なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

インフルエンザの後に

2024年03月11日 | インフルエンザ

 3月7日(木)に外科外来に来てもらっている先生から電話が入った。以前は当院に勤務していた先生で、現在は別の病院に勤務している。週1回の外来応援は続いている。

 33歳の息子さんが、5日前から発熱が続いているので診てほしい、ということだった。発熱外来の扱いで来てもらうことにした。

 3月2日(土)から38℃の発熱があり、市内の医院を受診した。咳と鼻汁もあった。コロナとインフルエンザの迅速検査は陰性だった。3月3日(日)に当番医を受診してインフルエンザA型と診断された。39℃の発熱が続き、咳と痰(黄色痰)が続いている。

 3月5日に受診した記録があり、点滴500ml2本が出ていた。ついでに胸部X線や血液検査をすればよかったのにと思ったが、実際はその日外来診察に来た先生が点滴を持ち帰って自宅で点滴をしていた。

 電話では、インフルエンザ後に肺炎を来した可能性があります、と伝えていた。発熱外来で検査するとコロナとインフルエンザの迅速検査は陰性だった。6日目だとインフルエンザは出なくなるのだろう。

 欧米ではインフルエンザの迅速検査(抗原検査)は当てにならないとされている。それは日本のように発症日やその翌日に受診するのではなく、発症4~5日後に受診するので陰性に出やすいことによるそうだ。

 診察室に入ってきた印象では、それほどぐったりでもなかった。診察しても特に所見はなかったが、軽度の肺炎があるのだろうと思われた。1時間おきに黄色痰が出るというので、喀痰培養を提出した。

 胸部X線では明らかな肺炎像はなかった。血液検査では白血球5500・CRP12.0と炎症反応上昇があり、ウイルス性よりは細菌感染らしかった。先生からの依頼ということで、胸部CTで確認したが、それでも肺炎像はなかった。

 インフルエンザ自体は治っていて、併発した細菌感染による症状と思われるので、抗菌薬で経過を見ますと伝えた(本人と先生の奥さんに)。セフトリアキソン点滴とレボフロキサシン内服とした。

 

 3月11日(月)外来に来たが、翌8日には37℃台になり、9日はすっかり解熱していた。黄色痰も出なくなったという。

 父親に結果を話したところ、副鼻腔炎だったのではないかといわれたそうだ。ふだんは鼻副鼻腔炎の症状はないが、以前はあったらしい。

 今回は後鼻漏は自覚的にも他覚的にもなく、頬部痛もないが、肺炎像がないことからは細菌性副鼻腔炎だった可能性はある。肺に基礎疾患がないと細菌性気管支炎というのはほぼないことになったいる。

 抗菌薬をちょっとだけ追加して飲み切り中止とした。診断ははっきりしなかったが、とりあえず義務は果たした。

 

 インフルエンザを発症する前に香港に二泊三日で観光に行っていて、外科に先生が気にしていた。発症前日に帰国しているが、香港だとインフルエンザに罹患することはあっても、東南アジアにような蚊媒介感染症などは考慮しなくていいと思う。

 

コメント
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