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石垣島田んぼ勉強会

2024-05-14 04:07:40 | 楽観農園


 のぼたん農園では、5月12日に田んぼ勉強会を行った。13名の参加だった。県の農研センターのOさんが、研究者の奥さんと一緒に参加してくれて、貴重な意見をいただくことが出来た。活発な意見交換が出て。良い勉強会になったのではないかと思う。いくつかのテーマがあった。

1,石垣島で一番よい、種まきは何時になるか。
2,不稔籾が多く出たが理由は何か。
3,ひこばえ農法の場合、何㎝角植えが良いのか。

 1,種まきは石垣の気候の中では一番寒い時期に行うのが良いと考えている。今年は12月3日播種だった。その理由は石垣島の1月の平均気温は21.5度。小田原の5月の平均気温が、12度である。石垣では一番寒いときでも、稲の生育には暖かすぎるからである。何故、2月播種を続けているのだろうか。

 ただし、12月蒔きでは、早すぎると言うことが出ていたが、むかし、台中65号が奨励品種として作られていた頃には、12月蒔きだった。という意見がでた。さすが長くやられてきた干川さんは知識が深い。播種時期は12月初旬で間違いがないと考えて良いのだと思う。

 稲の種を蒔き15週間で15枚葉がでるという、ゆっくりした生育を目指したい。それでも石垣では5日ごとに葉が一枚出て、9週間の栽培で13枚までしか葉がでない。そのために十分な生育が出来ないで出穂する。穂も小さくなるし分ゲツも少ない。その結果、収量は5俵止まりになっているのだ。

 畝取りを目指す稲作としては、稲を満作に育てることが、栽培の第一目標になる。そのためにはその稲の本来の性質である、15枚葉を出させることは基本になる。できる限りゆっくり成長させ、15枚葉を出させるためには、成長のゆっくりしている、12月初旬の種まきしかないと思う。またそうした品種を捜すほか無い。

 12月蒔きでは「日射量」が不足するという意見が、ジルカスのK先生が言われていたが、石垣島の緯度の太陽光の強さを考えると、5月の日射量あるいは強さはは小田原の8月以上になる。亜熱帯地域だから1月でも陽がかなり高いのだ。雨で日射量が不足すると言うことは無いとは言えないが、これは何月でも、どこの地域でもある起こりうることだろう。

 ただ来年からは、苗代はできるだけそれぞれにやって貰いたいと考えている。種まきの時期は、かなり重要なことになるから、それぞれの判断で決める必要がある。私は12月始めに撒く。それに合せたいという人が居れば、一緒にやって貰えば良い。

 2,不燃が3,4番だけで多く出た理由はいくつか原因があり、それが複合的に原因となり、不稔になったと思われるという所が、概ねの意見だった。

① 風が強いために不燃が出た。来年は防風ネットをもう一枚重ねて、風を防ぎたいと思う。風速計を買ったので、今度は色々の所を計測してみる。
② 稲は分ゲツはよく採れたのだが、茎が細めだった。肥料が足りなかったと思われる。弱い稲になり、13枚しか穂が出ない稲なので、不燃が多かった。特に土壌条件の悪い場所では不燃が多くなった。
③ 水が足りなかった。特に出穂期頃水不足が起きた。そのために3番と4番は死に水になり、土壌が悪くなった。これが一番不稔を起した要因と思われる。

 3つめのテーマが、ひこばえ農法を自給農業の基本技術にすること。それは、狭い面積で大きな収量を上げることが出来るからだ。100㎡の田んぼで、1年に3回の収穫をするとすれば、一回に25㎏だとしても、年間75㎏の収量が見込める。自給農業は農地はできる限り小さく、作業時間を最小にしなければならない。

 田んぼは狭いほど、管理が楽である。また水の使用も面積が少なければ、当然少なくて済む。ひこばえ農法は労働量も、水の量も少ないものになる。そこが自給農業に向いていると思う。小さな田んぼで、こまめに管理をすれば、一年中新米を食べることが出来ることになる。

 保存をしないで済むと言う点で、保存の難しい石垣島向きだと思う。籾保存するにしても、期間が短く、量も少なければ、置いておく冷蔵倉庫も小さいもので済む。何しろ籾でもすぐ虫が湧いてしまうのが、石垣島の田んぼだ。

