★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

選挙だよ 全員秋毫2

2014-12-14 15:16:40 | 思想


そういえば、この前の選挙で我が町は開票作業に不正があったとかニュースになっていた。気になったのは、やたら開票作業が迅速であることを求められ、たしかランキングまでつけられているということであった。それが不正の原因の一つであることは確かなのではないか。開票作業で何を焦ることがあるのであろう。選挙管理委員会か役場かどこへかしらないが、早くしろ、順位をつけるぞと脅迫している連中がいるのではなかろうか。大学においても、ランキングをつけたがる人間は100%馬鹿であるが、たぶん象牙の塔以外でもそうなのであろう。

選挙だよ 全員秋毫

2014-12-14 07:41:18 | 思想


「アベノミクス」なんつーのは効果が出てるかでてないのか庶民にはさっぱり分からんし、というのは、安部が出てくる前から暗黒だったから、暗黒時代が続いていたとしてもやつのせいでそうなったかどうかは分からんからである。このまえオバマが「安部の言うより日本経済はやばい」と口走っていたが、安部の口調より普通の口調なので一生懸命な主張ではなさそうだ、……というのは冗談だが、そういう印象を受ける庶民は多分多い。暗黒が続くと、とにかく希望を強く言うやつに付いていってしまうのは、どこの国でもそうなのであろうが……、ゆえに安部の口調はどんどん強めになっている。安部のせいではない。「温度差」で「アツい」ほうがいいとか、「ぶれない」のはいいとか、人間をはかるとは思えない形容が肯定的に用いられるようになってから、もう日本には「内容」を問題にする空気がなくなっているから、安部みたいなのがでてくるのである。

「アベノミクス」を問う選挙にしたいのは、完全に自民の党利党略なのであり、明らかに違憲らしく思われるが、まあ明確に権力者の解散権を制限する基準もいまはなさそうなのでしょうがない(訳はないのだが)として、最悪なのは、政府が「選挙の報道は公平にやれ」とメディアを脅迫したことである。だいたいメディアというのは、権力が踏みつぶしてしまう意見を、言論空間で権力者のそれに対抗できるように仕立ててやる役割があるのである。100メートルの巨人が、「俺の意見を蟻の意見より小さく扱ったら許さん」と、蛞蝓に向かって言っているのだから、意味が分からない。が、そこでへいこら言うことを聞いているメディアも大概である。飼い主も、飼い主である限り、飼い犬に定期的に脅しをかけなかればならないのは常識だからやっているだけだろう。

こういう風景は、安部とメディアだけでなく、我々の日常にいくらでも転がっている。小学校から大学にいたるまで、授業や学級会や教授会で、論外みたいな意見まで一応公平に扱わなければならなくなっている。むろん、そのクソレベルの意見の持ち主がだだをこねて予想を超えた行動に出てくるのをいままで経験しているからである。問題は、彼らがマイノリティの心情のままになんとか長になってしまったことである。我々の社会は、いわば泣き叫ぶ赤ん坊にうろたえるショック状態にあるが、こんな風になる前に、赤ん坊をあやしてた連中がいる。もうおおかた引退してしまっているが……

問題が、選挙ではなく、泣く子を黙らせる日常的な抵抗にあることは明らかである。本当は、社会に出てから泣く子になってしまう人間が誰なのか、まともな教員は分かっている。教壇で悪者になるのが怖くて遠慮した結果がこれである。

三島由紀夫は、日本の民主主義がこういう体たらく――いわば「クェーカー教徒」でなければ「粛清を肯定する」ような事態――になることは分かっており、だからこそ、「暗殺」といった行為の可能性を残しておきたかったのかもしれない。しかし、当時の全共闘のある種の学生と同じく、私もそれはやっぱり嫌だ。我々の選択肢は……