詩人PIKKIのひとこと日記&詩

すっかりブログを放任中だった。
詩と辛らつ日記を・・

かって超能力少女だった母へのバラード

2009年01月18日 | 日記
もう五年も前に亡くなってしまった母の夢を
やっと見なくなったなと思ってたら
昨夜夢のなかの母に
とても叱られてしまった

母はまるで
山本周五郎の「さぶ」に登場する娘たちみたいで
この本を読んでる間中
微笑みぱなしだった

母の想いで話の中で
いまも忘れらないのは
肋膜炎を患ってあの世を訪れて以来
火の玉どころが
死者の姿が見えたり
テレパシーのような能力が備わってしまったとか
鈍感すぎる昼行灯みたいなぼくには
とうてい想像不可能だけど・・

東京へと働きに行った姉の
「助けて!」という声を
何度も何度も夢の中で聞いたのだという
何度も自殺を図ったとても優しい伯母だった
その叔母が亡くなった日の朝には
カラスが窓をとんとんと突付いて
「お姉さんが亡くなったよ」と言っていたとか
そう母に聞いてすぐに
伯母さんの死の知らせが届いたっけ

もうひとつの母の思い出話は
子供の頃ひどいいじめっ子だったとかで
同級生の指の疣をナイフで切り取ってやったという話で
これを聞くと
家族みんなが笑い転げてしまった
ほんとうはただ醜い疣を取ってやりたかんだろうと・・

いつもへんてこりんなことを口にしては
みんなを笑わせていた母
でもほんとは自分は
そんな人間じゃなかったんだと
言いたかったのかもしれない
自分の非力さを恥じていたのかもしれない
こんな碌でもない息子を育ててしまったことも

脳脳梗塞と
心臓動脈瘤破裂手術とで
ボケが急速に進行してしまって
十数年間寝たきり状態の母に
ある日突然聞かれたことがある
「死んだらいったいどうなるんだべか」

親不孝で無神論者だったぼくは
「あの世なんかは無くって
後に残された人の心の中で行き続けるんでないべか」

どんな立派なことを言おうと 
ぼくらは 
身近な自然についてさえ
ほとんどなにひとつ知らない
ちっぽけで傲慢な存在

だからぼくは
ただひたすら
十数年間寝たきりで
床ずれだらけの母を 
笑わせてやろうとしたんだ

笑え 笑え 
もっと笑え
もっと大きく口を開けて
笑え 笑え 
もっと笑え
のどチンコが見えるぐらいに
もっと もっと 
口を大きく開けて
笑え 笑え 
もっと笑え

人間の誰にも
平等に訪れるのが死というもの
そして
その死への恐怖から
神という概念が生み出されてきたけれど

身体や魂が滅んでゆこうとも
後の残された者たちの記憶に
残りつづけるだけでいい
あんな馬鹿な奴がかっては存在していたんだと
誰かが
語り継いでゆくだけのこと

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