夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈わ行〉

2011年12月31日 | 映画(わ行)
《わ》
『わさお』
漁師の町、青森県鰺ヶ沢にどこからともなく現れたブサ可愛い犬。
たてがみのごとく白いフサフサの毛に覆われたその犬は、
やがてイカ焼き屋を営むセツ子のもとへ顔を出すようになる。
その風貌からセツ子は“わさお”と名付けて可愛がる。
何かを探すようにふらっと出て行き、ふらっと戻ってくるわさお。
実はわさおがこの町にやってきた目的は、少年あきらに関係していて……。
犬より猫派の私ですが、こんな犬を見せられたら泣かずにはいられません。
セツ子役の薬師丸ひろ子にも癒されます。
アイドルだった彼女、母ちゃん役がすっかり似合う人になりました。

《を》《ん》
なし。

毎年、五十音のうちいくつかは必ず該当なしのものがあるのですが、
今年は《を》《ん》がないのは仕方がないとして、他はクリア。
これは2002年にブログをはじめて以来、初のことです。わ~い。(^O^)

5月まで利用していたブログサービス「さるさる日記」が文字制限1000字だったのに対し、
こちらではその制限が解除され、リンクもできるようになりました。
それが嬉しい半面、ダラダラ書くほうが易しく、コンパクトにまとめるのは難しいことを痛感。
ものすごくダラダラが多くなっています。ごめんなさい。

映画ではなくて本のほうでは、今年初めて読んでハマったのが森見登美彦
もっと早く読まなかったことを激しく後悔しました。
『美女と竹林』など、あほらしと放り投げたくなってしまうような作品もありましたが、
それでも読んでいるときにたまにニヤケている自分に気づきます。
『四畳半神話大系』は、アニメ化されていることをいまさら知り、DVD全4巻を購入してしまいましたが、
開封するのがもったいなくて、TSUTAYA DISCASでレンタルしたほど。マニアでもあるまいし、アホです。

荻原浩が好きなのは相変わらず。
彼の著書が映画化された作品には『神様からひと言』(2006)や『誘拐ラプソディー』(2009)などがあり、
原作、映画ともに笑って泣かされてきました。
来春には『愛しの座敷わらし』が映画化されて、水谷豊と安田成美の共演で公開予定。
監督は“相棒”シリーズの和泉聖治です。

映画もおもしろいけれど、本の楽しさからも離れられません。
今年いちばん心に残った本のキャッチコピーは、「現実よ、物語の力にひれ伏せ」でしょうか。
だから、小説は、やめられない。

みなさま、よいお年をお迎えください。
今年も本当にありがとうございました。

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今年観た映画50音順〈ら行〉

2011年12月30日 | 映画(ら行)
《ら》
『乱暴と待機』
「劇団本谷有希子」主宰者の本谷有希子の同名舞台劇の映画化。
木造平屋が並ぶ市営住宅の1軒に暮らす奇妙な男女。
上下スウェット、いつもおどおどして人の機嫌をとってばかりの奈々瀬(美波)は、
黒縁眼鏡を外せば意外にも可愛い。胸もデカそう。
同居しているのは、兄妹でもないのに奈々瀬が兄と呼ぶ男、英則(浅野忠信)。
彼は出かけてくると偽って天井裏に潜み、奈々瀬の日常を覗き見する行為を繰り返していた。
近所に引っ越してきたのが奈々瀬の高校時代の同級生で、あずさ(小池栄子)と、その夫、貴男(山田孝之)。
妊娠中のあずさは、どうやら昔から特別の憎悪を奈々瀬に抱いている様子で……。
壊れた浅野忠信と怒る小池栄子がお見事。
ヘンテコな作品だけどおもしろくて、目が離せませんでした。

