なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

寄生虫感染症セミナー

2015年10月31日 | Weblog

 今日は臨床微生物学会の寄生虫感染症セミナーに行ってきた。埼玉県川越市の埼玉医科大学川越クリニックで開催された。新幹線で大宮まで行って、埼京線(初めて乗った)で川越まで約20分くらい。

 教育講演1「内科学としての寄生虫学」(防衛医科大学校呼吸器・感染症内科の前田卓哉先生) ICD講習会で寄生虫に対する情熱が伝わる講演をされて、印象深かった先生。検便検査を出して、寄生虫スクリーニング(交差反応が多い)を行うだけでは、診断はつかない。直接塗沫法(ヨード染色)、ホルマリン・エーテル法、ショ糖浮遊法をの3種類を行う。腸管内発育を考慮して、虫卵のままか(回虫・鞭虫・鈎虫)、幼虫までで発育するか(糞線虫)を区別する。条虫は、子宮孔があって排卵可能なので切れない出る日本海裂頭条虫、子宮孔がないので体節を切り落とすもののうち、運動性があるのが無鈎条虫、運動性がなくてとろけてしまう有鈎条虫。

 教育講演2「寄生虫の基礎知識」(目黒寄生虫館・巌城隆先生)、教育講演3「寄生虫卵、幼虫および原虫類の検査法と鏡検法のポイント」(埼玉衛生研究所・山本徳栄先生) 寄生虫のスライド・動画で多数の寄生虫を提示。

 教育講演4「最近問題となった衛生昆虫類」(国立感染症研究所・小林睦生先生) コロモジラミが媒介する3種類の感染症、発疹チフス・回帰熱・塹壕熱。日本にあるのは塹壕熱でホームレスの寄生率が高い。今後独居高齢者のコロモジラミ対策も必要。マダニから感染する重症熱性血小板症候群(SFTS)は何故か近畿地方から西南日本の分布。SFTSは死亡率が高い。デング熱が流行した背景(感染者が日本にウイルスを頻繁に運び込んだ)や、チクングニア熱の輸入症例が出ていることも。

 寄生虫学のいい本がない。前田卓哉先生が羊土社から出版してくれたら買います。寄生虫のセミナーに行ったのは、暇だったから。

 

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