詩人PIKKIのひとこと日記&詩

すっかりブログを放任中だった。
詩と辛らつ日記を・・

倚りかからず      茨木のり子

2020年07月26日 | 反戦詩
   倚りかからず   茨木のり子

もはや
できあいの思想には倚りかかりたくない
もはや
できあいの宗教には倚りかかりたくない
もはや
できあいの学問には倚りかかりたくない
もはや
いかなる権威にも倚りかかりたくない

ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳・目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ
      (筑摩書房「倚りかからず」より)

  反対    金子光晴

2020年07月21日 | 反戦詩
ぼくらがいったい何処へと漂流しつつあるのかはわからないけど・・今でもずっとぼくの生きる原点だったのはー


   反対    金子光晴

僕は少年の頃
学校に反対だった。
僕は、いままた
働くことに反対だ。

ぼくは第一、健康とか
正義とかがきらひなのだ。
健康で正しいほど
人間を無精にするものはない

むろん、やまと魂は反対だ
義理人情もへどが出る。
いつの政府にも反対であり、
文壇画壇にも尻を向けてゐる。

なにしに生まれてきたと問はるれば、
躊躇なく答えよう。反対しにと。
ぼくは、東にゐるときは、
西にゆきたいと思ひ、

きもの左前、靴は右左、
袴はうしろ前、馬には尻をむいて乗る。
人のいやがるものこそ、僕の好物。
とりわけ嫌ひは、気の揃ふといふことだ。

僕は信じる。反対こそ、人生で
唯一つ立派なことだと。
反対こそ、生きていることだ。
反対こそ、じぶんをつかむことだ。
(金子光晴詩集『赤土の家』1919年発行)

詩 反対する

2020年07月14日 | 反戦詩
ぼくは反対する
ますます陰湿化するいじめに反対する
これらの元凶は
トヨタ等の大企業でのいじめや村八分
リストラではないのか

ぼくのトヨタ時代でも
中高年や女子社員を一列に並べて
退職するまで芝生のゴミ拾いを手始めに
片道切符の出向の先に待っているのは
危険・汚い・きついという3K職場

それでもなかなか辞めない社員には
「あいつは男とやりくらかしてる」等のデマを流したり
上司が巧みに誘い出しての手かざしの新興宗教や
「絶対にクビにしてやる」「殺し屋に注意しろ」とかの脅し文句

社員には内緒で
受け取り金数千万円の団体割引保険金を掛けておいての
サービス残業やいじめや出向や村八分
「あいつはアカだから話すな」等ストレスに追い込んでの
過労死や過労自殺での保険金の略取

ぼくは反対する
終わることのないアメリカの侵略戦争に
アメリカがベトナム・アフガン・イラク等を破壊し続けることができるのも
最大の貢献国奴隷のように貢ぎ続ける日本のおかげ
在日米軍基地への思いやり予算や
我々の血税で強引に買うことを強制され
塩漬けになっている百兆円の米国債

広島・長崎への原爆という無差別大量虐殺兵器への
抗議や謝罪を求める代わりに
まっとうな思考力を失ってしまった日本人は
奴隷よりも家畜のような有様になってしまった

ぼくは反対する
破壊し殺し続けるばかりでなにも残さなかった
小泉以降の弱肉強食自公政治を
政府発表でも自殺者に過労死者を足すと
もう十年間毎年四万人が殺され続ける

本来の政府・行政・政治家・官僚の役目とは
市場原理では格差が増大するばかりなのを
税金の再配分機能で
弱者や敗者を救済することにあるというのは世界の常識だ

とりわけ法を守り手本を示すべき
地位や名誉や権力を与えられた政官財こそが
堂々と法を破り税金を掠め取り
反対する者を牢獄へと放りこんで
なんら恥じることがない

これらの元凶は中曽根政治にあった
国鉄→JRへという数百兆円の国民共有財産の強奪と組合つぶし
汐留跡地というおこぼれを大マスコミにばら撒いての翼賛マスコミ作り
リゾート法や原発による官が率先しての自然破壊
不沈空母発言等での米軍の下請化
これらがいよいよ....