《り》
『Ricky リッキー』(原題:Ricky)
2009年のフランス/イタリア作品。
シングルマザーのカティは7歳の娘リザとふたり暮らし。
職場でスペイン人のパコと出会ったカティは恋に落ち、パコも同居するように。
それまで母を独占していたリザにとっては、この状況がつまらない。
やがてカティとパコの間に赤ちゃん“リッキー”が生まれ、リザはさらに不機嫌に。
ある日、リッキーの背中にアザを見つけたカティがパコの虐待を疑う。
パコは怒って家を出るが、その後、リッキーの背中に小さな翼が生え始めて……。
翼の生える過程がグロすぎ。
体重と翼の比率を調べようとスーパーの肉売場で鶏肉を広げてみたカティが
店員に叱られる様子は笑いましたけど。
奇才フランソワ・オゾン監督らしいと言えばらしい作品。
ファンタジーなのに、リッキーが飛び去ったあとのカティの表情が私にはホラー。

《る》
『ルイーサ』(原題:Luisa)
2008年のアルゼンチン/スペイン作品。
ブエノスアイレスのアパートにひとりで暮らす60歳の女性ルイーサ。
愛猫のティノが死に、悲しみに暮れたまま、1年後に定年を迎える予定の霊園に出勤するが、突然解雇される。
同日、家政婦を務めていた女優宅も、女優の引退とともにクビに。
ティノを火葬してやりたいが、火葬代は300ペソ(=約5,500円)、退職金は20ペソ。
なんとか金を工面しようと、あの手この手を考えるのだが……。
30年間、自宅と職場の往復しかしていなかったルイーサは、地下鉄に乗るのも一苦労。
しかし、地下鉄の車内で物乞いをしたり商売をしたりするのがアルゼンチンでは普通らしく、
ルイーサも盲目のふりをしてコンコースで物乞いをします。
そのときに知り合うのが片足をなくして同じく物乞いする男オラシオ。
家族も仕事もなくして嘆くルイーサにオラシオは言います。「脚があるじゃないか」。
ティノの死体を女優からもらったラム肉だと偽られ、冷凍庫を貸すまだ若い管理人ホセは、
薄々ルイーサの事情を感じ取っていて放っておけません。
この3人が地下鉄の車内に並んで座る姿がなんだか微笑ましくて好きでした。
アルゼンチンって、ホットドッグにはケチャップでもマスタードでもなく、マヨネーズなんや!

《れ》
『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』(原題:Reykjavik Whale Watching Massacre)
2009年のアイスランド作品。
アイスランドというだけでも変わり種なのに、
これはアイスランド初のホラーなんだそうで、激しく興味を惹かれ、
エグそうだけれど笑えそうな気もしてレンタル。
捕鯨大国アイスランド。しかし、世界的な反捕鯨の波には逆らえず、
今は鯨を見るだけ、ホエール・ウォッチングを観光の目玉としている。
この日も外国人観光客を乗せた遊覧船が出港するが、
途中、船長がアクシデントに見舞われ、船は航行不能に。
そこを通りかかった家族で操業している漁船に救助され、観客は難を逃れる。
ところが、この家族は捕鯨禁止で職を失った一家。
観光客を逆恨み、皆殺しの計画を立てていて……。
ある程度のもてなしをして安心させてから一人ずつ殺されるのかと思いきや、
いきなり甲板で頭に鎚を打ち込まれるわ、首を掻き切られるわ、ぶっ飛び。
真面目に撮っているところを申し訳ないですが、ワロてしまいました。
生き残るのはもっともしたたかだった日本人(裕木奈江)と、もう一人。
後者はこんな作品で脱ぐハメになったんだから、せめて生き残らんと割に合わん。

