徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

あれから50年

2023-09-30 17:18:57 | ファミリー
 明日から早くも10月。今朝の熊日新聞に「RKKラジオ、10月1日に開局70年」という記事が載った。RKKラジオ(熊本放送)は昭和28年(1953)、現在のびぷれす熊日会館(熊本市中央区上通町2)の場所で「ラジオ熊本」として開局して70年を迎えるのだそうだ。
 この記事を見て50年前の懐かしい思い出が甦った。昭和48年(1973)10月、RKKは放送開始20周年の特別番組をやった。番組の企画として中継車が市内を回った。たまたまわが家の近くを中継車が通りかかり、生まれたばかりの長男を抱いて歩いていた家内がつかまった。そして、スペシャル・インタビュアーの永六輔さんが家内にマイクを向けた。そして永さんはギャグのつもりか、家内に抱かれた長男にもマイクを向けた。長男はひとこと「グー(goo !)」と言った。仕事でいなかった僕は帰宅後、そんな顛末を家内から聞いた。するとたまたま放送を聞いていた僕の同級生が「放送聞いたぞ!」と電話をくれた。その赤ん坊だった長男も今年50歳を迎える。

      上を向いて歩こう
歌:坂本九 作詞:永六輔 作曲:中村八大

中秋の名月

2023-09-29 22:04:54 | 日本文化
 今夜は中秋の名月。夕食後、熊本城二の丸広場へ出かけてみた。いつも天守閣越しの月の絵をねらうのだが、予想はしていたものの、宇土櫓が解体工事の足場で覆われていて全然絵にならない。撮影はあきらめてしばらくじっと眺めていた。
一二三天守越しの月を撮れるのは10年後かと思うと寂しくなった。その後、城彩苑に下ると親水空間ステージで代継太鼓保存会の太鼓演奏が行われていた。城彩苑入口前では野点も行われていたが、だいぶ順番待ちをするようだったので横目で見ながら帰路についた。
 昔は満月のことを「望月(もちづき)」と言い「もちづき」が「餅つき」となり、帝釈天が自分のために火の中に身を投じたうさぎを憐れに思い、うさぎが餅をつく姿を月に映したと言い伝えられている。


舞妓はん随想

2023-09-28 20:21:52 | 日本文化
 昨日から始まった毎秋恒例の鶴屋百貨店「大京都展」。今年も開会に華を添える舞妓さんの舞披露を見に行った。会場の1Fサテライトスタジオには30席ほどが用意されその回りを立ち見の観客が取り囲む。舞にトークをはさみながら女性MCが進行して行くのだが、まず「アレ?」と思ったのは舞妓さんが昨年と同じ祇園東の満彩尚(まさなお)さんだったこと。これまで同じ舞妓さんが2年続けて来ることはなかった。やっぱり祇園の舞妓さん不足という話は本当なのか。
 満彩尚さんは2019年にお見世出しをしたというベテランでまもなく襟替えが控えているという。舞の曲目は祝舞の「松づくし」に始まり「京の四季」と「祇園小唄」の3曲で、いずれも舞妓さんにとって必修科目みたいなものだ。
 ところで、京都祇園を象徴する唄である「祇園小唄」の作者が熊本ゆかりの長田幹彦であることをなぜかMCは触れたことがない。長田幹彦は菊池神社(熊本県菊池市隈府)の初代宮司で文化人でもあった長田穂積の孫で、菊池神社には長田幹彦の歌碑も立てられている。
 それはともかく、熊本市民にとって縁遠い存在である舞妓さんを見る唯一の機会である「大京都展」の舞妓さんの舞がこれからもずっと続いてほしいものだ。


〽唄い囃せや大黒 一本目には池の松 二本目には庭の松
祇園東の満彩尚さん

リアル・ジャパン!!!