声明書

2020年07月13日 | 反戦詩
 一、声明書 自由と平和のための京大有志の会

戦争は、防衛を名目に始まる。

戦争は、兵器産業に富をもたらす。

戦争は、すぐに制御が効かなくなる。


戦争は、始めるよりも終えるほうが難しい。

戦争は、兵士だけでなく、老人や子どもにも災いをもたらす。

戦争は、人々の四肢だけでなく、心の中にも深い傷を負わせる。


精神は、操作の対象物ではない。

生命は、誰かの持ち駒ではない。


海は、基地に押しつぶされてはならない。

空は、戦闘機の爆音に消されてはならない。


血を流すことを貢献と考える普通の国よりは、

知を生み出すことを誇る特殊な国に生きたい。


学問は、戦争の武器ではない。

学問は、商売の道具ではない。

学問は、権力の下僕ではない。


生きる場所と考える自由を守り、創るために、

私たちはまず、思い上がった権力にくさびを打ちこまなくてはならない。

二、 あしたのための声明書

わたしたちは、忘れない。

人びとの声に耳をふさぎ、まともに答弁もせず法案を通した首相の厚顔を。

戦争に行きたくないと叫ぶ若者を「利己的」と罵った議員の無恥を。

強行採決も連休を過ぎれば忘れると言い放った官房長官の傲慢を。


わたしたちは、忘れない。

マスコミを懲らしめる、と恫喝した議員の思い上がりを。

権力に媚び、おもねるだけの報道人と言論人の醜さを。

居眠りに耽る議員たちの弛緩を。


わたしたちは、忘れない。

声を上げた若者たちの美しさを。

街頭に立ったお年寄りたちの威厳を。

内部からの告発に踏み切った人びとの勇気を。


わたしたちは、忘れない。

戦争の体験者が学生のデモに加わっていた姿を。

路上で、職場で、田んぼで、プラカードを掲げた人びとの決意を。

聞き届けられない声を、それでも上げつづけてきた人びとの苦しく切ない歴史を。


きょうは、はじまりの日。

憲法を貶めた法律を葬り去る作業のはじまり。

賛成票を投じたツケを議員たちが苦々しく噛みしめる日々のはじまり。

人の生命を軽んじ、人の尊厳を踏みにじる独裁政治の終わりのはじまり。

自由と平和への願いをさらに深く、さらに広く共有するための、あらゆる試みのはじまり。


わたしたちは、忘れない、あきらめない、屈しない。


               自由と平和のための京大有志の会


一、わたしの『やめて』

くにと くにの けんかを せんそうと いいます


せんそうは 「ぼくが ころされないように さきに ころすんだ」

という だれかの いいわけで はじまります

せんそうは ひとごろしの どうぐを うる おみせを もうけさせます

せんそうは はじまると だれにも とめられません


せんそうは はじめるのは かんたんだけど おわるのは むずかしい

せんそうは へいたいさんも おとしよりも こどもも くるしめます

せんそうは てや あしを ちぎり こころも ひきさきます


わたしの こころは わたしのもの

だれかに あやつられたくない

わたしの いのちは わたしのもの

だれかの どうぐに なりたくない


うみが ひろいのは ひとをころす きちを つくるためじゃない

そらが たかいのは ひとをころす ひこうきが とぶためじゃない


げんこつで ひとを きずつけて えらそうに いばっているよりも

こころを はたらかせて きずつけられた ひとを はげましたい


がっこうで まなぶのは ひとごろしの どうぐを つくるためじゃない

がっこうで まなぶのは おかねもうけの ためじゃない

がっこうで まなぶのは だれかの いいなりに なるためじゃない


じぶんや みんなの いのちを だいじにして

いつも すきなことを かんがえたり おはなししたり したい

でも せんそうは それを じゃまするんだ


