夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『SHOCK WAVE ショックウェイブ 爆弾処理班』

2018年08月31日 | 映画(さ行)
『SHOCK WAVE ショックウェイブ 爆弾処理班』(原題:拆弾専家)
監督:ハーマン・ヤウ
出演:アンディ・ラウ,チアン・ウー,ソン・ジア,フィリップ・クン,ロン・ン,
   ワン・ジーイー,フェリックス・ウォン,セク・サウ,ベイビージョン・チョイ他

シネマート心斎橋で3本目。
『アイ・アム・タレント』『夏、19歳の肖像』→これ。

中国/香港作品。
アンディ・ラウって、正統派の二枚目なのに、なんだか堅物の印象が抜けません。
それは50代後半にさしかかった今でも変わらない。
息も絶え絶えのクリント・イーストウッドに比べればマシだけど、
アンディ・ラウのベッドシーンを見ると、なんだか似合わなくて笑ってしまう。

香港警察爆弾物処理局の警官チョン・チョイサン。
爆弾を多用する強盗団への潜入捜査に成功して複数の犯人を逮捕したものの、
主犯ホン・ガイパンを取り逃がす。
ホンの弟ビウは捕らえたから、兄がチョンを恨みに思うのは確実。

それから18カ月が経過。時を狙っていたホンが再び香港に戻る。
彼は大勢の手下を引き連れて香港最大の海底トンネルを占拠。
爆弾を積んだトラックで入口2箇所を塞ぎ、
トンネル内を走行中だった一般市民を出られなくして人質に取る。

ホンは、48時間以内に海底トンネルを政府に買い戻すよう要求。
また、人質を解放して欲しければビウを釈放しろと言う。
ところが、収監されていたビウを乗せた護送車が事故に遭い、ビウは重傷を負う。
ビウの到着を待つホンは苛立ち、人質を容赦なく殺しはじめるのだが……。

なんちゅうのか、ひと、死にすぎ。(^^;
そういう映画なんだから仕方ないといえばそれまでですが、
チアン・ウー演じるホン・ガイパンの血も涙もない乱射ぶりは憎たらしいったらありゃしない。

いちばん可哀想なのはそんなホンの弟ビウで、
どんな心境の変化があったか、兄とはもう関わりたくない、真面目に生きたいと言う。
なのに兄のもとへ連れて行かれる途中に事故にあって死にかけ、
警察と犯人グループと人質たちが入り乱れてウォーッとなっているときに、
彼の乗せられたストレッチャーがゆらゆらくるくる回る回る。あんまりだ(泣)。
人質の中にいた警察官が、犯人グループに警察官だとバレて、
爆弾を体に巻き付けられたうえに爆死しちゃうのも酷い(泣泣)。

自分の命を犠牲にして市民を助けるチョンの様子は
まるで『アルマゲドン』(1998)なのでした。

悲しいけれど、迫力あります。大画面で観るべし。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『夏、19歳の肖像』

2018年08月30日 | 映画(な行)
『夏、19歳の肖像』(原題:夏天19歳的肖像)
監督:チャン・ロンジー
出演:ファン・ズータオ,ヤン・ツァイユー,リー・モン,カルヴィン・トゥ,
   チャン・クォチュー,スタンリー・フォン,チュウ・チーイン他

この日、シネマート心斎橋へ行ったのは本作を観たかったからでした。

島田荘司の同名小説が中国で映画化されるとは。
しかも最近の作品ではないのですから、どういう目の付けどころなのか。
原作のレビューはこちら

監督は『光にふれる』(2012)、『共犯』(2014)のチャン・ロンジー。
主演のファン・ズータオがえらく人気のあるひとらしい。
中国出身の歌手で、韓国の男性アイドルグループ“EXO”の旧メンバーでもあるそうな。
確かに美形ですけれど、入場者特典のポスターをもらっても私は困る。(^^;

大学生カン・チャオは、バイクで走っていた折りに事故に遭う。
脚を骨折してしばらく入院生活を送ることに。
同じ大学の医学部にかよう女子学生で病院長の娘ジュー・リーと、
彼女に片想い中の男子学生ジャオ・イーがしょっちゅう見舞いに来てくれるものの、
特に何もすることがない毎日がヒマでたまらない。