2023-09-27 17:41:48 | 日本文化
 昨夜のNHK「クローズアップ現代」はインバウンドがコロナ前のレベルに戻りつつある一方で、訪日観光客の行動に見られる変化の傾向を取り上げていた。今年1月、ニューヨーク・タイムズでは「今年行くべき世界の52か所」としてロンドンに次いで2番目に紹介されたのが岩手県盛岡市だった。なぜ盛岡なのか?いや盛岡に限らず、これまで定番だった観光ルートから外れた場所へ足を伸ばす外国人観光客の実態が見えてきた。彼らが日本に求める「5つのポイント」があるという。
  • オリエンタル(神社仏閣・古民家)
  • デリシャス(ラーメン・居酒屋・屋台)
  • ネイチャー(自然・里山)
  • リアル(日常の暮らし・地元の人)
  • クール(歌舞伎町・秋葉原・アニメ)
 なかでも特筆すべきは「リアル」だと思う。つまり創られたテーマパークのようなところではなく、リアルな日本人の生活や人そのものに接したいということなのだろう。
 そして今、訪れる外国人数が伸びている市町村のトップ10が次のとおりだという。


 わが熊本・あさぎり町のトップ10入りは驚きだが、以前からグリーン・ツーリズムを推進しているという話は聞いていた。あさぎり町在住の知人も何人かいるので詳しく話を聴いてみたい。
 しかし、番組を見ながら思った。リアル・ジャパンをまず知らなければならないのは日本人自身ではないのだろうか。

民謡魂 ふるさとの唄~青森県むつ市編~

2023-09-25 19:46:05 | 伝統芸能
 昨日のNHK「民謡魂 ふるさとの唄」は青森県むつ市から。津軽と南部はまさに民謡の宝庫。あいや節、じょんから節、三下り、よされ節など塩っ気の効いた唄と津軽三味線の響きそして手踊りが花を添えて45分間を飽きさせなかった。
 中でも最も興味深かったのは最後に出演者全員で唄った「南部俵積み唄」と「鯵ヶ沢甚句」の二つ。「南部俵積み唄」は僕がYouTubeにアップした中で最も人気の曲であること。一方の「鰺ヶ沢甚句」は、僕の大好きな北海道の「いやさか音頭」の元唄ではないかといわれていること。いずれも僕が住む熊本とは異なる気候風土の中で唄い継がれた名曲である。






古町小町とブリジット・バルドー

2023-09-24 22:33:31 | 映画
 今日、RKKラジオ「村上美香のヒトコト」に城下町古町案内人の古町小町こと瑠璃さんがゲスト出演、案内人を始めた動機や日頃の活動などを話された。案内人を始めて12年だそうだ。だいぶ前から存じ上げているがもうそんなに経っていたかと驚いた。熊本地震直後、熊本城は復旧するかもしれないが城下町は消滅するのではないかと盛んに言われた。たしかに多くの町屋は姿を消したが、残された城下町の風情を守り、それを一人でも多くの方に知っていただきたいと有志の方々が頑張っておられる。彼女もそんなお一人である。


2012年クリスマスの上村元三商店前

 今日の放送の中でフランス語に堪能な彼女が2曲紹介されたが、そのうちの1曲がなんとブリジット・バルドーの「Ça Pourrait Changer (変わるかも)」だった。聴きながら、僕が映画少年だった頃の思い出が甦った。
 あれは小学校6年か中学1年の時だったが、通町筋の大劇でブリジット・バルドー(当時は“ベベ”と呼ばれていた)主演のフランス映画「裸で御免なさい」(1956)を見た。おそらく西部劇か何かの添え物だったと思う。ところが、10年前、BSでこの映画が放送された。50年以上も経つとこちらの観る眼が変わっていて、添え物だったこの作品が妙に愛おしい。なんだかんだあって“ベベ”がストリップコンテストに出場する羽目になる。素面はさすがにムリと仮面をつけて出場するのだが、彼女はイタリア娘“ソフィア”と名乗る。これは同世代のソフィア・ローレンをパロっているのがわかってクスッとくる。なかなか小洒落たコメディなのだが共同脚本を担当しているのが当時の“ベベ”の夫ロジェ・バディムだから、きっと彼女の魅力は知り尽くしていたのだろう。