だから

せんそうを はじめようとする ひとたちに

わたしは おおきなこえで 「やめて」 というんだ

二、あしたがまっている

わたしは わすれないぞ

ひとのはなしを ちゃんと きかないで

むりやり おかしなきまりを つくったおとなを

「けんかはいやだ」のきもちを わがままと きめつけて

ばかにしていた つめたいおとなを


ぼくは わすれないぞ

こわがらせて いばっていた おとなのかおや

こわがって ぺこぺこしていた おとなのかおを

たいせつな おはなしをしているのに

ぐうぐう ねていた おとなのかおを


わたしは わすれないよ

おかしいことは おかしいと つたえようとした

おねえさん おにいさんたちの しんけんなかおを

おばあさん おじいさんたちの おおきなこえを

だれにも あやつられない おとなたちの ゆうきを


ぼくは わすれないよ

つらいおもいでを むねにして たちあがった おとなを

きっぱり むねをはって こぶしをつきあげた おとなを

きいてもらえないかも しれないのに

ずっと こえをあげつづけた たくさんの おとなたちを


きょうからは わたしが ぼくが はじめるんだ

おとなが まちがったら わたしたちが なおす

ひとのはなしを きけるひとを ぼくたちが えらぶ

じぶんかってな おとなは わたしたちが やめさせる

「じゆう」や「へいわ」は ぼくたちの て で つかむんだ


わたしは わすれない

ぼくは わすれない

まだ なにも おわっていないから

あしたが まっているから


じゆうと へいわの ための きょうだい ゆうしの かい
https://blog.goo.ne.jp/admin/newentry/

反戦詩をランダムに それと以前アップした戦争についてのリンク集もこっちに

2015年07月20日 | 反戦詩

  サキノハカといふ黒い花といっしょに    宮沢賢治

サキノハカといふ黒い花といっしょに
革命がやがてやってくる
ブルジョアジーでもプロレタリアートでも
おほよそ卑怯な下等なやつらは
みんなひとりで日向へ出た蕈のやうに
潰れて流れるその日が来る

やってしまへやってしまへ
酒を呑みたいために尤らしい波瀾を起すやつも
じぶんだけで面白いことをしつくして
人生が砂っ原だなんていふにせ教師も
いつでもきょろきょろひとと自分とくらべるやつら

そいつらみんなを
びしゃびしゃに叩きつけて
その中から卑怯な鬼どもを追ひ払へ
それらをみんな魚や豚につかせてしまえ

はがねを鍛へるやうに
新らしい時代は新らしい人間を鍛へる
紺いろした山地の稜をも砕け
銀河をつかって発電所もつくれ

注:改行は僕の責任。サキノハカは墓という字を分解したという説がある。晩年にはマルクスやレーニンを勉強していたり、「革命」という作品名が賢治の手帳に残されている。
その他に好きな詩は「生徒諸君に寄せる」。宇宙飛行士の毛利さんが好きで宇宙まで持っていったという詩集から朗読していた詩でーhttp://www.ihatov.cc/haru_3/383_d.htm

 

◆アーサー・ビナードが絶賛。「革命の詩人」という呼称が唯一相応しいふるさと北海道の詩人

  馬車の出発の歌
               小熊秀雄


仮りに暗黒が
永遠に地球をとらえていようとも
権利はいつも
目覚めているだろう、

薔薇(ばら)は闇(やみ)の中で
まっくろに見えるだけだ、
もし陽(ひ)がいっぺんに射(さ)したら
薔薇色であったことを証明するだろう
嘆きと苦しみは我々のもので
あの人々のものではない
まして喜びや感動がどうして
あの人々のものといえるだろう、
私は暗黒を知っているから
その向うに明るみの
あることも信じている
君よ、拳を打ちつけて
火を求めるような努力にさえも
大きな意義をかんじてくれ

