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『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』

2020年01月10日 | 映画(は行)
『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』(原題:Hevi Reissue)
監督:ユッカ・ヴィドゥグレン,ユーソ・ラーティオ
出演:ヨハンネス・ホロパイネン,ミンカ・クーストネン,ヴィッレ・ティーホネン,
   マックス・オヴァスカ,アンティ・ヘイッキネン,サムリ・ヤスキーオ,ルーン・タムティ他
 
シネマート心斎橋で4本ハシゴのラスト。
 
ずいぶん前に「俺たち、ほにゃらら」という邦題が目白押しでした。
どれもB級確実。これももちろんB級です。でも愛すべき作品。
オンライン予約した時点では10席ほど埋まっているだけでしたが、
入場してびっくり、ほぼ満席。
この手の作品って、客層が面白いんですよ。
このタイトルですから当たり前なんでしょうが、みんなメタルファン。ですよね?
 
フィンランド/ノルウェー作品。
ちなみにフィンランドはメタル大国なのだそうです。
 
フィンランド北部、ロン毛は「ホモ」とからかわれるような片田舎。
ロン毛のままでいることだけは譲れない25歳のトゥロ。
老人介護施設で働きながら、旧友とヘヴィメタバンドを組んで練習に励んでいる。
トゥロはボーカルを務め、ギターはロットヴォネン、ベースはパシ、ドラムはユンキ。
結成して12年になるというのに、まだ一度もステージに立ったことがない。
 
ある日の練習中、フランクと名乗る中年男性がやってくる。
てっきりトナカイの肉を買いに来たのだと思ったら、
ノルウェーで開催される巨大メタルフェスのプロデューサー。
そうと知ったユンキが咄嗟にデモテープを渡すと、
フランクも彼らの演奏を気に入ってくれた様子。
 
連絡係となったトゥロは、フランクの確約も取れないうちに、
想いを寄せる花屋の店員ミーアにフェス出場が決まったと言ってしまう。
小さい町のこと、ミーアが誰彼となく触れ回り、トゥロたちは町の英雄に。
現状を知るのはトゥロだけだから、メンバーたちも大盛り上がり。
フェスに出場する前に町の店のライブに出演することになるのだが……。
 
こんな話がA級作品になるはずもなく、しょうもなと思いながら観ていました。
なのに時折ふきだしてしまうぐらい可笑しい。
 
この日の客はたぶんほぼ全員ヘヴィメタファン。だからヘヴィメタネタできっちり笑う。
例えば、カバー曲ばかり演奏している彼らが「まずはオリジナル曲を作らんと」と言うところ。
ギターのロットヴォネンがオリジナルだよと自慢気にリフを奏でると、
なんでも知っているパシが「それパンテラのいついつのなんとかいう曲」と即座に突っ込む。
事故で呆気なく昇天してしまったユンキの葬儀の席では、
パシが素晴らしい詩を謳って一同感動してシーンと静まり返るわけですが、
パシの詩だとばかり思っていたら、「1980年、ロニー・ジェイムス・ディオ」とか。
客席大爆笑。メタルファンでもないのについていっている私、エライかも(笑)。
 
ゲロネタだけは勘弁してほしかったけれど、
ゲロがゲロっぽくなくて、真っ白キレイだったからまぁええか。
 
エンドロールが回り終わったとき、拍手も起きていました。
本作を観て思ったのは、「ロレス関係の映画とヘヴィメタ関係の映画は劇場で観るに限る」。
観客の一体感が凄くて、めちゃめちゃ楽しいです。

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