どんまい

いろいろあるけれど、それでいい。

スーパーマリオブラザーズ後編

2010年04月15日 | little story
「どうせなら、全ての面をクリアしちゃるかぁ」と意気込み、コントローラーを握りしめる。


俺はマリオと化す。
スーパーマリオブラザーズの一員となる。


クリボーを踏みつけ、ノコノコを蹴っ飛ばす。
キノコを空中でキャッチしたと思いきや、
フラワーを得て、ここぞとばかりにファイアーをぶっ放す。


1面クリア、2面クリアと突き進む。
猪突猛進とはこのことだ。
この勢いでいけば、あっという間にクリアだと思った矢先、ふとした疑問がわき上がる。


なんで、クッパはピーチ姫をさらったんだ?



なぜだ・・・。



スーパーマリオブラザーズを最初にやったのは小学校低学年だったから、
クッパが、どうのこうのなんてのは、問題にもしなかった。
そもそもクッパがいる面にすら辿り着けなかった。

あれから20数年。
俺も大人だ。

クッパは悪者。そんな単純な答えなんてないのも知っている。


そして、辿り着いた一つの可能性。

そっかぁ、クッパもピーチ姫のことが好きだったんだな・・・。
怪獣みたいな”いでたち”だから、クッパは、告白ができなかったのか。


だけどな、クッパ・・・。


そんなことを考えながら、俺は、最後の戦いにのぞむ。

クッパをひとっ飛びして、一気に片をつけようかと思ったが、そこは、最後のボス。
クッパの後頭部に落下。

小さくなっていくマリオ。
だが、あきらめず、突き進む。

そして、ゲットしたハンマー。
辿り着いたピーチ姫。



やっとスーパーマリオブラザーズをクリアした。





スーパーマリオブラザーズをクリアし余韻に浸っていた数日後、
テレビがぶっ壊れた。

テレビ中央に画面が圧縮された。







それは、まるで、マリオがクリボーを踏みつけたかのようだった。





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スーパーマリオブラザーズ前編

2010年04月13日 | little story
俺は、たまあに、こんなことを考える。


困った女性がいたら、いかに助けるか。
そして、いかに、さりげなく去るか。


そうは言っても、そんな場面なんて、いっこうに訪れやしない。


そんな30代土管工の俺に訪れた千載一遇のチャンス。
それは、仕事帰りに訪れる。


職場の同期と帰る道すがら、目にした一枚のビラ。
「助けてください」という緊迫した雰囲気の文字、
そして、ビラのど真ん中に写る女性の顔。


ど真ん中のストライクだった。
もろ、タイプだった。


ここでやらないで、いつやるのよ。今、今、今しかねぇんだ。
と、仕事着のまま走り出した。

同期は、何が何だかわからないまま、その勢いに押される形で後を追った。


そう、これが、後に誰もが知ることになる「スーパーマリオブラザーズ」の始まりだった。


スーパーマリオブラザーズという名は、マリオとルイージのコンビ名だ。


「どうせならコンビ名が必要じゃねぇ?」と言い出したマリオ。
「マリオブラザーズってのはどうよ?」とあらかじめ考えていたのか、自分の名前を全面に押し出すマリオ。

「THE」はどうする?と自分の名前が入っていないことよりも、「THE」が入っていないことにこだわるルイージ。
「別にいらんくねぇ?」と一蹴するマリオ。
「じゃあ、せめて、スーパー」をつけてくれと懇願するルイージ。

それで決定したのが、「スーパーマリオブラザーズ」。



俺は、とうとう、その「スーパーマリオブラザーズ」を手にした。
もう、我慢ならんかった。

スーパーマリオブラザーズをやりたいだけで、
ファミコンを買うのはいかがなものか?とも思ったが、
スーパーマリオブラザーズをクリアしていない自分に我慢ならんかった。




※スーパーマリオブラザーズの始まった物語及びコンビ名は、フィクションです。




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マイマウスピース

2010年04月09日 | little story
俺の背中を押したのは、お笑い芸人である劇団ひとりだった。
劇団ひとりは、テレビでこう言った。

「寝る時にマウスピースつけてるんすよ」

寝る時に、マウスピース。
初めて聞く人は、はて?と思うだろう。
なぜ、つけるかというと、歯ぎしりをするから。
あまりの歯ぎしりで、歯がかけちゃうからマウスピースをはめるのである。

そんな何気ない会話は、いつもならスルーして、
記憶にすら残っていないだろうが、
俺の歯医者通いも、終わりを迎え、
最後の最後に、マウスピースを作るかどうかの決断を迫られていた。

寝る時にも、ファイティングポーズをとっているようで、乗り気じゃなかった。
何より、想像しただけで、格好悪い。


完成したマウスピースは、格好悪いには格好悪いが、
ボクサーがつけているような、ごっついものではなく、
上あごにはめる透明なマウスピースだった。

完成したマウスピースをつけた俺に向かい、
歯医者は、「寝る時以外も、踏ん張る機会はありますか?」と聞いてきた。

俺は即座に「はい、あります」と答えた。
生きていくこと、自体、踏ん張ることが多いと、心の中で呟いた。

「どんな時ですか?」

さらに、つっこんだ質問が返ってくるとは思わず、
人生自体、踏ん張ってますなんてことを説明するのもめんどくさい。
めんどくさいから、答えを濁した。

「もし、普段も踏ん張ることが多ければ、普段からマウスピースをつけてください」
そう歯医者は答えたが、「やなこった」と心の中で返答した。



今のところ、寝ている時に、殴り合っている夢は見ていない。



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