幾千の声は
くらがりのなかで叫んでいる
空気はふるえ
窓の在(あ)りかを知る、
そこから糸口のように
光りと勝利をひきだすことができる

徒(いたず)らに薔薇の傍らにあって
沈黙をしているな
行為こそ希望の代名詞だ
君の感情は立派なムコだ
花嫁を迎えるため
馬車を支度しろ
いますぐ出発しろ
らっぱを突撃的に
鞭(むち)を苦しそうに
わだちの歌を高く鳴らせ。

 

◆ 沖縄の詩人 山之口獏は、宮沢賢治・金子光晴同様に関東大震災が詩作の出発点の詩人。方言の訛がきつかったので、何度か死ぬ目に会ったのではないかと想像する。(関東 大震災後に約一万人の朝鮮半島の人々、中国人、ドモリや訛のきつい人々が、「君が代」等が上手く歌えなかったり喋れずに、各地で検問中の自警団に撲殺され たという→日本民衆史上最大の汚点!)

  「紙の上」  山之口獏

戦争が起きあがると 
飛び立つ鳥のように 
日の丸の羽をおしひろげ
そこからみんなで飛び立った
一匹の詩人が紙の上にいて 
群れ飛ぶ日の丸を見あげては 
だだ だだ と叫んでいる
発育不全の短い足 
へこんだ腹 
持ちあがらないでっかい頭
さえずる兵器の群をながめては 
だだ だだ と叫んでいる
だだ だだ と叫んでいるが 
いつになったら「戦争」がいえるのか 
不便な肉体 どもる思想 まるで砂漠にいるようだ
インクに渇いたのどをかきむしり熱砂の上にすねかえる
その一匹の大きな舌足らず 
だだ だだ と叫んでは
飛び立つ兵器の群をうちながめ 
群れ飛ぶ日の丸を見あげては 
だだ だだ と叫んでいる


 『ミミコの独立』

 とうちゃんの下駄なんか
 はくんじゃないぞ
 僕はその場を見て言ったが
 とうちゃんのなんか
 はかないよ
 とうちゃんのかんこをかりてって
 ミミコのかんこ
 はくんだ と言うのだ
 こんな理屈をこねてみせながら
 ミミコは小さなそのあんよで
 まな板みたいな下駄をひきずって行った  
 土間では片隅の
 かますの上に
 赤い鼻緒の
 赤いかんこが
 かぼちゃと並んで待っていた


  『座蒲団』 山之口 獏

土の上には床がある
床の上には畳がある
畳の上にあるのが座蒲団でその上にあるのが楽といふ
楽の上にはなんにもないのであろうか
どうぞおしきなさいとすすめられて
楽に坐ったさびしさよ
土の世界をはるかにみおろしてゐるやうに
住み馴れぬ世界がさびしいよ

  
   「世はさまざま」

人は米を食っている
僕の名と同じ名の
獏という獣は
夢を食うという
羊は紙も食い
南京虫は血を吸いにくる
人にはまた
人を食いに来る人や人を食いに出掛ける人もある
そうかと思うと琉球には
うむまあという木がある
木としての器量はよくないが詩人みたいな木なんだ
いつも墓場に立っていて
そこに来ては泣きくずれる
かなしい声や涙で育つという
うむまあ木という風変わりな木もある


   「がじまるの木」

ぼくの生まれは琉球なのだが
そこには亜熱帯や熱帯の
いろんな植物が住んでいるのだ
がじまるの木もそのひとつで
年をとるほどながながと
気根(ひげ)を垂れている木なのだ
暴風なんぞには強い木なのだが
気立てのやさしさはまた格別で
木のぼりあそびにくるこどもらの
するがままに
身をまかせたりしていて
孫の守りでもしているような
隠居みたいな風情の木だ


  「底を歩いて」

なんのために
生きているのか
裸の跣で命をかかえ
いつまで経っても
社会の底にばかりいて
まるで犬か猫みたいじゃないかと
ぼくは時に自分を罵るのだが
人間ぶったぼくのおもいあがりなのか
猫や犬に即して
自分のことを比べてみると
いかにも人間みたいに見えるじゃないか
犬や猫ほどの裸でもあるまいし
一応なにかでくるんでいて
なにかを一応はいていて
用でもあるみたいな
眼をしているのだ

