竹取翁と万葉集のお勉強

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後撰和歌集 巻14 歌番号1034から1038まで

2024年03月15日 | 後撰和歌集 現代語訳 巻14
歌番号一〇三四
原文 宇多為无尓者部利个留飛止尓世宇曽己川可者之个留
可部之己止毛者部良左利个礼者
読下 宇多院に侍りける人に消息つかはしける、
返事もはべらざりければ

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 宇多乃々波美々奈之也末可与不己止利与不己恵尓多尓己多部左留良无
和歌 うたののは みみなしやまか よふことり よふこゑにたに こたへさるらむ
読下 宇多の野は耳なし山か呼子鳥呼ぶ声にだに答へざるらん
解釈 宇陀の野と思っていましたが、実は、耳成山だったのでしょうか。宇多院に勤める貴女に文を出しましたが、耳なしで聞こえないのか、私の呼子鳥が呼ぶような問いかけの声にも答えないままです。

歌番号一〇三五
原文 可部之
読下 返し

原文 於无奈以川乃美己
女五のみこ(女五内親王)

原文 美々奈之乃也末奈良寸止毛与不己止利奈尓可八幾可无止幾奈良奴祢遠
和歌 みみなしの やまならすとも よふことり なにかはきかむ ときならぬねを
読下 耳なしの山ならずとも呼子鳥何かは聞かん時ならぬ音を
解釈 耳成山で無くても呼子鳥の声をどうして聴けるでしょうか、時期に適わぬ、その呼子鳥の声を。(貴方は、時と場をわきまえない、無風流な人ですね。)

歌番号一〇三六
原文 徒礼奈久者部利个留人尓
読下 つれなく侍りける人に

原文 堂々美祢
読下 たたみね(壬生忠岑)

原文 己飛和日天志奴天不己止者満多奈幾遠与乃多女之尓毛奈利奴部幾可奈
和歌 こひわひて しぬてふことは またなきを よのためしにも なりぬへきかな
読下 恋ひわびて死ぬてふことはまだなきを世のためしにもなりぬべきかな
解釈 恋焦がれて死ぬと言うことは、まだ、無いようですが、この私は貴女に恋焦がれ、その恋に死んだという世の前例になりそうです。

歌番号一〇三七
原文 堂知与利个留尓於无奈尓个天以利个礼者川可八之个留
読下 立ち寄りけるに、女逃げて入りければつかはしける

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 可个三礼者於久部以利个留幾美尓与利奈止可奈美多乃止部者以川良无
和歌 かけみれは おくへいりける きみにより なとかなみたの とへはいつらむ
読下 影見れば奥へ入りける君によりなどか涙の外へは出づらん
解釈 貴女の姿を見ると、貴女は屋敷の奥へに逃げ入ってしまった、恋焦がれる貴女の振る舞いに、どうしてでしょう、私の涙は外に出て来るようです。

歌番号一〇三八
原文 安比尓个留於无奈乃万多安者佐利个礼者
読下 逢ひにける女の、又逢はざりければ

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 志良佐利之止幾多尓己衣之安不佐可遠奈止以末佐良尓和礼万与不良无
和歌 しらさりし ときたにこえし あふさかを なといまさらに われまよふらむ
読下 知らざりし時だに越えじ相坂をなど今更に我まどふらん
解釈 貴女との肌の触れ合いを知らなかった時でも、簡単に越えた逢坂を、どうしてでしょう、今更に、私は貴女への愛の手管にまごついてしまいます。(営みが下手だと思わないでください。)


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