散歩者goo 

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昨日記171009月(コーヒーマシン設計の思い出 みんぱく標交紀のコーヒー)追

2017年10月11日 18時41分26秒 | 日記(昨日記・今の思い考え・行動・情況)
最高/最低   29.0  20.7  晴
午前中、前日同様、昨日記171003を読み返し、以前から思っていた21世紀の資本に関する考えを書いた。
みんぱくへの出発時間が迫る中、必死の思いで加筆し何とか加筆は上手くいった。
加筆が終わるとすぐに自転車で、みんぱくに出かけた。
以前申し込んでいた、「標交紀のコーヒーとは」のワークショップ抽選に当たったので行くことにした。
30代の後半、大阪の放出にある食品機械製造販売会社で、国産初のコーヒーマシンの開発を指揮し、私自身おいしいドリップコーヒーの抽出方法の研究した関係から、このワークショップは是非行きたいものだった。
そもそも30代に約10年間勤めた会社は、一時期UCCのコーヒーミル製造の下請けをしていた。
それ以外にもキーコーヒとかその他数社のコーヒーミルを作っていた。(私は、一度もコーヒーミルの設計にかかわったことは無く、ジュースディスペンサー(冷却)類や輸入品の改善<ジェラート、アイスクリームショーケース、コーヒーマシン、・・・>等の改良、開発を行い、全製品の電気冷凍関係の設計を行ったが、のちにプレシャーフライヤーやオーブンを含むコーヒーミル以外の技術責任者となり、技術部門を統括し、コーヒーミル以外の開発改良製品全ての検図作業や生産工程改善や不良品対策も行った。)
コーヒーマシンの開発の時には、そうしたつながりを利用して、各焙煎メーカーの研修センターで専門的なドリップコーヒーの淹れ方を学んだ。
コーヒーに関する文献や雑誌も読み漁った。
休日には神戸、京都、の有名なコーヒー店のコーヒーを飲み歩いた。
そうしたことを重ねたうえで、機械でおいしいコーヒーを抽出するにはどういう条件が必要か、様々な実験をした。

余談になるが、その時工業高校を卒業して最初に入った環境試験装置のトップメーカー(入社当時天神倍筋近くの中堅の町工場だったが、そこで様々な技術を学び<部長以外の技術者は、上司を含めよく似た技術レベルで、皆、技術的問題解決のため社内に常備された各種専門書や最新の専門誌を読み、メーカーの営業技術者と話し最新技術を吸収していった。>研究開発し、会社の発展とともに最先端の技術や考え方も自分のものにした。)で培った技術の一つが、温度の精密測定技術で、初めは先輩に教えてもらい、更に自分なりに研究工夫した熱電対による高度な計測技術を自分のものにし、そうした技術がコーヒーマシン開発でも生かされた。
(正確な局部温度を測定することは非常に難しく、測定誤差で設計値が大きく変わり、設計ミスの原因となる。実際、環境試験装置の会社にいた時、人事異動で後輩が私の仕事を引き継いで放熱フィンの設計を担当したが、私は彼の計測方法が雑で欠陥があることを見抜き、彼に問題点(熱電対の太さや取り付け方や風の流れで大きな測定誤差が発生する)を具体的に忠告し上司にも言ったが問題にされず、彼は無視して実験し設計を進め製品化し、私が設計した物より表面積を小さく小型化しコストダウンでき評価された。しかし後日、彼が設計した放熱フィンを使用した基幹部品である電力制御素子が、私が可能性を指摘したとおり、次々に熱破壊し大問題になったことを後日聞いた。)

30代に10年間務めた会社では、輸入品のジュース冷却機が日本の夏の暑さに耐えられず、トラブルが続いたのでその対策を命じられたが、冷凍サイクルを設計するにはどうしても恒温室が必要であった。
20代に10年間勤めた会社のプレハブ式恒温室は高額なので、自社で作れと社長が無理難題を言ってきた。
仕方ないので、工場内に断熱の効いた木骨の部屋を自分で設計し、大工さんに作ってもらい、大型クーラーとヒーターとラインフローファンを設置して、オンオフ制御で恒温室の室温を±0.5℃程度に制御できるような恒温室を完成させた。(温度分布も対策した。)
それを駆使して、冷凍サイクルの設計や、輸入品の外装の改良や、国産のジュース冷却器の大幅コストダウン(蒸発弁の廃止し、キャピラリチューブを蒸発弁にするが、これには冷媒充填量<それまではチャージシリンダーで実際は良くても5g程度の精度の冷媒充填>の1g単位の精密な計測が必要で、そうした自動充てん装置も私が開発し、高度な冷凍サイクルの品質管理を行う生産ラインを、私一人の設計で完成させた<私以外設計開発や品質管理の技術指導ができる人はいなかった。その後サービス部門の強化にも取り組みシステム化し、マニュアルも作った。>)等様々な技術的成果を実現し、最後の数年間は技術部門の総責任者<設計・開発・品質管理・生産技術・営業サービス指導>としてチームを指揮管理した。<コーヒーミルのみ以前の上司が別部門として担当>。
こうした技術には、計測器の精密な温度測定が不可欠で、恒温室制作時に、精密温度コントローラや自動温度記録計も購入してもらった事が、コーヒーマシンの開発に大きく役立った。

コーヒーマシン開発にあたっては、ドリップコーヒーを抽出するときの時間や温度や蒸らしのタイミングやシャワーの状態を様々に変更し、官能検査で味香りや「えぐみ」を調べた。
コーヒーの抽出量によっても立て方が違う。
私が開発した機械は、一回の抽出量が1リットル以上あったと記憶している。(約2リットル?)

