伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

6日目の未来

2013-03-23 01:00:38 | 物語・ファンタジー・SF
 イケメンの陸上部の先輩に憧れつつチャライ男とつきあっている高校2年生のエマと、隣に住む幼なじみの高校1年生のジョシュが、1996年に15年後の未来のfacebookを発見し、そこでエマは結婚生活に絶望し、ジョシュは学校一の美少女と結婚しているという未来を見て驚愕・動揺して悩むという青春恋愛小説。
 15年後の未来がわかるという設定はSFですが、エマが何かをする度に15年後のエマのfacebookのプロフィールや書き込みが変わっていき、バタフライエフェクト(ブラジルでの蝶の羽ばたきがテキサスでトルネードを引き起こす)が現実のものとなるのを目の当たりにし、それに一喜一憂する様子の方がテーマになっています。未来を知ることの驚きや絶望も、未来がこれだけあやふやなものなら、知っていても知らないのと同じことじゃないかと思えます。結局は、未来を知るというのは素材・道具となっているだけで、普通に青春している男女の恋愛小説とも読めます。
 作者が男女のペアで、語り手はエマとジョシュが交代で担当しています。私は自分が男性なので、ジョシュの側の視点で読みましたが、この分担がどちらの読者にも入りやすくしているかもしれません。
 ジョシュの立場で、幼なじみの1つ年上のエマを好きな気持ちがあり、半年前に思いを打ち明けてキスしようとして親友なのにと断られて気まずくなったことを後悔し続けているという状態で、学校一の美少女と結婚している未来を見せつけられて現にその美少女から誘われた場合、悩ましいでしょうね。しかも、その美少女も、小説でありがちな、美人だけど性格が悪いという設定じゃなくて、いい子だということになると。そういう実生活では味わえない贅沢な悩みを考えさせてくれるのが青春小説のいいところでしょうか。


原題:The Future of Us
ジェイ・アッシャー、キャロリン・マックラー 訳:野口やよい
新潮文庫 2012年12月1日発行 (原書は2011年)

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