  注; 山之口獏は、宮沢賢治・金子光晴同様に関東大震災が詩作の出発点の詩人。方言の訛がきつかったので、何度か死ぬ目に会ったのではないかと想像する。(関東 大震災後に約一万人の朝鮮半島の人々、中国人、ドモリや訛のきつい人々が、「君が代」等が上手く歌えなかったり喋れずに、各地で検問中の自警団に撲殺され たという→日本民衆史上最大の汚点!)

 

 ◆最近の詩人は肩がこらない詩人の方が好きだ

  日本が見えない  竹内浩三

この空気
この音
オレは日本に帰ってきた
帰ってきた
オレの日本に帰ってきた
でも
オレには日本が見えない

空気がサクレツしていた
軍靴がテントウしていた
その時
オレの目の前で大地がわれた
まっ黒なオレの眼漿《がんしょう》が空間に
とびちった
オレは光素(エーテル)を失って
テントウした

日本よ
オレの国よ
オレにはお前がみえない
一体オレは本当に日本に帰ってきているのか
なんにもみえない
オレの日本はなくなった
オレの日本がみえない

 

◆日本ではまだまだ未開拓な川柳や現代短歌にすばらしい作者が多い・・

 宵深き街のほとりにうずくまりほろほろとパンを食みにけるかも
『松倉米吉短歌集』(近代デジタルライブラリー)ー・・すごい虫食い状態の大正時代の本かな

 

つる あきら 川柳作家 1909.1.1-1938.9.14 石川県生まれ。高等小学校卒業後勤めた機屋の倒産により大阪に出る。プロレタリア川柳論争に出 会い、共鳴。故里に帰り全日本無産者芸術連盟(ナップ)支部を結成するが、間もなくプロレタリア川柳会員として検挙される。昭和五年、金沢第七連隊に入営 するも赤化事件で軍法会議にかけられ収監、拷問を受ける。刑期一年八ヶ月、二等兵のまま除隊するが常に警察の圧迫を受ける。掲載最終五句は「川柳人」(昭 和十二年十一月 二八一号)に掲載された最後の作品だが、掲載と同時に密告告発により治安維持法違反に問われ留置。不潔不衛生で有名な留置場で、そこで赤 痢にかかり移送先の病院で死亡(官憲の手により赤痢菌を盛られたという説もある)。二十九歳。ベッドに手錠で括りつけられていたという。「川柳人」を主宰 し鶴彬の理解者だった井上信子は同時に検挙されたが高齢のため不拘束となった。掲載作は「鶴彬川柳選」と付し、『鶴彬全集』(たいまつ社 昭和五十二年九 月)より抄録。

