夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『一度死んでみた』

2020年03月31日 | 映画(あ行)
『一度死んでみた』
監督:浜崎慎治
出演:広瀬すず,吉沢亮,堤真一,リリー・フランキー,小澤征悦,嶋田久作,
   木村多江,松田翔太,加藤諒,でんでん,大友康平,竹中直人,妻夫木聡他
 
TOHOシネマズ西宮にて、前述の『初恋』の次に。
 
浜崎慎治監督はCMディレクター、これが長編映画監督デビュー作。
最初からオリジナル作品で勝負っていいじゃあないか。
 
製薬会社の社長・野畑計(堤真一)は仕事第一で、
妻・百合子(木村多江)の危篤の知らせにも病院に駆けつけなかった。
一人娘の女子大生・七瀬(広瀬すず)はそんな父親のことが大嫌い。
 
計は娘に自分の会社を継いでほしいが、七瀬にはもちろんそんな気はない。
ボーカルを務めるデスメタルバンドでは、父親への不満を吐き出すかのように、
「一度死んでくれ」とライブで歌いつづけている。
 
そんなある日、計が本当に死んでしまう。
実は、社員の藤井(松田翔太)が開発に成功した新薬“ジュリエット”という、
2日間だけ死ぬことができる薬を飲んだため。
最近、計の会社が開発中の若返りの薬“ロミオ”を狙うライバルの製薬会社が
計の会社との合併を画策しており、
一度死んでみれば裏切り者をあぶり出せるのではと考えたから。
 
しかし、ライバル会社の社長と手を組む裏切り者は、
計が仮死状態にある隙に本当に殺してしまうことを企む。
それを知った七瀬は、計の秘書を務める松岡(吉沢亮)と協力し、
大嫌いなクソ親父を生き返らせようとするのだが……。
 
売れっ子CMディレクターの力なのか、カメオ的出演俳優が楽しすぎる。
一瞬しか出てこないひと多数。
キャバクラのボーイ役でほんとの一瞬、佐藤健。弔問客に古田新太とか。
掃除のおばちゃんが原日出子でしょ、坊主役に竹中直人
社員役では志尊淳、警備員役には城田優
中華料理屋の店主はでんでんだし。
それに比べりゃまぁまぁ出番の多いホテルの支配人役に妻夫木聡
あの世への案内人役はリリー・フランキーでした。
 
やっぱりこんなふうに知名度の高い役者が出ていると、
それだけで豪華で楽しいんですよね。
普通に笑って泣いて楽しみました。
 
吉沢亮は、その綺麗すぎる顔を生かしたしょうもない恋愛ものよりも、
こんな役のほうが絶対イイ。
彼をこんな「存在感のないことが特技な秘書」の役に配したのは大正解。
 
「言わなわからん」が信条の私ですから、大納得です。
エンドロールが回り始めても席を立たないでね。
すずちゃんと吉沢くんのキスシーンはその後ですからお見逃しなく。

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『初恋』

2020年03月30日 | 映画(は行)
『初恋』
監督:三池崇史
出演:窪田正孝,大森南朋,染谷将太,小西桜子,ベッキー,三浦貴大,藤岡麻美,
   顔正國,段釣豪,村上淳,滝藤賢一,ベンガル,塩見三省,内野聖陽他
 
観たいなぁと思っていても、どんどん迫る上映終了日。
こりゃもう無理だなぁとあきらめたつもりが、気が変わってTOHOシネマズ西宮へ。
観に行ってよかったと心底思いました。
もともと好きな三池崇史監督だけど、今までの三池作品の中でいちばん好き。
 
天才ボクサー・レオ(窪田正孝)は勝利を収めても喜ぶ様子なく、
勝つのが当たり前と思っているかのようにクール。
そんな彼が格下相手にまさかのKO負けを喫して病院へ。
 
彼を診察した医師(滝藤賢一)が神妙な面持ちで告げるには、
レオには脳腫瘍があり、手術は困難、余命はわずか。
そのせいでKO負けした可能性があると言われ、
ラッキーパンチを喰らったわけではなかったのかと納得しつつ、
自分が死ぬと聞かされて放心する。
 
新宿・歌舞伎町をあてもなくさまよっていたレオは、
「助けて」と叫びながら逃げる少女とすれ違い、
彼女を追いかけてきた男に咄嗟にパンチを喰らわして倒してしまう。
 
男は悪徳刑事の大伴(大森南朋)で、ヤクザの加瀬(染谷将太)の話に乗り、
組に入るはずの麻薬を奪って金儲けすることを考えていた。
その罪を着せるためにヤクザが囲う少女・モニカ(小西桜子)を呼び出したのだ。
 