《ろ》
『ロスト・アイズ』(原題:Los Ojos de Julia)
スペイン作品。
ホラーが苦手でも、スパニッシュ・ホラーにだけは手が伸びてしまいます。
本作は『永遠のこどもたち』(2007)で製作総指揮を務めたギレルモ・デル・トロが
やはり製作に名前を連ねているのでなおさら外せず。
双子の姉妹サラとフリアは、進行性の視力低下という疾患を抱えている。
1年前に失明したサラは、ある日、首を吊って死ぬ。
将来を悲観しての自殺と断定されるが、フリアはその死に不審な点を見いだし、
夫のイサクを巻き込んで独自に調査を始める。
すると、サラが亡くなる1週間前に旅行をしていたことが判明。
男連れだったとの情報を得るが、誰も男の特徴を覚えていない。
唯一、男の風貌を覚えているらしいホテルの雑役夫が浴槽で感電死。
続いてイサクまでが死んでしまう。
そんななか、フリアも視力を失い、角膜移植手術を受けるのだが……。
さて、完全ネタバレ。犯人は看護人になりすましていた男。
とことん地味なこの男は、誰からも気づかれず、まるで透明人間のよう。
彼の存在に盲人だけは気づくと知り、自分を必要とされたくて仕組んだこと。
ホラーだけに残虐なシーンもありますが、この辺りの動機もよくできていておもしろい。
あれだけ人に気づかれたかった犯人なのに、
警官に取り押さえられそうになったさいに「俺を見るな」と叫ぶのも。
スパニッシュ・ホラーの切なさゆえに見る私。
本作はその切なさなしかと思いきや、ラストの「瞳の中の宇宙」で来ました、やはり。

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今年観た映画50音順〈や行〉

2011年12月29日 | 映画(や行)
《や》
『ヤコブへの手紙』(原題:Postia Pappi Jaakobille)
2009年のフィンランド作品。
終身刑で服役していた女囚レイラは、12年目にして恩赦を与えられる。
出所しても頼るあてはないため、仕方なく所長の勧めに従って、
盲目の牧師ヤコブのもとで住み込みで働くことに。
ヤコブに会うと、「家事はしない」とレイラはいきなり宣言。
するとヤコブは、レイラに頼みたいのは手紙の読み上げと返事の代筆のみだと言う。
しかし、レイラにはこれすら面倒で、届いた手紙の束を井戸に放り込んでしまう。
また、レイラが服役していたことを知る郵便配達人は、
恐れをなしたのか牧師館に近寄らなくなってしまう。
こうして毎日必ず届いていた手紙が、ある日一通も届かなくなり、落胆したヤコブは……。
宗教的な要素が多いので、信心深い人が見ればまた印象が変わるのでしょうけれど、
そうでなくても退屈しません。
レイラは小デブで引っ詰め髪、ぶっきらぼうなオバハンで、かわいげのかけらもなし。
こういう人が次第に心を開くというのがありがちな展開ですが、本作は少しちがいます。
終身刑になった理由は説明のないまま終わることも予想していましたが、
最後の最後にきっちりと明かされ、静かな感動が押し寄せます。
人をゆるすのは神ではなく、人。

《ゆ》
『行きずりの街』
志水辰夫の同名ベストセラー小説の映画化。
塾講師の和郎(仲村トオル)は、元教え子で音信不通となったゆかり(南沢奈央)を追って東京へやってくる。
ゆかりが住んでいるはずの部屋に彼女の姿はなく、付近を見知らぬ男たちがうろついている。
彼女の身を心配して捜しまわるうち、和郎がたどり着いたのはとあるバー。
そこにいたのは別れた妻、雅子(小西真奈美)だった。
和郎が高校教師をしていたときの教え子が雅子で、
教師と生徒の恋愛、そして結婚が地元のスキャンダルとなり、
実ったはずの想いも離婚に終わってしまった過去がある。
ゆかりの失踪が偶然にも彼のその過去と繋がっていることがわかり……。
いまどき珍しいハードボイルドでした。
レトロ感は悪くないけれど、TVでじゅうぶんだったかなぁ。