鶴 彬 川柳選

 昭和三年

飢えにける舌――火を吐かんとして抜かれ

人見ずや奴隷のミイラ舌なきを

ロボットを殖やし全部を馘首する 

 昭和四年

つけ込んで小作の娘買ひに来る

銃口に立つ大衆の中の父

自動車で錦紗で貧民街視察

神殿の地代をとりに来る地主

出征のあとに食へない老夫婦 

 昭和五年

勲章やレールでふくれたドテッ腹

ゼネストだ花が咲かうが咲くまいがよ

主人なき譽の家にくもが巣を 

 昭和九年

瓦斯タンク! 不平あつめてもりあがり

跳ねさせておいて鱗を削ぐ手際

 昭和十年

凶作を救へぬ仏を売り残してゐる

暁の曲譜を組んで闇にゐる

ふるさとの飢饉年期がまたかさみ

生き仏凡夫とおなじ臍をもち

飯櫃(めしびつ)の底にばったり突きあたる

地下へもぐって春へ春への導火線

銃剣で奪った美田の移民村

ふるさとは病ひと一しょに帰るとこ

武装のアゴヒモは葬列のやうに歌がない

赫灼の火となるときを待つ鉄よ

牧場へもえ出て喰はれる春の草

冬眠の蛙へせまる春の鍬

良心を楽屋においたステージの声

縛られた呂律のまゝに燃える歌

これからも不平言ふなと表彰状

血を吸ふたまゝのベルトで安全デー

玉の井に模範女工のなれの果て

売り値のよい娘のきれいさを羨まれてる

フジヤマとサクラの国の失業者

みな肺で死ぬる女工の募集札 

 昭和十一年

けふのよき日の旗が立ってあぶれてしまふ

ざん壕で読む妹を売る手紙

修身にない孝行で淫売婦

貞操と今とり換へた紙幣の色

仲間を殺す弾丸をこさへる徹夜、徹夜

暁をいだいて闇にゐる蕾

枯れ芝よ! 団結して春を待つ

転向を拒んで妻に裏切られ

売られずにゐるは地主の阿魔ばかり

神代から連綿として飢ゑてゐる

日給で半分食へる献立表

王様のやうに働かぬ孔雀で美しい

 昭和十二年

鉄粉にこびりつかれて錆びる肺

息づまる煙の下の結核デー

タマ除けを産めよ殖やせよ勲章をやろう

葬列めいた花嫁花婿の列へ手をあげるヒットラー

ユダヤの血を絶てば狂犬の血が残るばかり

凶作つづきの田は鉱毒の泥の海

十年はつくれぬ田にされ飢えはじめ

殴られる鞭を軍馬は背負はされ

バイブルの背皮にされる羊の皮

正直に働く蟻を食ふけもの

蟻食ひの舌がとどかぬ地下の蟻

蟻食ひを噛み殺したまゝ死んだ蟻

パンを追ふ群衆となって金魚血走ってる

稼ぎ手を殺してならぬ千人針

枕木は土工の墓標となって延るレール

高梁(コーリャン)の実りへ戦車と靴の鋲

屍のゐないニュース映画で勇ましい

出征の門標があってがらんどうの小店

万歳とあげて行った手を大陸において来た

手と足をもいだ丸太にしてかへし

胎内の動きを知るころ骨がつき

 

 


反戦詩ー今日は戦争関係を色々集めてアップしよう(アメンバーなうでは画像が小さすぎなので)

2015年07月19日 | 反戦詩

あらためて。詩人・宮尾節子さんが著作権を手放して広めて下さった「明日戦争がはじまる」 (上の写真は一枚削除すると二枚とも消えてしまうのだが・・困ったもんだ・・)

@tkwammozart  全国に燎原の火のように広がる戦争法案反対のデモは安倍政権を射程圏内に★自民党谷垣幹事長も公明党山口代表この動きを見誤っている。60年安保の時は左翼勢力が原動力になったが今は若者が立ち上がったことだ。この意識改革は平和憲法の成果だ!


大好きな俳人の言葉・・戦後70年:「国のため死んでいく制度は我慢できぬ」 俳人・金子兜太さんインタビュー - 毎日新聞 http://mainichi.jp/feature/news/20150622mog00m040018000c.html

必見!とてもわかりやすい!『安倍政権の背後にいる右派団体「日本会議」のルーツ』ー http://bit.ly/1JpvUtf

日本ではヒトラーの師匠ムッソリーニ的「右翼」(見る観点を変えれば「左翼」とも表現可能!)しか変革は難しそうだ。その特徴はー①反大企業反マフィア(マフィア壊滅) ②労働組合主義(社会変革の主体に)  ③高速鉄道網(弟子ヒトラーはアウトバーン)で経済発展→現日本では首都移転だろ ④発狂弟子ヒトラーとは正反対のインテリ→人材こそ社会的宝


宗教団体や国策的企業(天皇財産を管理運営し町内会費や募金義捐金を懐に入れ世界一社員が多いのに無税の日赤等)や暴力団等にもきちんと課税すれば、無税 社会化が可能に…その他に、ギャンブル、売春、麻薬、冠婚葬祭、ペット飼育、贅沢品等にきちんと課税すれば、年金問題も社会福祉も即解決する!