 一年中田んぼをやらなければならないのは耐えられない、という意見が多く。今年は取り組む人が居ない。それで私一人でひこばえ農法はとりくむことになりそうだ。それでいいのだが、食糧危機になれば、そんなことも言えない時代は来ると考えていて、かなり本気で取り組んでいるのだ。

 ひこばえ農法はだんだんその農法が見えてきた。後数年やれば、再現性のある農業の基本技術になりそうだ。どの時期に於いても根を傷めない栽培が重要になる。稲は穂を付けて実らせすぎると、根が老化してしまう。根の活性を残したまま栽培を続けることが必要がある。

 稲刈りの1週間前に、水を抜き良く発酵をした牛糞堆肥よみがえりを入れる。稲刈りは20㎝ぐらいの高刈りが良い。稲刈り後水を戻して、稲を分ゲツさせて行く。そして3から4週間後に稲の刈り戻しを行う。刈り戻しの前にまた、よみがえりを入れる。

 今度出てくる分ゲツは収穫する茎になる。分ゲツが出てきたら、しっかりした分ゲツになるようにまた追肥をする。細かく追肥をして行くことが、ひこばえ農法では重要な技術になる。追肥は頻繁に、すこしづつ行うつもりで進める必要がある。

 また堆肥でなければならない。もし米ぬかを入れるとしても、生米ぬかは良くない。牛糞堆肥も良く完熟したものを使いたい。また土壌に十分の腐食がなければ、堆肥を入れることで土壌が悪くなることもある。その良い時期は十分に植物を観察しながら行う。

 土壌はだんだん硬くなるので、草取りを兼ねて、コロガシを入れる。ひこばえは1期作目に23分ゲツの株であれば、ひこばえは30本ぐらいは出る。場合によっては40本にもなる。このひこばえを十分に育てるには追肥を確かに与え、しっかりした株に育てなければならない。

 そのためにも、田植えは40㎝×40㎝にした方が良い。次の2回目のひこばえは、さらに分ゲツを増やす事になる。50本の分ゲツになれば、どうしても穂が小さくなり、お米の粒張りが悪くなる。根が十分に広がらないと、小粒なお米になってしまう。

 二期作はお米の味が落ちると言われているが、今のところ、味的にはひこばえのお米は食べて美味しい。まだその点結論は出ないが、あまり美味しくなかったとよめきが、ひこばえの時のとよめきはまあ食べられるお米になった。今回そこそこ美味しかった、台光のひこばえがどんな味になるか楽しみである。

 今年の天候は1,2,3,月の雨量が過去最低だった。そのためにかなり厳しい稲作になった。その意味では少ない湧き水での栽培を続けている。のぼたん農園で、1,2,6番田んぼは満作のかなり良い稲になったことは、成功だと思っている。

 これから、1番、3番、6番田んぼで、ひこばえの栽培を続ける。3,6のミルキーサマーがひこばえが出来るかどうかは不安であるが、やってみなければ分らない。ミルキーサマーにはインディカ種の遺伝子が加えられていると言うから、可能性はある。

 上手く出来ないようなら、ミルキーサマーは止めて、他の品種を探したいと思う。現在候補として育てている台中65号も試してみたい。ただ、台中65号も早く穂が出てしまい。ちょっと期待薄な気がしている。

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2 コメント

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日射量 (nao)
2024-05-15 14:50:04
稲はC3植物なので、日射が強くても飽和点が低いため光合成量は頭打ちになります。なので、日照時間が短ければ日射量が足りないということになるのかもしれません。
日照時間 (笹村 出)
2024-05-15 17:20:44
熱圏の小林先生によると、日照時間ではなく、
日射量が問題だと、強く協調されておられました。

日照時間出言うと、石垣の1,2,3,4月の日照時間合計は、557,8時間です。
小田原の5,6,7,8月の合計は676時間です。

この差が不燃になる原因とは考えられません。
もしそうであれば、どの田んぼも不稔に成るはずです。
7田んぼの内2カ所だけが不燃になりました。

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