「Ça Pourrait Changer (変わるかも)」が使われた日産モコのCM

映画「気分を出してもう一度」(1959)の1場面

彼岸の中日

2023-09-23 23:02:41 | 
 今日は秋彼岸の中日。家内と墓参りに行った。朝は涼しかったのに日中は日差しが強かった。
 夕飯をすませてから散歩に出た。薄暮の中を歩いていると路傍のオシロイバナが開き始めていた。昼は花を閉じているのに夕方になるとやつらは間違うことなく開き始める。いつものことながら自然のメカニズムには感動する。京町本通り沿いの正善寺の掲示板の前で足を止めた。今日の言葉は
 「亡き人を案ずる私が 亡き人から案ぜられている」
と書いてあった。さっき父や弟や、つい最近逝った義兄や息子の姑など亡き人に手を合わせて来たばかりだったので、この言葉が心に沁みた。


浅草と谷汲観音様

2023-09-22 22:14:27 | 日本文化
 今日、高平の浄国寺の前を車で通りかかった。久しぶりに立ち寄って谷汲観音様にお詣りしようかと思ったが、つい停車しそびれた。来月にでもまた訪れることにしよう。
 先日、テレビでインバウンドが回復したというニュースで浅草寺雷門が賑う風景が映ったが、谷汲観音様が一躍有名になったのも浅草だったことを思い出した。

 幕末から明治時代にかけて一世を風靡した稀代の生人形師・松本喜三郎が浅草奥山で行なった「西国三十三カ所観音霊験記」の第三十三場面「美濃国 谷汲寺縁起」に登場するのが谷汲観音。彼自身あまりに快心の作であった為、急遽もう一つ造り舞台にはそれを出したと伝えられている。 最初に造った観音像は浅草伝法院を経て現在は松本家菩提寺の熊本・浄国寺に観音像として祀られている。(旅ムック・シリーズ 熊本偉人伝 松本 喜三郎)より。


谷汲観音像


浄国寺

▼端唄「浅草詣り」
 江戸後期、浅草寺境内では越後獅子が人気を博していたが、文化年間(1804~1817)にこれを題材として長唄が作られ、さらにその替歌として浅草寺界隈の賑わいを唄う端唄「浅草詣り」が作られた。
 江戸端唄の笹木美きえ師匠によれば「浅草詣り」の歌詞には一部差別的表現が含まれるので、歌詞を変えて唄われる場合も多いという。

自己実現の夢

2023-09-21 21:17:02 | 音楽芸能
 5,6年ぶりに車で九州自動車道を走った。車窓から高良山を遠望しながら遠い昔のことを思い出していた。
 僕がブリヂストン防府工場に勤めていた1977年、工場建設の第一期工事が終わり開所式が行われた。その関連行事として久留米工場の吹奏楽団を招き、開所式および防府市公会堂での演奏会を開催した。
 その演奏会の前日、吹奏楽団員の一人から悩みを聞く機会があった。彼は高校時代、吹奏楽部で活躍し、その腕をさらに磨きたいと、実業団ではトップクラスの吹奏楽団を持つブリヂストンに入社した。しかし、入社後数年経過し、このまま会社員の余技として吹奏楽を続けて行くのか、はたまたプロの音楽の世界にチャレンジするべきか悩んでいた。僕はその時、何のサジェスチョンもできなかったが、演奏会では生き生きとしていた彼らが日頃そんな悩みを抱いていることを初めて知った。それ以来、高校や中学の吹奏楽部の演奏を見る度に、彼らは卒業後、どんな希望を抱いてどんな道へ進んで行くのだろうと気になるようになった。そして一人でも多くの吹奏楽部OB・OGたちが自己実現できればいいなと願っている。