      担当警察官も検察も創価学会…つい最近まで政権内で、創価学会が要求ポストが法務大臣。それで、検察警察内の創価学会員が飛躍的に増加。裁判所は検察支配下なので暴力装置支配下に


カルトらの日本支配は岸信介以来…政官財トップにホモ人脈やカルト宗教系を据える米国戦略(国際金融や軍産複合体の諜報部門)の一つだった…米原万里(佐藤優を文壇に)が指摘する中曽根以降より露骨に…『藤原肇本澤二郎が語る日本の現在と未来』ーhttp://fujiwaraha01.web.fc2.com/fujiwara/article/zaikai111102.html→米原万里著作は日本ペンクラブ電子文藝館!

◆反戦文学◆ についてはネット中で最良な『日本ペンクラブ電子文藝館』(米原万里作品は評論部門)ーhttp://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/…ここ同様に、以前紹介した戦争体験等の日本一膨大なサイトが見つからん!どなたかよろしく!


【自公の行動は国民に対するクーデター】 15日、衆院特別委員会で安保法案が強行採決し、16日、 本会議で自公は数にものを言わせて採決してしまいました。 そもそも「違憲」だと批判され、多くの国民が反対している法案です。採決は無効です

ーあれは安倍政権によるクーデターだった/石川健治氏(東京大学法学部教授)(ビデオニュース・ドットコム) - Yahoo!ニュース

ー『光軍の戦士たち』;『「放射能を中和させる方法発見」~ロシア科学アカデミー』ー  微生物がもっと放射能くれと…大好物ですから、身体の中の放射能を食事として与えてあげましょう  →マリア・カラスは痩せるため約5mの回虫を飲んだそう…回虫も効果あるのかな?

ー承前)ロシアに関して言うと…その食料は、原発の放射能被害が甚大な米国(特にシアトル近辺は危険!)やカナダよりもはるかに安全だし安い。ただ、以前ロ シアに進出した北海道の企業や個人が、マフィア等に騙され巻き上げられた等…平和条約締結もそうだが、もっと国や行政や専門家の助けが必要!

ー米国に数百兆円貢ぎ、財閥大企業に同じく消費税等で数百兆円貢ぎ、官僚公務員にもその高給や年金ネコババ等で数百兆円貢ぎ…ロシアにってはもう日 本は、資金的にも技術の優秀さも過去の物となったが、悪政で瀕死日本はまだ「腐っても鯛」…分野によっては、まだ世界トップとしてロシアに貢献大

 

 宮沢賢治の詩  (アメンバーブログでは禁止用語でアップ不能、ここではレイアウトが少し変!)

サキノハカといふ黒い花といっしょに
革命がやがてやってくる
ブルジョアジーでもプロレタリアートでも
おほよそ卑怯な下等なやつらは
みんなひとりで日向へ出た蕈のやうに
潰れて流れるその日が来る

やってしまへやってしまへ
酒を呑みたいために尤らしい波瀾を起すやつも
じぶんだけで面白いことをしつくして
人生が砂っ原だなんていふにせ教師も
いつでもきょろきょろひとと自分とくらべるやつら

そいつらみんなを
びしゃびしゃに叩きつけて
その中から卑怯な鬼どもを追ひ払へ
それらをみんな魚や豚につかせてしまえ

はがねを鍛へるやうに
新らしい時代は新らしい人間を鍛へる
紺いろした山地の稜をも砕け
銀河をつかって発電所もつくれ

注:改行は僕の責任です。
サキノハカは墓という字を分解したという説がある。晩年にはマルクスやレーニンを勉強していたり、「革命」という作品名が賢治の手帳に残されている。
その他に好きな詩は「生徒諸君に寄せる」。宇宙飛行士の毛利さんが好きで宇宙まで持っていったという詩集から朗読していた詩でーhttp://www.ihatov.cc/haru_3/383_d.htm
賢治には珍しい切実な恋愛の詩「ローマンス」もーhttp://www.ihatov.cc/haru_3/315_d.htm

