UBC13, an E2 enzyme for Lys63-linked ubiquitination, functions in root development by affecting auxin signaling and Aux/IAA protein stability
Wen et al. The Plant Journal (2014) 80:424-436.
DOI: 10.1111/tpj.12644
タンパク質のポリユビキチン化による修飾は、ユビキチンの結合の仕方によって機能が異なる。ユビキチンC末端のGly残基とユビキチン内のLys残基が結合することでポリユビキチン化が起こり、48番目のLys残基(K48)を介したポリユビキチン化はタンパク質のプロテアソーム系による分解のシグナルとなる。63番目のLys残基(K63)を介したポリユビキチン化は、ターゲットタンパク質の活性を修飾することでシグナル伝達に関与することが酵母や動物での研究で明らかとなっている。K63ポリユビキチン化は、E2ユビキチン結合酵素のUBC13とそのパートナーであるUEV1によって形成されるヘテロ二量体が触媒しており、両者のホモログはシロイヌナズナにも見られる。カナダ サスカチュワン大学のWang らは、植物におけるUBC13を介したポリユビキチン化の役割を解析した。シロイヌナズナには2つのUBC13遺伝子UBC13A とUBC13B があり、それぞれのT-DNA挿入機能喪失変異体は成長や形態に変化は見られないが、ubc13 二重変異体は野生型よりも成長が遅延した。特に芽生えの根の成長が遅く、主根はジグザグに成長し、主根長と側根数が1/3に減少した。これらの結果から、UBC13A とUBC13B は冗長的に作用し、UBC13活性の欠損は主根の成長と側根の発達を大きく低下させることが示唆される。野生型と比較して、ubc13 二重変異体の根は根毛が殆どない。しかし、まばらに非常に短い突起物が見られることから、根毛形成誘導は起こっていると考えられる。また、ubc13 二重変異体は根端の構造に異常が見られ、根端分裂組織が小さく、根冠が形成されなかったり根端から剥がれたりしていた。ubc13 二重変異体は内生オーキシン量が野生型の半分程度であった。しかし、ubc13 二重変異体芽生えをオーキシン(NAA)処理しても側根や根毛の発達や主根の成長に変化は見られず、オーキシン応答性が低下していた。したがって、ubc13 二重変異体の根の成長低下は単純に内生オーキシン量が低下していることによって引き起こされているのではないと考えられる。オーキシン応答DR5プロモーター制御下でGFPを発現するコンストラクトを導入したubc13 二重変異体の根端部は、GFP発現量が野生型よりも低く、コルメラ細胞でのGFP蛍光が見られなくなっていた。芽生えをNAA処理すると、野生型では根端部のGFP蛍光が強まるが、ubc13 二重変異体ではGFP蛍光の増加はあまり見られなかった。オーキシンシグナル伝達の阻害因子として機能するAux/IAAタンパク質のAXR3/IAA17のドメインⅠ、ⅡにGUSを付加した融合タンパク質(AXR3NT-GUS)をダイズ熱ショックプロモーター制御下で発現するコンストラクトを導入したubc13 二重変異体芽生えの主根は熱ショックを与える前から高いGUS活性を示し、一過的に熱ショックを与えてGUS活性を上昇させた後の活性低下が野生型よりも遅くなっていた。よって、UBC13活性の欠損はAXR3NT-GUSタンパク質を増加させていると考えられる。ubc13 二重変異体では、Aux/IAA とSAUR に属するオーキシン応答遺伝子の一部が、NAA処理をしても発現誘導が起こらなかった。以上の結果から、UBC13は根の発達に対して機能しており、それはオーキシンシグナル伝達を抑制するAux/IAAタンパク質の安定化が関与していると思われる。
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