詩人PIKKIのひとこと日記&詩

すっかりブログを放任中だった。
詩と辛らつ日記を・・

彼らなしには到底北海道を語り得ない・・作家上西晴治とアイヌ人彫刻家砂澤ビッキ

2008年02月29日 | 歴史
1993年に伊藤整賞を受けた上西晴治の渾身の傑作「十勝川」は、幕末・明治・大正・昭和わたってのアイヌ民族の興亡の物語だ。

上西の「十勝川」についての独白はー
「どうもアイヌの墓盗掘事件が、昭和期を描くテーマになりそうだ。」「学術研究のためという大義のもとに人体標本として墓をあばき収集した御用学者の欺瞞をあばき、その遺骨を奪還することを書かねばならない」「そして無念をはらし、骨を持って故郷十勝の原野に帰るんだ。それがラストシーンになるだろう。いやならねばならない。自由と民族の魂のためにも」

実際に明治に、アイヌの民族的特徴を調べるという名目で、実に数多くのアイヌ民族の墓があばかれたという。その数約1000体以上という。例えば、日本人が欧米人にそのような仕打ちを受けたらどうななのか?自分の両親・祖父母の墓があばかれて持っていかれてしまったら黙って見ているというのか?

その上西晴治の自伝的作品「コシャマインの末裔」(1979)には、砂澤ビッキがモデルの彫刻家中沢ヌップが登場する。ベッド代わりだったという馬橇等・・ビッキのアトリエの風景も実景だという。

この世でただ一つ確実なことは

2008年02月29日 | 日記
君には
それがわかるだろうか?

それは
誰にも平等に
死が訪ずれるということだ
どんなちっぽけないのちにも

その時に
さんざん弱い者たちを
いたぶり続けて 私腹を肥やした
この国の官僚や与党政治家たちは
いったいどう思うのかと思う

同じいのちの起源をもつ生き物たちを
ペットなどと
自分の良心を誤魔化して
自分の楽しみだけのために
弄ぶことも止めるべきだと思う

自然こそが美しい
自然が瀕死状態なのに
人間だけが生き延びることができる
そんなことは
許されざる幻想なのだ

バラード

2008年02月28日 | 日記
ヤケ酒を飲んで
市営グランドの柵を乗り越えたら
そこは満天の星々
ぼくだけの舞台だった
なにひとつ歌の聞こえてこない

寝そべって見上げれば
まるで円形競技場みたいな市営グランド
昼間の遠い喚声はもう遠い過去のこと
君と別れてきた街の雑踏も
まるでいまでは海底の葬送

寺山修司の未発表の短歌が見つかったとか

2008年02月28日 | 日記
寺山修司くらいからが同時代の作家という印象だ。彼の本を読み出してから、間もなく亡くなってしまったけれども。
彼の戯曲とラジオ・テレビ脚本だけはその全部を読めなかったが、特に印象に残っている作品はー競馬についてのエッセーや、同じく前衛歌人の塚本邦雄とのやり取り「水銀伝説」が面白かった。初期の短歌もいいが、晩年の作品も好きだ。
 
  海を知らぬ少女の前に麦藁帽の
  われは両手をひろげていたり

  マッチ擦るつかのま海に霧ふかし
  身捨つるほどの祖国はありや

  黒人に生まれざるゆえあこがれき
  野生の汽罐車、オリーブ、河など

  わが捨てし言葉はだれか見出さむ
  浮巣の日ざし流さるる川

  ピーナッツをさみしき馬に食わせつつ
  いかなる明日も貯えはせず

  大いなる夏のバケツにうかべくる
  わがアメリカと蝶ほどの夢

  麻薬中毒重婚浮浪不法所持
  サイコロ賭博われのブルース

寒い夜は、蕎麦茶での焼酎割りが最高!