 注;山之口獏は、宮沢賢治・金子光晴同様に関東大震災が詩作の出発点の詩人。方言の訛がきつかったので、何度か死ぬ目に会ったのではないかと想像する。(関東大震災後に約一万人の朝鮮半島の人々、中国人、ドモリや訛のきつい人々が、「君が代」等が上手く歌えなかったり喋れずに、各地で検問中の自警団に撲殺されたという→日本民衆史上最大の汚点!)

 

  「紙の上」  山之口獏

戦争が起きあがると 
飛び立つ鳥のように 
日の丸の羽をおしひろげ
そこからみんなで飛び立った
一匹の詩人が紙の上にいて 
群れ飛ぶ日の丸を見あげては 
だだ だだ と叫んでいる
発育不全の短い足 
へこんだ腹 
持ちあがらないでっかい頭
さえずる兵器の群をながめては 
だだ だだ と叫んでいる
だだ だだ と叫んでいるが 
いつになったら「戦争」がいえるのか 
不便な肉体 どもる思想 まるで砂漠にいるようだ
インクに渇いたのどをかきむしり熱砂の上にすねかえる
その一匹の大きな舌足らず 
だだ だだ と叫んでは
飛び立つ兵器の群をうちながめ 
群れ飛ぶ日の丸を見あげては 
だだ だだ と叫んでいる


 『ミミコの独立』

 とうちゃんの下駄なんか
 はくんじゃないぞ
 僕はその場を見て言ったが
 とうちゃんのなんか
 はかないよ
 とうちゃんのかんこをかりてって
 ミミコのかんこ
 はくんだ と言うのだ
 こんな理屈をこねてみせながら
 ミミコは小さなそのあんよで
 まな板みたいな下駄をひきずって行った  
 土間では片隅の
 かますの上に
 赤い鼻緒の
 赤いかんこが
 かぼちゃと並んで待っていた


  『座蒲団』 山之口 獏

土の上には床がある
床の上には畳がある
畳の上にあるのが座蒲団でその上にあるのが楽といふ
楽の上にはなんにもないのであろうか
どうぞおしきなさいとすすめられて
楽に坐ったさびしさよ
土の世界をはるかにみおろしてゐるやうに
住み馴れぬ世界がさびしいよ

  
   「世はさまざま」

人は米を食っている
僕の名と同じ名の
獏という獣は
夢を食うという
羊は紙も食い
南京虫は血を吸いにくる
人にはまた
人を食いに来る人や人を食いに出掛ける人もある
そうかと思うと琉球には
うむまあという木がある
木としての器量はよくないが詩人みたいな木なんだ
いつも墓場に立っていて
そこに来ては泣きくずれる
かなしい声や涙で育つという
うむまあ木という風変わりな木もある


   「がじまるの木」

ぼくの生まれは琉球なのだが
そこには亜熱帯や熱帯の
いろんな植物が住んでいるのだ
がじまるの木もそのひとつで
年をとるほどながながと
気根(ひげ)を垂れている木なのだ
暴風なんぞには強い木なのだが
気立てのやさしさはまた格別で
木のぼりあそびにくるこどもらの
するがままに
身をまかせたりしていて
孫の守りでもしているような
隠居みたいな風情の木だ


  「底を歩いて」

なんのために
生きているのか
裸の跣で命をかかえ
いつまで経っても
社会の底にばかりいて
まるで犬か猫みたいじゃないかと
ぼくは時に自分を罵るのだが
人間ぶったぼくのおもいあがりなのか
猫や犬に即して
自分のことを比べてみると
いかにも人間みたいに見えるじゃないか
犬や猫ほどの裸でもあるまいし
一応なにかでくるんでいて
なにかを一応はいていて
用でもあるみたいな眼をしているのだ

 

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