俺の背中を押したのは、お笑い芸人である劇団ひとりだった。
劇団ひとりは、テレビでこう言った。
「寝る時にマウスピースつけてるんすよ」
寝る時に、マウスピース。
初めて聞く人は、はて?と思うだろう。
なぜ、つけるかというと、歯ぎしりをするから。
あまりの歯ぎしりで、歯がかけちゃうからマウスピースをはめるのである。
そんな何気ない会話は、いつもならスルーして、
記憶にすら残っていないだろうが、
俺の歯医者通いも、終わりを迎え、
最後の最後に、マウスピースを作るかどうかの決断を迫られていた。
寝る時にも、ファイティングポーズをとっているようで、乗り気じゃなかった。
何より、想像しただけで、格好悪い。
完成したマウスピースは、格好悪いには格好悪いが、
ボクサーがつけているような、ごっついものではなく、
上あごにはめる透明なマウスピースだった。
完成したマウスピースをつけた俺に向かい、
歯医者は、「寝る時以外も、踏ん張る機会はありますか?」と聞いてきた。
俺は即座に「はい、あります」と答えた。
生きていくこと、自体、踏ん張ることが多いと、心の中で呟いた。
「どんな時ですか?」
さらに、つっこんだ質問が返ってくるとは思わず、
人生自体、踏ん張ってますなんてことを説明するのもめんどくさい。
めんどくさいから、答えを濁した。
「もし、普段も踏ん張ることが多ければ、普段からマウスピースをつけてください」
そう歯医者は答えたが、「やなこった」と心の中で返答した。
今のところ、寝ている時に、殴り合っている夢は見ていない。
*****
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劇団ひとりは、テレビでこう言った。
「寝る時にマウスピースつけてるんすよ」
寝る時に、マウスピース。
初めて聞く人は、はて?と思うだろう。
なぜ、つけるかというと、歯ぎしりをするから。
あまりの歯ぎしりで、歯がかけちゃうからマウスピースをはめるのである。
そんな何気ない会話は、いつもならスルーして、
記憶にすら残っていないだろうが、
俺の歯医者通いも、終わりを迎え、
最後の最後に、マウスピースを作るかどうかの決断を迫られていた。
寝る時にも、ファイティングポーズをとっているようで、乗り気じゃなかった。
何より、想像しただけで、格好悪い。
完成したマウスピースは、格好悪いには格好悪いが、
ボクサーがつけているような、ごっついものではなく、
上あごにはめる透明なマウスピースだった。
完成したマウスピースをつけた俺に向かい、
歯医者は、「寝る時以外も、踏ん張る機会はありますか?」と聞いてきた。
俺は即座に「はい、あります」と答えた。
生きていくこと、自体、踏ん張ることが多いと、心の中で呟いた。
「どんな時ですか?」
さらに、つっこんだ質問が返ってくるとは思わず、
人生自体、踏ん張ってますなんてことを説明するのもめんどくさい。
めんどくさいから、答えを濁した。
「もし、普段も踏ん張ることが多ければ、普段からマウスピースをつけてください」
そう歯医者は答えたが、「やなこった」と心の中で返答した。
今のところ、寝ている時に、殴り合っている夢は見ていない。
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一時、マウスピースをつけて
寝てた時期がありますよ~~~。
朝起きて取ると、なんか変な感じがしますよね。笑
噛み合わせがずれすぎて口が開かなくなった時につけて寝てました。どこいったんだろう。
そうなんですよ、朝、起きると後味が悪いというか、
マウスピースの味が残っているみたいな感じがするんですよね。
口があかなくなったってすごいですね。
俺は目があかなくなったことはあります。
目やにで。