景気拡大期が「いざなぎ景気」を超え、
戦後最大となることが確実になりました。
景気のネーミングは日本の神話に由来し、
「神武景気」「岩戸景気」「いざなぎ景気」と、
時代をさかのぼる形で名づけられています。
「神武以来の好景気」という語感は理解できますが、
(神武天皇の御世は好景気だったのでしょうか?)
「天岩戸」や「国生み」になると、
現実とは遠い出来事に感じてしまいます。
戦後の高度成長期というのは、ある意味、
現実感覚を離れた時代だったのかもしれません。
「格差社会」が指摘され、低所得で働くことを余儀なくされる
「ワーキング・プア」が問題となる中、
「戦後最大の好景気」と言われても、
神話以上に現実離れしたものとしか思えません。
たかき屋に のぼりてみれば 煙立つ
民のかまどは にぎわひにけり
仁徳天皇の御製とされる歌です。
仁徳天皇が高殿から民の様子を見ると、
食事時であるにもかかわらす、炊事の煙が見えません。
民の困窮を察した帝は、三年間、年貢などの課役を免除します。
三年後、民は豊かになり、
再び高殿から様子を見ると、炊事の煙が上っています。
民は天皇の徳を讃えるようになりました。
この歌は、その情景を詠んだものとされています。
今回の景気は、
おそらく「神代景気」とでも名づけられるのでしょう。
しかし、『古事記』や『日本書紀』からネタを探すよりも、
仁徳天皇のように、人々の生活を心配する方が先です。
警察・消防に続き、天皇を礼賛する。
左翼の割には、左翼らしからぬ内容になりました。
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