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海水について

2006-05-10 07:08:38 | 稲作
田んぼには海水を入れる。鶏のエサにも海水を加えている。
海の中には母がいる。そうだから、海が何かの源になるだろうと期待している。

海水は小田原漁港に貰いに行く。小田原市には、石橋漁港、米神漁港、江之浦漁港、4つの漁港がある。江の浦漁港が一番大きい。ここは中川一政が、絵を描いた場所だ。堤防の突端のところから対岸の、斜面を描いた。来る日も来る日も描いたそうだ。漁師の方が、突堤の杭と間違えたそうだ。

小田原漁港は陸地だったところを掘り下げた。漁港を作るにしては不思議な構造の港だ。どこでも海岸は土地が狭いから、普通は海に堤防を張り出して作るところだが、小田原は、どういうわけか陸地を掘って作った。何か小田原の特殊事情があるのだろうか。
漁港が市の管轄とは知らなかった。市の事務所に行って、海水を分けてもらっている。漁港には海水が出る太い管が、柱ごとに配置されている。海水を生簀に入れて、流しっぱなしにしている。海水を太いホースから強い圧力で噴射して、漁港の掃除をする。まぁ、いくらでもあるわけで、もったいないと言う事はない。しかし、以前海水をどう汲んだらいいか、思案した時には、車まで運ぶ事や、汲み上げるに都合のいい場所やら、ちょっと大変だと思っていた。

漁港の人達は勢いがあって、ちょっと怖いようだが、小田原人の気質はこの漁師気質だと思っている。宿場町的気質、城下町的気質。色々混在しているのだろうが、私の感触では漁師町気質である。ともかく解り易いところが、特徴で、よそ者にはこんなに暮らしやすい町はない。

海水の事だった。海水の事を考え出したのは、発酵のことからだ。発酵を調べてゆくと、塩との兼ね合いが多いい。糠漬け等の乳酸発酵を考えると塩を使う事が普通だ。しかし、この乳酸発酵と言うのが、実はよく分からない。最近良く強調されるのが、植物性。多分乳製品のヨーグルト菌等を動物性ということだろう。それで、乳酸菌は好気性の菌かというと、これも様々なようだ。
どうも乳酸菌と言う、分類を最初作ってから以降、この菌の研究が進んだのではないだろうか。だから、分類上は一くくりで、乳酸菌と呼ぶが、酵母菌と同列に考えると、誤解しやすい。

田んぼに播くのは先ず米糠だった。雑草の抑草にタイミングよく播くと効果がある。しかし、この効果は緩やかな物で、失敗する田んぼも多かった。場合によっては、この播いた米ぬかが腐敗してしまい。どぶのような異臭がすることもあった。
そこで、糠がよい発酵になるためには何が必要か、考えてみると塩がある。塩と糠の相性がいいのは、先例の示すところだ。そこで海水を田んぼに撒くことにした。

この時先ず心配したのは塩害の問題だ。海水1リットルに32グラムから35グラム。2反に500リットル播くとすると。1反当りの塩の量8.7キロと言う事に成る。1坪に30グラム。これが毎年続けた場合問題が出るのか。田んぼの場合水に溶けて流出してしまう量が多く、土に残留する事はないと予測した。土壌調査の結果、2年間海水を入れた経過では、顕著な変化は起こっていない。

土壌の発酵は明らかによい状態に変わった。これは、耕作の結果土壌が発酵型に変わってきたためなのか。海水のためか。あるいは複合的なのか。耕作技術の進歩に拠るのか今のところ定かではないが、収量の増加もあるので、海水の散布は続けてみる事にしている。

一方、その以前から海水利用を実験していたのが、養鶏の飼料である。これは好気発酵飼料に加えている。糠を中心に、発酵するので、発酵にいいと考えて、海水を加えた。効果として、発熱までの時間が早まった。発酵が安定した。
これも塩分量が、鶏にとってどうか心配なところだ。350羽の鶏の1週間分で、10リットルの海水を使う。魚のアラの状態量によっては使わない。1羽当り、1週間1グラムの塩分量になる。これは問題がない量だろう。むしろその程度は一般的な購入飼料では、添加されているはずだ。
この海水添加が、マイナスに成って言う事はないようだ。5年は入れていて、鶏の状態から、入れる事に問題がないことは明白だが、よい効果がどれくらい出ているのかは難しいところだ。
コメント (4)
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