モニカは父親の借金のカタに組に預けられ、
シャブ漬けにされたうえに体を売らされていた。
大伴といるうちに幻覚症状が起きて逃げ出したところへたまたまレオが通りかかったらしい。
どうせ死ぬんだからと、レオはモニカの逃亡を手助けするのだが……。
 
いつもの三池監督とはタッチの異なる出だしに「あれ?」と思ったのは一瞬のこと。
ちょん切れた首が放り出されて、あ、いつもの監督だと思いました(笑)。
でも話が進むとやっぱりちょっと違ってた。なんかめちゃめちゃよかった。
 
『孤狼の血』(2017)を配給した東映が、東映の映画はこうあるべきという思いを新たに、
次作として起用を決めたのが三池監督とのこと。なるほど。
「仁」があるのですよ、ここには。
 
窪田正孝に惚れ直し、小西桜子を応援したくなり、
ヤクザきっての武闘派・権藤役の内野聖陽にビビりつつもホロリとさせられ、
仁を大事にするチャイニーズマフィアの一員役、藤岡麻美に目が釘付け。
彼女、ディーン・フジオカの実妹だそうで、確かに似ている。美人!
易者役のベンガルと、医者役の滝藤賢一から留守電に入るメッセージに笑いました。
そして何より凄かったのはベッキーの演技。彼女、ただ者ではない。
 
タイトルとギャップがありそうに思うけど、これ以上になくピッタリだとも思える。
なんて純粋な作品だろう。大好きです。

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『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』〈ダイナミック完全版IMAX〉

2020年03月29日 | 映画(た行)
去年の11月、ほかに観るものがなかったから観た『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』
これがめちゃくちゃ面白くて、ずっと心に残っていました。
 
ロシアでは興行収入40億円超、800万人を動員する大ヒット。
そらまぁ本国ではそうなるわなと思ったけれど、
私を含む日本人をも虜にしたらしく、
日本で公開されたロシア作品としては興行収入トップ。
記録の更新は20年ぶりだそうです。
 
それまでの記録を持っていたロシア作品っていったい何かと思ったら、
ニキータ・ミハルコフ監督の『太陽に灼かれて』(1994)とのこと。
そしてこの『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』は、
そのニキータ・ミハルコフがプロデューサーですと。
 
このたび、ダイナミック完全版と銘打たれたノーカット版がIMAX上映。
こりゃ観に行かなきゃいけません。109シネマズ箕面へ。
 
コロナ感染防止のために、座席はひとつずつ空けて販売されています。
っちゅうても全員で10人ぐらい。毎度安心です、映画館は。
 
独ソ線の話なので、飛び交う台詞はドイツ語とロシア語。
このIMAX版では、ドイツ語の台詞にロシア語をボイスオーバーさせる形が取られています。
私はボイスオーバーの作品を観るのは初めてだったのですが、皆さんご存じでしたか。
吹替ではなく、登場人物がドイツ語をしゃべると一拍置いてロシア語が流れる。
最初は違和感ありありでしたが、こういうのも面白いですねぇ。
 
一度観ているからラストがどうなるかもわかっているため、
安心して観ることができました。
決死の頭脳戦を繰り広げたロシア軍少尉とドイツ軍大尉が
お互いに少なからず敬意を持って戦っているのもよかった。
 
ロシア軍少尉役のアレクサンドル・ペトロフがカワイイなぁと思っていたら、
以前観た作品に出ていることに気づく。
『オーガストウォーズ』(2012)がそうでした。
でも、日本で公開されたのはそれと本作だけ。
再来月公開されるリュック・ベッソン監督の新作『ANNA/アナ』に出演するようなので、
そこでもチェックしたいです。
もっとロシア作品を日本でも公開してほしい。
 
二度目も興奮、最後まで目が離せない戦車ムービー。
もう一度上映されたらまた観に行っちゃうかも。上映終了が惜しい。

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『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』

2020年03月28日 | 映画(さ行)
『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』(原題:The Death & Life of John F. Donovan)
監督:グザヴィエ・ドラン
出演:キット・ハリントン,ナタリー・ポートマン,ジェイコブ・トレンブレイ,スーザン・サランドン,
   キャシー・ベイツ,タンディ・ニュートン,ベン・シュネッツァー,マイケル・ガンボン他
 
TOHOシネマズ西宮にて、『架空OL日記』の次に。
 
まだ30歳のグザヴィエ・ドラン監督、初の全編英語作品だそうで。
彼はケベック州出身ですから、これまでの作品はフランス語作品。
監督としても俳優としても頭抜けた才能を持ち、
最初からゲイであることをカミングアウトしていた人。
こういったことを知ってから観るほうが心が動かされると思います。
 
