詩人PIKKIのひとこと日記&詩

すっかりブログを放任中だった。
詩と辛らつ日記を・・

詩「四月」「宣言」「匂い」「まんまる」「

2009年09月24日 | 
    四月

「四月がいちばん好きな季節」と
夕焼けに染まりながら
きみがつぶやいたせいばかりじゃないけど
好きだったふるさとの四月

溶け始めた雪の間から
きらりきらきら 
さらさらの川面が
また今年も顔をのぞかせる頃
「福寿草を採りに行こう」と父が呟く

残雪でまだらになった丘を
いくつもいくつも越え
風の橋を 
いくつもいくつも渡り

ああ 今年もやっぱり
同じ川のほとりから
頭をのぞかせている福寿草の蕾

「みてみて!」と
従姉妹の君が指差す先の森には
まるで
絨毯みたいな片栗の群落が
風の中でひっそりとワルツの練習中


   宣言

かっては
数え切れないほどの
多くの宣言を覚えていた

合衆国独立宣言
シュールリアリスト宣言
共産党宣言
アナキスト宣言
困民党宣言

もっといっぱい覚えていたのに
内容などすべて忘れてしまって
その名だけをかろうじて覚えているだけ


   匂い

どっちも こっちも
満開の桜の野を流離ってゆくと

右足になんだか変な感触
鼻を擦りつけて
くんくんと言ってる変態野郎なのか?

「誰だお前は!」と振り向いたら
毛糸の帽子を被り
目がまん丸のお婆さんと
散歩中のえらい多毛の小型コリー

「コリーだったのか・・」
逃げるようにあたふた
一昨日のまんまの
かなり臭う靴下だったので


   まんまる

まんまるは
子供たちの笑顔そのもの
変わることのない太陽や 
生き死にを左右する月や
雨上がりの虹も
星々の巡る軌跡も

まんまるい空から
墜落してきたばかりみたいでいて
まるで雨の滴みたいにきらきらした
子供たちの笑顔

学校帰りの小学生たちに道を聞いたら
それをメモするぼくの手帳を覗き込んで
「その字の書き順違う!」と
わいわいがやがや

「そんなら正しい書き順を書いてくれるかい?」と聞く
ぼくの手帳に
どの子も
てんで出鱈目な書き順の子供たち

ぼくもふっと笑いながら
「学校で先生にもう一度聞いてみた方がいいよ」と
偉そうにのたまうぼく

見上げる夕空には
行き場を失った
はぐれ雲があちこち



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