では脳の状態に当初からの変化はないらしいと言うこと・・・

そう言う状況で、今は彼の無事を祈るのみですが、それもそうですが今僕が
言いたいのは競技を運営するジュリー(競技委員会)は本当に選手の安全を
考えているのか疑問に思うような競技運営をしているな、と思うんです。
今回だって相当風が強くしかも不安定で時折突風というジャンプの試合をやっては
いけない気象状況だったそうです。

転倒した瞬間の映像(ご覧になる場合は「これを見てもジャンプに対して偏見を
持たない」と約束した上で心してご覧になってください。かなりショッキングです。)
を見た限りでは明らかに後ろからの強い突風に板が叩かれています。

はっきり言って今回の事故は未然に防げたと思います。
このような転倒の仕方はちゃんと選手の安全を考えて運営される試合では
絶対にあり得ないもの
でしょう。
大体9年間ジャンプを見てきて世界のトップレベルでこんな転び方あり得ません。
この状況では選手が危険にさらされてもおかしくない状況で
強行したとしか思えません。
ジュリーは1本目終了後、2本目で風が強くなったのを見て即1本目勝負、
つまり2本目をキャンセルにすべきでした。
先述の通り先日日本でもHBC杯が時折突風が吹くので選手の安全を考慮して
中止になりましたが、W杯レベルで観客も多く前の試合も中止になっていたとはいえ
こちらももっと選手の安全にはシビアになっても良いのではないかと思います。

僕は先日「ジャンプは危険ではない」と書きました。
今回は運営側がジャンプを危険な競技に仕立て上げてしまったのですね。
どんな安全なスポーツでも明らかに危険なコンディションでやれば危険なものです。
じゃんけんだって車道でやるのは危険でしょう?極端な話ですが、そう言うものです。
競技を運営する側はそこをちゃんと考えて欲しいところです。

(翌日追記)
ポーランドのアダム・マリシュ選手(だと思うのですが)の話では今回の一件の原因の
ひとつにマゾフ選手の風への空中での対応の甘さもあったとのことです。
まぁ以前W杯で大貴が風に煽られたとき上手く着地したそうですし、岡部さんは
プラニツァのフライング大転倒しておきながら無傷で済み、顔が腫れてかっこわるく
なっていないか気にするほどでしたからそういう風にちゃんとした空中技術を
持ち合わせていればある程度は立て直しは可能かも知れませんが、日本だと大抵
ジュニアはしっかり鍛えてW杯はそれなりに技術をつけてから出てますけど
向こうじゃ若手選手が勢いそのままに出てくる印象がありますからね・・
パワーと勢いでは勝っても空中制御など技術面に関してはまだ未熟なんでしょうね・・
僕や大貴と同じ21歳だそうですが、マゾフ選手は。
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3 コメント

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ちょっと違うかもしれないけれど・・ (megu)
2007-01-24 17:51:58
ノルディックのWorldCupBでも 12月末、驚くべき事が起きていましたヨ。
試合中に コースを係りのおじさんが横切って、選手とクラッシュ! 選手は脳震盪を起こし救急車で病院へ。 当然、その試合は「棄権」扱いでポイントなし。 それまでジャンプの調子が良く・・ポイント稼いでいただけに 可哀想でした。

★ だってね、
  小学校の運動会のリレーやっているのではないのだから!!
  WorldCupなのだから・・!!

 なんで競技中におじさんが そのコースを横切るのですか?! 


しかも彼のブログによれば おじさんと目が合ったって。 当然止まると思いますよね、選手は試合中・・止まれないのだから!

(彼はぶつかって、お腹のものすべて吐いてしまい、その時の記憶も飛んでいるようです。 詳しくは彼のブログを⇒http://blog.goo.ne.jp/icanfly_2005

彼はその後10日ほど休んだだけで、お正月明けから又WorldCupに出場していますが、後遺症でないのか、心配です。

Unknown (Ryo)
2007-01-24 18:21:47
Poziomkaさんのページから飛んで参りました。
今回の事故はもちろん競技委員会の大会の強行が一番の原因でしょうが、他の部分では賛否両論にもなっているようです。
野々村さんも上に書かれていますが選手の未熟さも問題のようです。「パワーと勢い」はあるけれど経験が足りないと言った感じですね。
スキージャンプでは「足を曲げてしまうこと=惨事」を意味するんだということは選手は最初から分かっていることですし、マゾフ選手は当日、気候にふさわしくない薄めの板をはめていたことも風へのコントロールを不可能にしてしまったようです。記録を伸ばすことに焦点を当てていたのでしょう。

と言うことでこの事故は最悪の要因が揃ってしまった状態でおこってしまったんだと思います。
因みにマゾフ選手は9歳の頃にも練習中風にあおられて転倒して膝を痛めたことがあるそうです。

アダム・マウイシュ選手は「この職業は『落下の危険あり』の肩書き付です。」とコメントしています。つまりスキージャンプ選手と言う職業そのものが「サーカス」なのだと言いたいようです。
レスです (野々村@管理人)
2007-01-25 14:19:14
>meguさん
うわ、ひどい話ですね、役員という立場でありながら選手が通るコースに入るなんて。
しかもその選手、誰かと思えばmeguさんが応援されていると言ってた選手じゃないですか!?
本当、後遺症がなければ、と思います。

>Ryoさん
マゾフ選手の板の件ははじめて知りました。
そういうことがあったんでしょうね・・
ただそうなってくるとチームスタッフからのアドバイスはなかったのでしょうか?
ともあれジュリーにしろ選手にしろ記録を伸ばすことを考えすぎていて危険な道に足を突っ込んでいる感じです。
マリシュ選手の発言、「職業そのものがサーカス」というよりサーカスになるような運営がまかり通っている現状を皮肉っていっているような気がします。
長野のシーズンだったかにフィンランドのライティネン選手がオーバースピードが原因で飛びすぎて転倒、負傷してその後各国の選手、コーチを巻き込んで署名運動に発展したみたいに今回も選手からは安全を考慮するよう求める声が出そうですが・・

ともあれジュリーも選手も、飛距離という結果も大事ですがまず安全ありきということを考えてほしいです。
安全な範囲で距離を競えばいいわけですから。そのためにヒルサイズ(旧ジュリーディスタンス)があるんですから。

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