《よ》
『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』(原題:Het Nieuwe Rijksmuseum)
2008年のオランダ作品。
レンブラントやフェルメールなど、数々の傑作を所蔵するアムステルダム美術館。
『パリ・ルーヴル美術館の秘密』(1990)みたいな映画を想像していたら、まるでちがってビックリ。
2004年に始まった開館以来の大規模な改築工事。
2008年の再オープンに向けて着々と……と思いきや、
美術館の敷地内を貫く道路が通れなくなってしまうことから、地元民が猛反発。
ほかにもいろいろな問題が噴出して、計画は変更に変更を重ね、再オープンの目処が立たなくなる。
改築工事の記録を依頼された映画監督が、結局はこの混乱ぶりをカメラに収めることになりました。
笑っちゃいけないけど、苦笑せざるを得ない不思議なドキュメンタリー。

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今年観た映画50音順〈ま行〉

2011年12月28日 | 映画(ま行)
《ま》
『マチェーテ』(原題:Machete)
別の映画で予告編のみ登場する架空の映画『マチェーテ』を
本当につくってみましたという作品。この試みだけでおもしろい。
メキシコの元連邦捜査官マチェーテは、麻薬王トーレスによって愛する家族を殺される。
トーレスに復讐するため、アメリカのテキサスに不法に移り住むマチェーテ。
ある日の仕事の依頼は、不法移民の弾圧を目論む議員の暗殺。
マチェーテは承諾するが……。
麻薬王にスティーヴン・セガール、議員にロバート・デ・ニーロと豪華な顔ぶれ。
いかつい風貌のマチェーテを演じるダニー・トレホは、つたない振りの英語がやたらお茶目。
「マチェーテ、メールしない」って言ってたのに、ばしばしメールを打ってるし。
美人捜査官が唖然として「メールしないって言ってたやん」と言えば、
「マチェーテ、やればできる」。笑いました。

《み》
『ミレニアム2 火と戯れる女』(英題:The Girl Who Played with Fire)
『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』(英題:The Girl Who Kicked the Hornets' Nest)
これは2本ご紹介。
いずれも2009年のスウェーデン/デンマーク/ドイツ作品で、
2010年9月に1週間空けて公開されました。
『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(2009)の第2弾と第3弾です。
第1弾の事件を解決したミカエルだが、リスベットと連絡が取れないまま1年。
そんな折り、少女売春組織の実態を暴く特集記事の調査を進めていた記者が殺される。
現場にはリスベットの指紋が残っていた。
殺人犯として指名手配されるリスベットの無実を信じるミカエルは、独自に調査を始める。
やがて、リスベットの宿敵とおぼしき“ザラ”という人物が浮かび上がる。
“ザラ”と対決したリスベットは瀕死の重傷を負うが、
危ういところをミカエルに発見され、一命を取り留める。
徐々にあきらかになってゆく国家的スキャンダル。
それを白日の下にさらすため、ミカエルは少ない味方を総動員。
法廷で全面対決のときを迎える。
何部作かある作品は、完結編までに気分が萎えてしまうことが多い私ですが、
これはとにかくシビレて、完結編が待ち遠しくて仕方ありませんでした。
来年2月には第1弾のハリウッド・リメイク版も公開予定。
リメイク版は007の6代目ジェームズ・ボンド、ダニエル・クレイグ主演です。

《む》
『無垢なモノ my simple things』
2006年の作品。2007年4月に公開され、8月にDVD化。
これのみ、今年の50音順開始時に記した「基本」から外れます。すみません。
ヤクザの広志は、敵の組員から殴られ、頭に負傷する。
頭から血を流したまま電車に乗り込むが、バタリと倒れてしまう。
遠巻きに見ている乗客ばかりのなか、手を差し伸べたのが自閉症の青年まさし。
意識が朦朧としている広志を背負うと、妹の童子と同居する自宅へと向かう。
その日はちょうどまさしの誕生日らしく、広志も祝いの席に着く。
まさしは広志にペットの亀を預け、水の綺麗な川に返してやってほしいと言う。
翌朝、亀を連れて出て行ったきり、広志は戻らなかった。
しばらくのち、ホステスの楓があの亀を携えてまさしに会いにくる。
どうやら広志に何かあった様子で、まさしは楓とともに亀を川へ。
広志が助かる方法は指を詰めることしかないと楓から聞いたまさしは、自分の指を切る。
一方の広志はひとりで敵組に殴り込み、返り討ちにあって四肢をばっさり切られていた。
弁護士を目指していた童子は司法試験に合格、広志のために法廷で闘うと誓う。
はい、これで全部です。寒いし痛いし、ごめんなさい、きつかったぁ。
まさか四肢を切られた人をほぼ1年の間に3回(これこれと)も見ることになるとは。