2006年のニューヨーク。
スター俳優ジョン・F・ドノヴァンが29歳の若さでこの世を去る。
TVニュースでそれを知り、呆然とする少年ルパート・ターナー。
 
それから10年経過。ルパートは俳優となっていた。
彼は少年時代、あのジョン・F・ドノヴァンの秘密の文通相手だったが、
ひょんなことからそれが世間に知れてしまい、
ジョンはルパートとの文通を否定したまま死んでしまった。
 
ルパートはジョンとの100通以上におよぶ手紙の公開を決意し、
著名な女性ジャーナリスト、オードリー・ニューハウスの取材を受けることに。
しかし主に政治にしか興味のないオードリーにとって、
こんなゴシップまがいのネタに関わっている時間が惜しくてたまらない。
ルパートとの面会もそこそこに引き上げようとするが、
ジョンの話を聴くうちに次第に引き込まれて……。
 
本作のポスターは彼を演じるキット・ハリントンが大写しになっていて、
いちばん格好良かった頃のアントニオ・バンデラスを思わせます。
けれども実際に映像を観ると、なんかアホっぽい兄ちゃん。
この人がみんなを狂わせるほどの人気スターとは納得がいかんと思っていました。
 
ところが私もオードリーと同じく、次第に彼を見る目が変わる。
人気スターでありながら常に孤独で、ゲイであることを誰にも言えず、
決して言ってはいけないことだと感じていた。
彼が心を開くことができたのはルパートだけ。
ルパートはまだ子どもだから、子ども相手に難しい話はしない。
性的な話も、面倒くさい話もしない。ただ毎日のことを綴るだけ。
それでも手紙を書いているときは落ち着けたのでしょう。
 
一方のルパートも大変な毎日を送っている。
母親の叶わなかった夢を押しつけられて、子役の仕事をしている。
その仕事のためにニューヨークからわざわざロンドンに引っ越し、
転校生で子役だからと学校ではいじめられている。
ジョンと繋がっているという思いだけが心の支えだったのに。
 
これまでのグザヴィエ・ドラン作品と比べると、
かなり大衆的な印象は否めません。
音楽もここまで大音量にして煽らなくてもと思います。
でも、世界に才能を認められるような人であっても、
さまざまな想いがじわじわと心に広がります。
 
ジョンの母親役のスーザン・サランドン、マネージャー役のキャシー・ベイツ
オードリー役のタンディ・ニュートン、みんなよかった。
 
大衆的なぶん、今までグザヴィエ・ドラン監督作品を観たことがない人には良いかも。

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『架空OL日記』

2020年03月27日 | 映画(か行)
『架空OL日記』
監督:住田崇
出演:バカリズム,夏帆,臼田あさ美,佐藤玲,山田真歩,三浦透子,
   シム・ウンギョン,石橋菜津美,志田未来,坂井真紀他
 
終業後にTOHOシネマズ西宮にて2本ハシゴ。
まだまだ続くコロナ騒ぎのせいで客少なく、安心のシアター(笑)。
 
生まれも育ちも大阪の私は、関西のお笑い芸人のほうが好きです。
別に標準語を敵視しているわけではないのですが、
やっぱり関西弁と関西の間(ま)が好きなのでしょうね。
標準語の漫才やコントを笑えないこともよくあります。
 
そんななか、バカリズムはたぶんわりと好きなほう。
彼が銀行のOLになりきって綴ったブログを
本人が脚本を書いて主演して、TVドラマ化されて大人気に。
向田邦子賞まで受賞してしまったという作品を映画化。
芸を観ているときと同じく、最初はわりと冷めていた私だけど、
少ないお客さんがめっちゃ笑っているのに釣られ、
途中からはかなり笑いました。楽しかった。
 
銀行勤めのOL、「私」(バカリズム)。
毎朝、最寄りの駅で同期の藤川真紀(夏帆)と合流して出社。
先輩の酒木法子(山田真歩)、小峰智子(臼田あさ美)、
後輩の五十嵐紗英(佐藤玲)たちと女子更衣室でうだうだ。
上司にあだ名を付けて悪口を言ったり、
終業後にはモールへ行ったり食事に行ったり。
 
って、書き始めてみたけれど、あらすじってこれだけしかないやん(笑)。
基本、「あるある」が多くて笑えます。
 
悪口を言われるのはもっぱら男性上司で、
まったく動かないから、動かないものの数え方にちなんで「一基」と
ひそかに呼ばれていたり。
ひたすら邪魔だから「J」とあだ名を付けられていたり。
バレンタインデーのチョコレートの受け取り方などは、
男性陣が見て参考にするといいかもしれません。(^^;
 
出色は課長役の坂井真紀
印鑑ケースのくだりはこの日の少ない客の中でいちばんのウケ具合。
私も大笑いしました。
 
架空というよりは妄想。
原作も読んでみたいと思いました。さっそく注文。
→買いました。読みました。レビューはこちら

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