チャリのはなし。

2023-09-20 22:07:37 | 音楽芸能
 先月「夏目漱石内坪井旧居」にシェアサイクルが5台ほど置かれたという話を書いた。この熊本市の観光客向けサービスのことを「チャリチャリ」というらしい。自転車のダウンチューブにも「chari」の文字が書かれている。
 ところで自転車のことを「チャリ」と呼ぶのは「チャリン」というベルの音からきているらしいが、「チャリンコ」「ママチャリ」「原チャリ」などの言葉はいったいいつ頃から定着したのだろうか。

 昨日、YouTubeマイチャンネルの「牛深ハイヤ節」にSさんという方から面白いコメントが寄せられた。曰く「裾上げて踊る、かつての散財の踊りチャリ舞の伝統が受け継がれてるのでしょうか。因州因幡、御所のお庭とか。・・・」
 「チャリ舞」という言葉は久しぶりに聞いた。お座敷芸のちょっとお道化た滑稽味のある舞のことをいう。大正6年に発行された当時芸者必携の歌本「十美人 : 芸者自慢」の中に「チャリ舞」の項目があり、20数曲挙げられているが、その中から「御所のお庭」と「背戸の段畑(なすとかぼちゃ)」を下に掲載した。
 「チャリ舞」の「チャリ」は動詞の「茶る」からきているので自転車とは直接のつながりはないが、「十美人 : 芸者自慢」の「チャリ舞」の項の少し前には「自転車節」が一項目として挙げられており、これぞまさに「チャリ舞」ともいえそうでもあり、「チャリ」つながりということで最後に「自転車節」も掲載した。


シェアサイクル「チャリチャリ」

御所のお庭

背戸の段畑(なすとかぼちゃ)

熊本自転車節

敬老の日

2023-09-18 21:01:36 | 
 今日はいまだに納得していない「敬老の日」。「敬老の日」が第3月曜日と変わったのはもう20年前のこと。かつて「敬老の日」が9月15日だった頃は、熊本市民にとって最大の祭である「藤崎八旛宮秋季例大祭」の随兵行列や飾り馬の奉納が行なわれる日。僕らが子供だった頃、年中で一番心浮き立つ日でもあった。国民の祝日である「敬老の日」が第3月曜日ということになってしまったあおりを受け、「藤崎八旛宮秋季例大祭」の日程も毎年日にちが変わることになった。
 それはさておき、今朝は家内が炊いた赤飯で母を含めた三人で祝った。「老々敬老」などと言いながら笑い合った。先日、町内会の敬老祝いが三人分届いてあらためて現実を認識したのだった。今日のNHKニュースでは「敬老行事を支える人たちも高齢化が進み、行事の継続を断念せざるを得ない地区もある」というニュースを聞き、身につまされた。

When I Grow Too Old To Dream (Perry Como)

御旅所の風景

2023-09-17 19:51:15 | イベント
 今日は藤崎八旛宮例大祭のクライマックス、神幸行列(随兵)の日。朝から新町御旅所へ。随兵の2団体の到着を待った後、能楽殿での能奉納を見る。
【番組】 
 喜多流 素謡「翁」
 喜多流 半能「高砂」…脇能物
 金春流 能「経政」…修羅物
 和泉流 狂言「太子手鉾」
 喜多流 半能「東北」…鬘物
 金春流 半能「鵜飼」…切能物

 3年ぶりに行われた昨年の神幸行列は台風の影響で10月に延期され、能奉納の演目も大幅に変更となり、能や半能は行われなかったので今年は随分久しぶりに御旅所能奉納を見た気がする。個々の演目についてはまた別の機会に。
 能を見た後、薬師坂を登り、漆畑を通り抜けて帰ったが、馬追い勢子たちの昼食と休憩所になっており、いつもは寂しい三の丸に人が溢れているという不思議な光景を見た。


