伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

蜃気楼のすべて!

2016-05-30 00:38:26 | 自然科学・工学系
 蜃気楼の原理、発生場所毎の観察スポットや見え方、研究の現状等を解説する本。
 下部が低温、上部が高温の逆転層ができたときに、空気中の光速が密度が低い(高温)部分で速く密度が高い(低温)部分で遅くなることから遠方からの光線が下向きに曲がり通常時よりも上から目に入ることになるために、遠方のものが上に伸び上がって見えるために蜃気楼が発生する、と説明されると、なるほどと思います。逆に下側が高温だと遠方からの光線が上向きに曲げられて下から目に入り下に遠方の景色が見える、それがアスファルトの道路が熱くなると「逃げ水」が見える原理とも。
 それを実験で見せるのに、砂糖水(密度が高い)を下側に注入した水槽を通して景色を見ると一番簡単に再現できるというのも、言われればなるほどと思います。
 でも逆転層が生じればいつも蜃気楼が見えるわけでもなく、蜃気楼の名所(例えば魚津)で逆転層が生じるメカニズムもまだ十分わかっていないそうです(魚津について、よく言われてきた雪解け水が流れ込んで海表面の水温が下がるためというのは間違いで、実は高温の大気が移流してくるのだけれどもどういうメカニズムで高温の大気が移流するのかは未解明だそうです)。蜃気楼の研究自体が、定点カメラ等の技術が進んだごく最近になって本格的に始まったばかりだとか。
 水平線に沈む太陽が歪んで四角く見えることがあるのも、蜃気楼と同じ現象なのですね。


日本蜃気楼協議会 草思社 2016年4月20日発行

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