2008年02月27日 | 日記
焼酎がぐっと飲みやすくなる。蕎麦茶はそのまま食べることができるので、酒のつまみにもなかなかいける。

「温暖化」についてのNHKの再放送が面白い。ドイツはやりだしたら徹底的にやる国なので、北欧同様に目が離せない国だと思う。
時代の流れは脱石油だと思う。そのための技術がほぼでそろってきたし。目標はゴミ一切出さなかった完全なエコロジー社会江戸時代ではと思う。

《金子:「今考えなきゃいけないのは、大きな歴史の流れなんですね。石炭を基礎にイギリスが繁栄し、石油を基礎にしてアメリカが繁栄したと、つまりこのひどい温暖化であるとか石油価格の暴騰、中東の戦争、こういうものはある種そういう時代が新しく転換を始まっていると、再生可能エネルギーに向かう大きな動きというのはそういう大きな流れだと。これは私たちにとってピンチだけれど、この機会を逃せば、我々の国そのものがやっていけなくなる可能性をもっている。それが政治でも外交でも経済でも同じことなんだ。そういう認識でもっと前に、たくましく、闘っていく、という日本全体がそういう形にならないと僕は日本の未来って相当暗いんじゃないかなと思いますね。」》(「NHK地球特派員スペシャル「カーボンチャンス~温暖化が世界経済を変える~」
」より)
詳しくはブックマーク上から二番目を参照を。

Unknownさんコメントありがとうございました

2008年02月26日 | Weblog
《片山教授は、知事時代は改革派として好きなように県政に携わり、多くの借金と課題を置き去りにしたまま、さっさとやめて 現在は自由に好き勝手なこと言われてます。現知事が、非常に苦労して財政を立て直そうと奮闘しているのをみると、片山教授にとっては鳥取県は「教授になるための実験場」にしか過ぎなかったんだなと思います。
東国原知事だけではなく、全国の知事さん首長が「反対」を言っているのは分かってますか?
民間の会社等とは違って地方自治体は、現在(2月~3月)が、4月からの予算組みの真っ最中で、そこで暫定税率すると言われても、予算が国から下りないのは困るでしょう。ガソリン税廃止してお金を減らされること→それに伴って各地方交付税、補助金も減額(廃止)される、その権限は自民党などではなく官僚が握っている状況なので、本心はどうであれ「反対」を言わざるを得ないのではと考えてます。》(Unknown氏のコメント)

片山前鳥取県知事についてはー田中前長野県知事以外の知事経験者のほとんどすべては、地方の財政再建に失敗して借金を増やしたのではないでしょうか?
その原因はやはり、官僚支配の基礎になってるひも付きの補助金制度や、地方にも分担を求めるハコ物行政であり、それが地方の借金増大の原因ではないかと思う。
さらに、現在は中東大戦争も間近という緊急事態です。石油がどのくらい上昇するかは全くの不可能です。石油は生産・流通・国民生活にとって不可欠な血液のようなもので、日本の物価が世界トップレベルの原因でもあります。

以上二つの理由から、ガソリン税等の暫定是率や道路特定財源は、廃止や一般財源化が相応しいと思う。

踊ろう

2008年02月26日 | 日記
踊ろう
踊る理由なんかはないけど
ぼくと踊ろう
夜が明けるまで踊ろう
時間がきて追い出されるまで踊ろう

中学校でのフォークダンス以来
踊ったことがないぼくだけど踊ろう
憧れの君の直前で音楽停止 
万事休すだったけれど踊ろう

ぼくと君とが踊っていたら
この世が
永遠に終わってしまうんだとしても
踊りつづけていよう

踊りつづけよう
このまま世界が
永遠に終わってしまおうとも
踊っていよう

冬のドライブ

2008年02月26日 | 日記
五日振りのドライブだった
大好きだった
ジャニス・ジョブリンの曲と一緒に
出発進行

街はいよいよ薄汚れてしまい
人々はいよいよ背中を丸めて
寄ろうと思った書店は
どこもかしこも閉鎖状態
ガソリンはいよいよ値上がり

世の中は
いったいどうなっちまうんだろうか
ぼくの仕事ははたして
見つかるんだろうか
死ぬ時は
いったいどこへ
激突すべきなんだろか

ーアイルランドの子どもの歌よりー

2008年02月25日 | 日記
闇にきらめくおまえの光
何処からくるのかわたしは知らない
近いとも見え 遠いとも見える
おまえの名をわたしは知らない
たとえおまえがなんであれ
光れ 光れ
小さな星よ!
    (「モモ」1973、ミヒャイル・エンデより)