喜多流 半能「高砂」後シテ住吉明神 狩野了一


喜多流 半能「東北」後シテ和泉式部の霊 友枝雄人


御神輿も御旅所に鎮座、夕随兵の出発まで静かに待つ


熊本城三の丸漆畑は馬追い勢子たちの休憩所と化す

まつり囃子

2023-09-16 21:02:49 | イベント
 ラフカディオ・ハーンが
 「それは気違いじみた大祭で、おかしな飾りをつけた馬をひきまわし、ボシタリ!ボシタリ!と
  叫ぶ。これは朝鮮出兵前に加藤清正が八旛様に唱えて以来の記念すべき掛け声・・・」と言い、
 種田山頭火は
 「熊本は今日が藤崎宮の御神幸、飾馬のボシタイ/\の声が聞えるやうな気がする、熊本は第二
  の故郷、なつかしい・・・」と言った。
 明日はそのまつり囃子が熊本の街に響き渡る。

 46年前に他界した僕の祖母は、明治16年、藤崎宮にほど近い一番被分町(現在の水道町)に士族の子女として生まれ育った。西南戦争で焼失した藤崎宮が藤崎台から井川渕に遷座したのは明治11年だが、本殿が整ったのは明治17年という。祖母は新しい藤崎宮とほとんど同じ時代に生まれ、生きてきたとも言える。幼い頃から「お八旛さん」と呼び、産土神として藤崎宮を篤く崇敬してきた祖母にとって例大祭は特別な大まつりだったのである。そのせいか、毎年、飾馬奉納順位が鳥居基に次ぎ二番目の水道町には僕は特別な思い入れがある。


水道町の飾馬奉納


藤崎八旛宮例大祭 ~飾馬飾卸~

2023-09-15 18:07:10 | イベント
 熊本に秋の訪れを告げる藤崎八旛宮例大祭も今日が三日目。熱中症警戒アラートが発せられる中、「飾馬飾卸(かざりうまかざりおろし)」が行われ、今年飾馬を奉納する57団体が次々と鳥居をくぐった。楼門前で団体ごとにお祓いを受け、明後日行われる神幸行列への参加認定証を受け取り、気勢をあげて鉦太鼓ラッパの音と「ドーカイ ドーカイ」の声も高らかに暑さをものともせず街へ繰り出した。






妖しい美術図書

2023-09-14 21:05:50 | 美術
 今日は散歩を兼ねて久しぶりに上通の熊本市現代美術館へ。美術図書が並べられたギャラリーを見て回っていると、とある本棚の隅に、まるで僕を誘うかのように置かれた図書が目についた。手に取って室内のテーブルにつき表紙を確かめてみた。「甲斐荘楠音の全貌」とあった。名前はどこかで聞いたことがあるような気がした。表紙を開け、ページをめくっていくと、主に女性を描いた日本画集のようだ。しかし、上村松園とも鏑木清方とも明らかに違う画風である。女性をただ美しく描こうとしているのではない。女の情念をおどろおどろしく描いているように見えた。その画風に引き込まれ、つい時間の経つのも忘れて見入っていたが、キリがないのであらためてもう一度見に来ようと思い美術館をあとにした。
※甲斐荘楠音(かいのしょう ただおと)



 帰り道はいつものとおり「夏目漱石内坪井旧居」の前を通る。せっかくなので庭を一回りして帰ろうと裏口から入った。縁側前の百日紅の花が綺麗だったので写真を撮っておこうとコンデジを構えると、縁の下に二匹の野良猫がいることに気付いた。猫たちは慌ててどっかへ消えたが、ふと「吾輩は猫である」を思い出した。漱石の小説は東京の千駄木に住んでいた頃の設定のようだが、ひょっとしたらここ内坪井に住んでいた頃も小説と同じような光景が見られたのかもしれないなと思った。



 新坂を登り始めると、山側の法面にくずの花が咲いていた。辺りに甘ったるい香りを漂わせている。近年はこの一帯のくずの繁茂が凄まじい。日頃、外来植物が在来植物を駆逐するのではと心配しているが、日本からアメリカに渡ったくずが繁茂し、アメリカでも困っているそうな。