伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

学校では教えない「社会人のための現代史」

2016-10-25 00:07:27 | 人文・社会科学系
 元NHK記者の著者が東工大で行った「現代世界を知るために」と題する連続講義を出版したもの。東工大講義3部作の最後だそうです。
 世界史になると、著者の共産主義と計画経済への嫌悪感があらわになります。この本では、もっぱら戦争について、歴史から学ばなかったのかと嘆いています。「50年前の核戦争から、世界は何を学んだのでしょうか」(119ページ)、「米国は、一度はベトナム戦争に学んだのですが、まもなく忘れ去り、同じような悲劇を繰り返しています」(137ページ)、「自国の都合で他国に手を突っ込むと、結局は自国に難題が降りかかることがある。各国とも、これを繰り返してきたのです。こうした愚かな歴史を知ることで、少しでも失敗を繰り返さないようにする。これが現代史を学ぶ意味なのです」(242ページ)。このあたりがこの本を貫く主張のように見えます。
 コラムで、学校で現代史をほとんど教えないのはまだ「定説」になっていないからと書き、東工大の学生たちには、「池上の話は正しいのか?」と批判的に聞く姿勢を忘れるな、と伝えていますとしています(31ページ)。趙紫陽について「趙紫陽(1919~2005)」「失脚後は20年以上自宅に軟禁された」と記載されています(165ページ)。1989年6月の天安門事件で失脚し、2005年に死亡した趙紫陽がどうして「自宅で20年以上軟禁され」続けられるのか、「池上の話は正しいのか?」。
 韓国・朝鮮人の名前は現地読みでフリガナを振っていながら、中国人はフリガナを振らない(李登輝と江沢民だけ、日本語読みでフリガナを振っている)のはなぜなのでしょう。


池上彰 文春文庫 2015年11月10日発行(単行本は2013年10月)

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