二番目に好きなファンタジー「モモ」を読み返してるとこ。

えらい早朝の「時事放談」という番組

2008年02月25日 | 政治
毎回対照的な二人の政治家が対談する番組なのだが、特に僕が注目してるのは、片山前鳥取県知事と、「加藤の乱」で有名になった加藤元自民党幹事長で、とりわけ歯に衣を着せない片山氏の発言は、日本の政治家の中では珍しい正直なものだと思う。

道路特定財源についての前回の時事放談での片山氏の発言を要約すると、以下のようなものだった。
《特定財源は、自治体が流用するおそれがある時には有効だが、国も自治体も「道路が重要だ」と言っているのだから使い道を縛る意味はない。(特定財源は)実は国民(住民)を縛っている。国民(住民)が他に(例えば教育に)使ってくれと言えない仕組みをつくっている・・・道路予算の1千万円は端数だが、学校現場では大変な金額だ・・・(知事時代の体験から言うと)なんでこんな所に、という道路が随分あった。国は早く、たくさん造れと、と言うが、町中は立ち退きが必要で早く造れない。山奥など人の住んでいない場所に造る方がやりやすい・・・必要な道路整備は思うように予算が増えなかったが、一方で農水省からは、農道整備で補助金を使うよう働きかけがあった。必要な高速道路の予算は増やせないと言いながら、不要な農道を造れと金を押し付けてくるとは、政府は一体どうなっているのか。そんな批判を知った農水省幹部から、「県とのお付き合いを考えさせてもらわなければならない」と告げられた。そんな国の姿勢が、自治体に恐怖感を与えている》

ひと言だけ感想を言うとーガラス張りの情報公開制度がないので、国道交通省とか厚生労働省とかいう一官庁のなんら正当性を持たない官僚たちが、税金を好き勝手できるシステムこそが問題だと思う。
その意味では、国民の8割以上が廃止を望んでいるガソリン税暫定税率廃止に反対している宮崎県知事東国原は、片山前鳥取県知事よりもはるかに劣った政治家、官僚の使い走りに過ぎない政治家ではと思う。
最初の頃の志を、是非もう一度思い出して欲しい。

前日記のような中東大戦争を予想しているがための原油高なのかもしれない

2008年02月24日 | 日記
原油や穀物が相変わらず天井知らずの高騰中だ。大豆・小麦粉は二倍以上、トウモロコシも二倍弱。とりわけ畜産では、穀物としての輸入大豆・トウモロコシが必要不可欠であり、現在4割を切っている食料自給率はますます低下中だ。

これを解決する最良の方法はー
日本各地の、補助金で休耕している田んぼではなないだろうか。ここで補助金の代わりとして、家畜の餌としての多収穫米(収量が3割多い)や大豆・小麦粉を作るか、そのような試みへの貸し出しを促進してはどうだろうか?
農家としても、休耕補助金の他に大豆・小麦粉を買い上げてもらったり、賃貸料が入り、日本の食糧自給率アップにつながるとなれば悪い話ではない。

その他にも、ありとあらゆる国内食料自給率を上げ資源を保護する試み、例えば、食料油廃油を代替ガソリンとする車の改造やそのような新車への補助もまた、国家的に取り組まなければならないと思う。

春までに中東大戦争勃発の可能性が大だ!

2008年02月24日 | 政治

日本のマスコミは一体いつまで惰眠を貪り続けているのだろうか?「コソボ独立」とかいう日本にはほとんど何の関係もニュースを連日流しながら。
下記のようなマスコミのイラク報道サボタージュも問題だが、イスラエル周辺はいよいよいつ大戦争が勃発しても不思議じゃない一触即発状態だ。(リンク集三番目の「田中宇の国際ニュース解説」を参照!)