《め》
『飯と乙女』
東京都渋谷区の渋谷のダイニングバー“Coo”。
常連客の男女が抱えるのは、“食”にまつわる悩み。
九条は人がつくった料理を決して食べることができない。
美江は働かない恋人のせいでストレスを溜め込み、過食と嘔吐を繰り返す。
小中は会社の経営難で食事代もないのに、家には大食漢の妻。
目にも耳にも楽しい料理の数々。
ぶつ切りにされたイカを焼いたり、ズッキーニやキャベツ、大根おろし。
たらこを丁寧にほぐして大葉をのせたスパゲッティ、
山盛りの海老フライやソースのかかったコロッケにポテトサラダ。
ジュッと揚がったカツを挟んだサンドイッチ。
湯通しした鶏肉とアジの干物を混ぜたネコのごちそうレシピも登場。
こんな料理とともに織りなされる人間模様がユーモラス。
冒頭、「苦しみのほとんどは食べものが原因で起きる」というブッダの言葉が現れます。
ブッダは断食の苦行後、娘が差し出した乳粥を食べて悟りをひらいたそうで。

《も》
『モア・ザン・ア・ゲーム』(原題:More Than a Game)
2008年のアメリカ作品。
NBA(北米のプロバスケットボールリーグ)のスター選手、レブロン・ジェームズ。
彼と、彼の高校時代のチームメイトの成長を追ったドキュメンタリー。
レブロンはオハイオ州アクロンの低所得者地区出身。
16歳で彼を産んだ母親とともに転居を繰り返し、
セント・ビンセント=セント・メアリー高校で、
ウイリー、シアン、ドリュー、ロメオという、かけがえのない仲間と出会う。
ドリューの父親ジョイスはアメリカンフットボールの選手だったが、
息子がバスケットボールに興味を示したことから、チームのコーチを引き受ける。
レブロンの才能はやがて開花。州選手権、全米選手権でも名を馳せるようになる。
有名になれば必ず失脚を願う人が現れるもの。
レブロンの場合も例外ではありませんでした。周囲があら探しを始めます。
しかし、彼のチームメイトだけは何があろうとも味方。
また、コーチには常に敬意を払い、コーチを批判するものには批判で返します。
高校最後の試合、それぞれの家族とともに出場する選手たち。
レブロンにとっては仲間が家族。がっちり肩を組んで登場する姿が熱く。

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今年観た映画50音順〈は行〉

2011年12月27日 | 映画(は行)
《は》
『ばかもの』
芥川賞作家、絲山秋子の同名小説の映画化。
群馬県高崎市で大学生活を送る秀成は、年上の額子と知り合い、
いきなり童貞を奪われる。額子に夢中になる秀成。
ところが、額子は別の男と結婚することにしたと言う。
一方的に別れを告げられ、あり得ない仕打ちまで受けた秀成は自暴自棄に。
酒に溺れてアル中街道まっしぐら。
家族も友人も手をつけられないほど暴れ、荒れた日々を送る。
10年が過ぎ、依存症を克服した彼は、真面目に食堂で働くように。
そんなとき、額子と再会するが、彼女は片腕を失っていて……。
無骨にしかふるまえない繊細なふたりが痛々しい。
10年越しの恋の行く末には、ほんの少し、すがすがしい風。

