CTR1 phosphorylates the central regulator EIN2 to control ethylene hormone signaling from the ER membrane to the nucleus in Arabidopsis
Ju et al. PNAS (2012) 109:19486-19491.
doi:10.1073/pnas.1214848109
エチレンの受容体およびエチレンシグナル伝達に関与しているCONSTITUTIVE TRIPLE RESPONSE1(CTR1)やETHYLENE INSENSITIVE2(EIN2)は小胞体膜に局在しており、これらが核での遺伝子発現を制御している。米国 メリーランド大学のChang らは、酵母two-hybridアッセイ試験から、CTR1のC末端側キナーゼドメインとEIN2のC末端側ドメインが相互作用をすることを見出した。また、BiFCアッセイによって、完全長CTR1とEIN2が生体内において相互作用することを確認した。CTR1キナーゼドメインはEIN2C末端ドメインをリン酸化し、645番目と924番目のSer残基が強くリン酸化されることがわかった。645番目と924番目のSer残基をそれぞれAla残基に置換したEIN2 をein2 変異体で発現させたところ、S645Aでは僅かに恒常的エチレン応答表現型を示したが、S924Aではctr1 変異体のような強い恒常的エチレン応答表現型を示し、両Ser残基をAlaに置換したEIN2 を発現させた場合にはさらに表現型が強まった。よって、両Ser残基のリン酸化はEIN2シグナルを抑制するために必要であり、924番目のSer残基が645番目の残基よりも重要であることが示唆される。GFP等を付加した融合タンパク質を用いた実験から、EIN2タンパク質はエチレン処理をしない条件では小胞体に膜に局在しているが、エチレン処理をすることによって核にも局在することがわかった。一方、EIN2のN末端側ドメインはエチレン処理に関係なく小胞体膜に局在していた。よって、エチレンの受容によってEIN2タンパク質の切断が起こり、C末端側は核へ移行し、N末端側は小胞体膜に残ると考えられる。両Ser残基をAlaに置換したEIN2はエチレン処理に関係なく核において検出されることから、両Ser残基をAlaに置換したEIN2はC末端が核へ移行して恒常的なエチレン応答表現型を示すものと考えられる。ctr1 変異体ではエチレン処理をしない状態でもEIN2C末端は核に局在していた。以上の結果から、CTR1によるEIN2のリン酸化は、エチレン非存在下でのEIN2によるシグナル伝達を妨げ、エチレン受容によってCTR1のキナーゼ活性が阻害されることでEIN2のC末端が切断されて核へと移行し、下流に位置する転写因子等の転写が活性化してエチレンシグナル伝達が起こると考えられる。
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