石油が高騰どころではすまなくなるどころか・・国民生活や産業活動を壊滅的な打撃から保護するためには、暫定税率廃止やガソリン税・高速道路料金廃止さえせざるを得ない世界同時大恐慌&戦争&革命の時代が再びやってくるのではないのだろうか?

《21日の夜にトルコ軍がイラク北部に侵攻し、クルド人武装組織と地上戦を開始したという報道が流れた。トルコ軍の発表ではクルド人戦闘士44名が死亡、トルコ軍兵士も5名死亡したという。現地報道では投入されたトルコ兵士は約1万人であったという。昨年10月に始まったトルコ軍のイラク越境軍事作戦は、おさまるどころか拡大の一途である。ついに、米国のイラク攻撃当初に想定された最悪のシナリオが現実になったということだ。

 重要な事は、このようなトルコ軍のイラク北部攻撃は米国の承認なしにはありえないということだ。イスラエルの安全保障を確保するためには、北方のトルコと南方のエジプトを親米・イスラエルにとどめておかなければならない。そのためにはイラク主権の蹂躙は二の次である。

 イラクのマリキ大統領もゼバリ外相もこれを非難している。主権国家イラクの大統領、外相としては当然の非難だ。しかし米国は「トルコの自衛権行使を支持する」と、これを容認している。かつてサダムフセインのイラクがクウェートに侵攻した時、直ちに軍事制裁を加えて撤退させたのと好対照だ。見事な米国のダブルスタンダードである。》(「天木直人のブログ」より)

再び森についてー

2008年02月23日 | 日記
昨日の日記でも書いたんだけど、実際に森林整備に使われる予算が300億円以下・・というのはあまりにも貧弱すぎるのではと思う。

日本の山林の約三分の一は荒れたまま放置されて、大災害(地震・台風・大雨・なだれ)の被害をより大きなものにし、世界一山林を持つ日本を世界最大の木材輸入国にして、世界中の熱帯雨林・アジア・シベリア・・という一度樹を切ったら再現不可能な自然環境の悪化や地球温暖化の元凶となっている。

田中前長野県知事の話では、荒廃しきった山林の復興はわずかなお金で可能だという。一平方メートルあたり35万円で、地方での雇用も数十万人単位で増やすことが可能だという。その第一歩として、昨日の日記で書いたように、すべての国有林でそのための研修施設(衣食住が無料で技能アップのための)を建設してはどうだろうか?そこの卒業生が、就職後に休日毎に社会奉仕してもらうようにして。

日本の権力者・指導者層と呼ばれる人々が、日本の未来にとって最も重要な教育や自然環境・森林再生や社会福祉・公共サービス充実に不熱心なのは、他人事だと思っているせいに違いない。自分たちの子供はいくらでも有名大学へと進学可能であり、自分たちの周囲はいくらでも金によって最適な環境・サービスが得られるので・・

けれども、人間の生存条件は数万年前とほとんど変わっていない。動物が生きることができないような環境では、人間もまた生き延びることができないし、国民の大多数が貧困や不安で生きることが困難な世の中で、ほんの極わずかな人間たちだけがいつまでもわが世の春を謳歌し続けることは到底不可能だと思う。

日本の所得格差が、05年から4千倍以上に拡大中とか

2008年02月22日 | 日記
算出方法はー日本の全世帯を所得順に並べ、世帯数を等しく5分割して、「最高所得→高所得→中間所得→低所得→最低所得」の5段階にすると、最高と最低の所得格差が2005年からは4千倍以上へと拡大中とか。(厚労省が所得再配分調査で調べたものとか)

これは、僕の最近十年間の平均年収200万(寝たきりで認知症の母親介護と二回も首切りに遭遇だったので・・)と、経団連御手洗会長役員報酬2億円とがだいたい所得格差百倍くらいなので、その40倍くらいに当たる。僕の方がよっぽど、詩作だけとっても、社会に貢献してると思うけど・・