基本的においしいコーヒーの淹れ方は科には、先ず、豆そのものの種類<産地も含む>(果物でも、どの種類が最高とは言えない嗜好の問題がある。)や、豆の栽培管理の問題や、豆そのものの仕上げ・処理<コーヒーの果肉を除去し、豆を取り出し、水洗、乾燥>の良し悪しや、保管運送時の保存状態や鮮度が大きく影響する。
通常、先に述べた鮮度の良い乾燥された生豆を焙煎するが、その焙煎の仕方(器具により大きく差が出る)もマスターの好みで大きく変わる。
更に、焙煎された豆を単品で使うか、ブレンドするかという問題もあり、通常は豆の選別やブレンドもマスターの腕の見せ所である。
焙煎された豆の保管時間も問題で、焙煎後の保管時間は短いほど良い(酸化劣化しない)
その後焙煎された豆は、コーヒーミルで粉砕し、コーヒーの粉を使って、コーヒーを抽出する。
ドリップコーヒーには、実験では粗びきの豆を多く使用し抽出するとえぐみの少ないおいしいコーヒーが抽出できる。
豆の粒子が小さくなる程、えぐみが出やすく濃くなる。(通常は中挽きを使用)
エスプレッソは、微粉末のコーヒーを高温で圧力をかけて抽出する。(専用器具が必要)
また、抽出方法(ドリップ・サイホン・水出し)や抽出器具(ネルドリップかペーパーか、メリタ・カリタといった抽出器の差)や温度や蒸らしのタイミングでも、味香りは大きく左右される。
ドリップの場合お湯の注ぐタイミングや注ぎ方で変わってくる。(これが、一般的には味香りに大きく影響を与えていると誇大に刷り込まれている。それは、おいしいコーヒーを提供するマスターが誇大に権威付けして説明や指導するために生じた刷り込み・神格化されたと考えている。だがコーヒー抽出技術の役割を否定するものではないが、先に行ったようにコーヒーの味香りを豆の良し悪しや、焙煎方法やロースト後の鮮度や豆の挽き方<例:コーヒーミルによっては豆の粉を加熱し劣化させる、熱を出さない石臼が良いという人もいる。>の方が大きく影響することは間違いない。それ以上に個人的嗜好といった価値観の方が先に来るのが評価の実態と考えている。)

一般的にドリップの場合、抽出前の蒸らしが重視されるし、実験でも蒸らしは、香りやコクを出すにはかなり重要な要素だったと記憶している。
蒸らしのタイミングは、豆の量や粗さやその他様々な条件で変化し、現場に合った方法で見出すしかないだろう。(こうしたこともマスターのノウハウとなる。)
予め、豆極少量の熱湯でまんべんなく蒸らすが、その時、下に雫が落ちるか落ちない程度にとどめておく、数十秒後、静かにお湯を注ぎ抽出を開始する。(「の」の字型の抽出とか、中央からの抽出とかマスターにより、様々なやり方があるが、いずれもドリップ中に、豆の粉を攪拌しないように静かに抽出することがコツのようだ。実験では乱暴に立てるとエグミみが増えた。)

コーヒーを淹れるときの温度は、好みによって違うが、えぐみをなくし、香りを引き立たせるには85℃から90℃余りがよかったように記憶しているが定かでない。
温度が高い場合や、抽出時間が長くなると、不要なとえぐみが出る。
85℃程度で飲むと、ぬるく感じおいしくない。
呑むときの温度も味に関係しているようだ。
こうした関係で、コーヒータンクの保温温度も研究した。
コーヒーを高温で保温すると、コーヒーは酸化し急速に劣化するが、特殊な処理を施したタンクに保存したり、空気に触れさせなければ酸化は抑制される。
それ以外に、先に述べた蒸らしのタイミングや、シャワーリング(手だてではケトルからの湯の注ぎで、これが職人芸となる。)も重要な要素である。

ファストフードで、デカンタで30分余り置かれたと思われるコーヒーを飲まされることは多い。
安いので、仕方なく飲んでいるが、コーヒーの香りが飛び、えぐみが立っていて非常にまずい。

話を元に戻すが、大急ぎでみんぱくに向かい、千里中央のファストフードで、軽食をとった後みんぱくに向かったが、なんと万博公園ゲートでは短い時間入場制限があって焦った。
ワークショップの前に、鼎談があり10分程遅れて参加した。
門脇祐希氏(山形県鶴岡市の自家焙煎咖啡専門店「コフィア」店主)のお話を聞く形であったが、満員だった。
その後ワークショップで、門脇祐希氏の淹れたコーヒーを飲むことが出来た。
素直な味だったが香りはそれほどなかった。
門脇氏は、自家焙煎咖啡専門店の伝説的存在である「もか」の店主の標交紀のもとで11年間修行したという。(「標のコーヒー焙煎機と咖啡ノートを受け継ぎ、現在現役で活躍する唯一の弟子である。」とみんぱく資料に解説されている。)

みんぱくの帰り地下鉄の一駅前で下車し、約2.5km余りを歩いて帰った。
自宅の前に着くと、自転車がない。
即、昼前に慌てて自転車に乗って地下鉄の駅に向かったことを思い出した。
疲れたので、自宅に入り、軽く牛乳等を飲んでから、歩いて地下鉄の駅に向かった。
夜9時過ぎ、駐輪場にポツンと自分の自転車があった。
帰宅後慌ただしく、調理、夕食といつもより多少遅い時間から日常が戻った。
多少、疲れた一日だった。



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