《ひ》
『ヒアアフター』(原題:Hereafter)
公開直後に東日本大震災が起き、即打ち切りとなった作品。
パリのジャーナリスト、マリーは、リゾート地でバカンス中、津波に遭う。
三途の川を渡る寸前に見た光景について書こうとするが、
周囲はイカレたと思っている様子。
サンフランシスコに暮らすジョージは、誰かと接触することで霊能力が働く。
以前は霊能者として引く手あまただったが、
本意ではないのに知りたくないことを知ってしまうことに疲れ、
今は霊能者であることをひた隠しにして工場に勤務している。
ロンドンの双子の少年ジェイソンとマーカス。
ある日、兄のジェイソンが交通事故で死亡。
もう一度、兄と話したいと願うマーカスは、ジョージのことを知って会いにゆく。
こうして書くと『TSUNAMI ツナミ』とどこがちがうねんという気がしますが、
こちらはさすがにクリント・イーストウッド監督。
この3人が引き寄せられるように、私も物語に吸い込まれました。

《ふ》
『ファンタスティック Mr. FOX』(原題:Fantastic Mr. Fox)
2009年のアメリカ/イギリス作品。
原作はロアルド・ダールのロングセラー児童文学『すばらしき父さん狐』。
パペットによるストップモーションアニメ。
小粋な泥棒、Mr. FOXは、妻の妊娠をきっかけに泥棒稼業から足を洗うことに。
お腹にいた息子が大きくなったいま、貧乏暮らしに嫌気が差す。
こんな退屈な穴ぐら生活を続けていていいのかと。
そこで丘の上の家へ引っ越しを決意。
丘の向かい側を眺めれば、悪名高い3人の農場主のもとで飼われる家畜たち。
泥棒の血が騒ぎ、家畜をかっさらってしまう。潤う食卓。
怒った農場主は大がかりなキツネ狩りを開始し……。
声の出演は、Mr. FOXにジョージー・クルーニー、Mrs. FOXにメリル・ストリープ。
今年、私のツボにハマったアニメを挙げるなら、本作と『怪盗グルーの月泥棒』
どちらも夢いっぱいの泥棒の話です。

《へ》
『ペーパーバード 幸せは翼に乗って』(原題:Pájaros de Papel)
スペイン作品。
スペイン内戦下のマドリード。
最愛の妻子を爆撃で失った喜劇役者のホルヘは傷心のまま行方をくらます。
1年後、内戦が終結し、ホルヘはどこからともなく劇団に戻ってくる。
ちょうどその頃、劇団にちょこまかと出入りしていたのが、両親を失った芸人志望の少年ミゲル。
長年ホルヘの相方を務めてきたエンリケはミゲルを放っておけず、面倒を見始める。
見かねたホルヘもミゲルと暮らすようになるが、
自分の息子のことを思い出し、ついつい辛く当たる。
それでも、芸を教えてほしくてホルヘにつきまとうミゲル。
一方、フランコ政権は反体制派の疑いを劇団に向け、
裏方になりすましたスパイが役者たちの周辺を捜査し始めるのだが……。
皮肉屋のホルヘの愛情がかいま見えるシーンにはグッと来ます。
喜劇役者と戦争と少年といえば思い出すのは『ピエロの赤い鼻』(2003)。
併せてどうぞ。

《ほ》
『ぼくのエリ 200歳の少女』(英題:Let the Right One In)
2008年のスウェーデン作品。
ストックホルム郊外の小さな町に母親と暮らす12歳の少年オスカー。
同級生のいじめに遭いながらも誰にも打ち明けられず、復讐を夢想する日々。
ある夜、隣家に父親と引っ越してきたばかりの少女エリと出会う。
同年齢だというのに大人びた雰囲気の彼女に惹かれるオスカーは、
エリが少女の姿のまま200年生きているヴァンパイアだと知る。
その頃、町では残虐な事件が立て続けに起こり、住民の間に不安が走り……。
ホラー映画が苦手な私も大丈夫、秀作ホラー。
恐ろしくも素晴らしいエンディングに唸りました。
本作のハリウッド・リメイク、『モールス』(2010)は来月DVD化。

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