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『初恋』

2020年03月30日 | 映画(は行)
『初恋』
監督:三池崇史
出演:窪田正孝,大森南朋,染谷将太,小西桜子,ベッキー,三浦貴大,藤岡麻美,
   顔正國,段釣豪,村上淳,滝藤賢一,ベンガル,塩見三省,内野聖陽他
 
観たいなぁと思っていても、どんどん迫る上映終了日。
こりゃもう無理だなぁとあきらめたつもりが、気が変わってTOHOシネマズ西宮へ。
観に行ってよかったと心底思いました。
もともと好きな三池崇史監督だけど、今までの三池作品の中でいちばん好き。
 
天才ボクサー・レオ(窪田正孝)は勝利を収めても喜ぶ様子なく、
勝つのが当たり前と思っているかのようにクール。
そんな彼が格下相手にまさかのKO負けを喫して病院へ。
 
彼を診察した医師(滝藤賢一)が神妙な面持ちで告げるには、
レオには脳腫瘍があり、手術は困難、余命はわずか。
そのせいでKO負けした可能性があると言われ、
ラッキーパンチを喰らったわけではなかったのかと納得しつつ、
自分が死ぬと聞かされて放心する。
 
新宿・歌舞伎町をあてもなくさまよっていたレオは、
「助けて」と叫びながら逃げる少女とすれ違い、
彼女を追いかけてきた男に咄嗟にパンチを喰らわして倒してしまう。
 
男は悪徳刑事の大伴(大森南朋)で、ヤクザの加瀬(染谷将太)の話に乗り、
組に入るはずの麻薬を奪って金儲けすることを考えていた。
その罪を着せるためにヤクザが囲う少女・モニカ(小西桜子)を呼び出したのだ。
 
モニカは父親の借金のカタに組に預けられ、
シャブ漬けにされたうえに体を売らされていた。
大伴といるうちに幻覚症状が起きて逃げ出したところへたまたまレオが通りかかったらしい。
どうせ死ぬんだからと、レオはモニカの逃亡を手助けするのだが……。
 
いつもの三池監督とはタッチの異なる出だしに「あれ?」と思ったのは一瞬のこと。
ちょん切れた首が放り出されて、あ、いつもの監督だと思いました(笑)。
でも話が進むとやっぱりちょっと違ってた。なんかめちゃめちゃよかった。
 
『孤狼の血』(2017)を配給した東映が、東映の映画はこうあるべきという思いを新たに、
次作として起用を決めたのが三池監督とのこと。なるほど。
「仁」があるのですよ、ここには。
 
窪田正孝に惚れ直し、小西桜子を応援したくなり、
ヤクザきっての武闘派・権藤役の内野聖陽にビビりつつもホロリとさせられ、
仁を大事にするチャイニーズマフィアの一員役、藤岡麻美に目が釘付け。
彼女、ディーン・フジオカの実妹だそうで、確かに似ている。美人!
易者役のベンガルと、医者役の滝藤賢一から留守電に入るメッセージに笑いました。
そして何より凄かったのはベッキーの演技。彼女、ただ者ではない。
 
タイトルとギャップがありそうに思うけど、これ以上になくピッタリだとも思える。
なんて純粋な作品だろう。大好きです。

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