また、最高所得グループは全所得の5割以上を占有、一方、最低所得グループは限りなく0%に近い0.015%、低所得グループで漸く5%程度になっているそうだ。


この世には神も仏もいないのか・・なんて悲しいニュースだらけなんだべか。

2008年02月22日 | 日記
ー「魚のお兄ちゃん生きていて…」ホームレス祈りと怒り ー不明の哲大さん4年前から差し入れ (目を赤らめ、哲大さんとの出会いを語る石崎克雄さん=20日午後、東京都荒川区の赤銀杏会事務所)

 イージス艦衝突事故で、漁船の吉清(きちせい)治夫さん(58)、哲大(てつひろ)さん(23)父子の行方は依然分からず、地元千葉の人々の焦りは募る。だが、一心に無事を祈る人が東京にもいる。上野のホームレスだった人々とその支援者だ。「魚でもいいかな」。哲大さんが仲間と捕った魚を初めて差し入れにきたのは4年前。それ以来、哲大さんは黙々と魚を届け続けていた。

 「はあーっ」。ホームレス支援団体「赤銀杏会」(本部・東京都荒川区)会長の石崎克雄さん(61)は20日夕、受話器を置くと深いため息を吐いた。吉清さん父子が所属する新勝浦市漁協に安否を問い合わせたが、「手掛かりなし」。泳ぎが苦手という哲大さんだけに、「何かにつかまって生きていてくれればいいが…」。石崎さんは一睡もできずに充血させた目を潤ませた。

 出会いは、石崎さんのボランティア活動を伝える新聞記事と1本の電話がきっかけだった。

 自身もホームレス経験がある石崎さんは上野公園で朝食を配る活動をしているが、食材が足りない窮状を伝える記事を見た哲大さんが先輩にこの話をした。

 「魚でもいいかな…」。石崎さんの自宅兼事務所に2人から遠慮がちな電話があった。石崎さんは「おかずになるんなら喜んで」と返した。それから1週間後の朝、体格がよく、真っ黒に日焼けした男らがトラックで事務所に乗り付けた。「最初は、暴力団かチンピラかと思って慌てたよ」

 築地市場からの帰りなのか、哲大さんらはイワシなどを詰めた30箱もの発泡スチロールを差し出した。調理師経験もある石崎さんは魚を素揚げにしてホームレスに提供した。思わぬ海の幸に「うまい、うまい」とみんな顔をほころばせた。

 「今どき、こんな気持ちのいい若者がいるなんて」。うれしさのあまり哲大さんらを誘って朝まで飲み明かした。最初は物静かで口数少なかった哲大さんは、話を振るうちに「船を買う」「それもデッカイ船を買うんだ」と夢を語った。だが、「嫁さんは早くもらうといいぞ」と水を向けると、「うーん」と照れてうつむいた。

 翌朝は上野に朝食を届けるのも手伝ってくれた。哲大さんがホームレスに直接会ったのはこの1回きり。それでも事故後、「あれは魚のお兄ちゃんじゃないか」「何としても無事でいてほしい」と当時のホームレスらからの電話が事務所に寄せられた。

 魚の差し入れは10回を超えた。石崎さんが「無理せんでいいよ。気持ちだけでいいから」と言っても毎回、10箱以上の魚を届けてくれた。朝食の準備で手が離せず、応対できなくても笑顔と魚を残して黙って帰ることもあった。

 「本当、お人よしで、息子みたいに感じていたんだが…。事故のニュースを見たとき震えが止まらなかった」

 憔悴(しょうすい)しきった石崎さんだが、イージス艦の話に思わず、語気を強めた。「小さい船が大きい船とぶつかって勝てるわけない。でも事故が起きたら大きいものが真っ先に小さいものを助けるのが当たり前じゃないか。なぜ乗員が300人もいてすぐに助けてくれなかったのか。それが腹が立ってしようがない」

 石崎さんはぐっと拳を握りしめ、つぶやいた。「ただ、ただ、生きていてほしい」(「ZAKZAK」より)