本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

1秒先の彼

2024-03-24 07:43:40 | Weblog
■本
24 適当日記/高田 純次
25 適当日記 野望編/高田 純次
26 この国を蝕む「神話」解体/佐々木 俊尚

24 「適当日記」最新作の書評を読み興味を持ったので、その一作目を読みました。適当で軽妙な語り口が楽しいです。ゆるい自己肯定感と自分を俯瞰的に見ている感じが成熟を感じますし、今の時代に合っている気もします。「適当」とおっしゃりながら、身体を張ったロケなど、仕事熱心な点も印象的でした。ポリティカルコレクトネスを無視しているようでいて、ギリギリの配慮をされている下ネタ表現も痛快です。初主演映画公開前日に東日本大震災が起こる不運にも、被災者や関係者に配慮をしつつ振り返る姿勢がクールです。したたかにキャリアを重ねるロールモデルとして参考になります。

25 「芸能生活だいたい35周年を記念して」2015年に発売されたCDに関する日記をまとめた続編です。腰の手術というディープな話題も軽妙に書かれていてらしさ全開です。紅白出場を目指されていたそうですが、恥ずかしながらこのCDの存在はこの本を読むまで知りませんでした 笑。

26 「テレビや新聞などのマスコミが二十世紀後半につくり上げてきたステレオタイプなモノの見方の数々」を「二十世紀の古臭い神話」と断じ、それらの「神話」に一石を投じられている本です。橘玲さんのように、扇動的な文体でリベラル批判が繰り広げられます。行き過ぎたキャンセルカルチャーなど、今話題のドラマ「不適切にもほどがある」のテーマにも通じるものがあります。私の大好きな内田樹さんも、天皇陛下を政治利用をするかのような発言や、エコロジーの観点からの過度な江戸時代礼賛を批判されており、その批判には説得力があると思いました。ただ、内田樹さんが「左派リベラルの理論的支柱」であるかと言うと、個人的には疑問で、内田さんは強硬な護憲派なので、そういった観点からは保守とも言え、「保守」の「今までの状態・考え方・習慣などを根本から変えようとはしない態度」をどの時間軸で考えるかで、捉え方が変わってくると思います。そういった観点から、陰謀論にはまりやすい点など、佐々木さんが極端な左派が従来の右派と似たような傾向を持つようになったと指摘されていることも腹落ちしました。トランスジェンダーについての議論を例に、「強者」と「弱者」を「固定的に決めてしまうことには問題が多い」と指摘し、どちらも「正しい」ので、「どちらが正しいか」で争うのは意味がない、という主張には共感しました。非常に難しいことですが、それぞれの信じる「神話」に基づく対立による「分断」を避けるためには、相互に議論を続け、安易に結論を出さない粘り強さが必要なのだと感じました。


■映画 
25 1秒先の彼/監督 山下 敦弘
26 STAND BY ME ドラえもん 2/監督 八木 竜一、山崎 貴
27 騎兵隊/監督 ジョン・フォード

25 台湾でヒットした作品を宮藤官九郎さんの脚本でリメイクしたということで観ました。それ以外の情報を持たずに観たので、どんでん返しに素直に引っかかることができてとても楽しめました。予告編や出演俳優を事前に知っていたら、タレントパワー(この俳優が脇役のはずがないということで)で展開が予想されたと思います。清原果耶さんのメリハリの効いた演技が素晴らしかったです。岡田将生さんも京都人らしいクセ強めの性格の「残念なイケメン」を好演されていました(京都弁のイントネーションがおかしいのはご愛敬です)。京都市内だけでなく、宮津市の風景も素敵に描かれています。低予算のチープさと不思議なファンタジー的世界観もいい感じにマッチしていました。ネタ元作品の設定が絶妙なのだと思いますが、ツッコミどころは満載なものの、個性的で魅力的な作品に仕上がっていると思いました。

26 1作目はあまり好きではなかったのですが、山崎貴監督が「ゴジラ-1.0 」で、視覚効果賞を受賞されたこともあり観ました。前作以上に、のび太が支離滅裂で、終始怒りを感じながら観ていました。劇場アニメ版のドラえもんが、ジャイアンなどの主要登場人物が全て少し良い人間になっていることの反動か、このシリーズののび太には良いところが全く見出せません。力技で泣かせようとしている点も、全く共感できませんでした。それでも、名作とされている3つの原作エピソードを手際よくつなげる手腕と、美しいCG映像には唸らされます。山崎貴さん以外の方が書いた脚本で、このシリーズは観たかったです。

27 ジョン・フォード監督が、南北戦争で北軍が南軍の領土内で行ったある作戦を描いた作品です。ジョン・ウェイン主演のジョン・フォード監督作品らしく、マッチョな世界観が印象的ですが、アクションのキレや全体の一貫性が、いつもほどはないと感じました。南軍シンパの女性との恋愛要素や、南軍少年兵によるコミカルな要素は不要だったと思います。主要登場人物の自己犠牲に満ちた行動は感動的でした。ジョン・フォード監督作品は、今の時代の価値観と照らし合わせると違和感を感じる点も多いですが、古き良き人間の美徳を描かせるとやはり光るものがあると思います。

コメント
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