そんなとき、病室の窓から向かいの工事現場を見ると、
その隣の豪邸に若い女性がいるのを発見。
ジャオから借りた望遠鏡で邸の中を覗くと、想像を遙かに超える美人。
カンは一目で恋に落ちる。

それから毎日、彼女を眺めるのがカンの日課となっていたのだが、
ある日、彼女が父親らしき男にナイフを突き立てるところを目撃。
夜になると、母親らしき人物と共に彼女が黒いビニール袋を運び出し、
工事現場の土を掘り起こして埋めるところまで見てしまう。

警察にすぐに通報すべきところ、そうしなかったカン。
それどころか彼女への想いは募るばかり。
彼女と知り合いになろうと、付近のカフェなどで彼女について調べはじめ、
名前はシア・インインであることを突き止める。

退院後、彼女のあとをつけたカンは、彼女が勤める会社でアルバイトの職まで得る。
やがて彼女と話す機会が訪れるのだが……。

原作が最初に出版されたのは今から30年以上前。
全面改訂されたというものの、時代はずいぶん変化しています。
だから、現在に合わせた話にしようとすると、
さまざまな面で変更せざるを得ず、登場人物すら原作とは異なります。

原作の主人公は文面から想像するに、そんなにイケていない(笑)。
映画版では超イケメン。
イケメンだからってストーカーは許されないけれど、
ファン・ズータオが演じれば気持ち悪くも怖くもなくて許されてしまう。

それにしたって、真相はかなり茶番で苦笑い。
原作ではナイフが突き立てられる場面は見逃していて主人公の想像にすぎないところ、
映画版では全部見たけど実はこうでしたという話になっていて、
「マジで?はぁ?」と言いたくなるような展開です。

ま、これはファン・ズータオを見る作品なのでしょうね。
これが醜男とブスでやっている話なら、ちっとも嬉しくないから。(^o^;

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『アイ・アム・タレント』

2018年08月29日 | 映画(あ行)
『アイ・アム・タレント』(原題:I Am Thalente)
監督:ナタリー・ジョンズ

後述の映画目当てにシネマート心斎橋に行くことにしたら、
ちょうどシネマートデーで鑑賞料金は1,000円。
ならばあちこちへ行かずに同劇場で3本観ましょう。

1本目はアメリカのドキュメンタリー作品。

南アフリカで路上生活を送る少年タレント・ビエラ。
両親がいるにもかかわらず、10歳にも満たないときに家を飛び出しました。
虐待を受けていたものと思われます。
以降、同様の仲間たちとスケートパークで暮らし始めます。

彼のスケートボーディングの才能は並外れたもの。
その動画を見たアメリカのプロスケーター、ケニー・アンダーソンが、
もしも彼がアメリカに来るならば援助を惜しまないと申し出ます。

それまでサポートを申し出る人がいても、
人のために滑るのは嫌だ、誰かの期待に応えるために滑るなんて、
僕にはできないと拒絶していたタレントですが、
ドラッグに手を出してしまった自分をどうにかしなければならないと思っていた頃。
彼のことを親身になって考える人たちの助言もあり、アメリカに行く決意をします。

アメリカに渡って出場してみた大会では散々な結果。
南アの大会では素晴らしい成績を残していたのに。
アメリカとのレベルの差を目の当たりにしたようで愕然とします。

スケートボードファッションを主としたブランドのLRGと契約を結べたら。
自立してきちんと収入を得られるよう、プロスケートボーダーになりたい。
しかし、プロに求められるのはパークでの滑りではなく、
ストリートでいかにトリックを用いて滑ることができるか。
人の目を惹きつけ、もっと見たいと思わせるようなボーディング。

パークでずっと滑ってきたタレントは、ストリートで上手く滑ることができません。
失敗を繰り返し、弱音を吐きながらも、決して止めないタレント。

家を飛び出したときに学校も辞めている彼は、
9歳程度の識字能力しか持っていませんでした。
サポートの一環として個人教師をつけて読み書きの勉強も始めたものの、
生きるうえで勉強が必要だと思えないから進まない。
集中力を欠いた態度だった彼が、車の免許を取るという目標を見つけ、
何度か落ちながらも試験に合格したときの嬉しそうな顔といったら。

タレントの出身地はダーバン。
ダーバンといえば、2010年のワールドカップの会場のひとつにもなった高級リゾート地として有名。
その目の前にこうして路上生活を余儀なくされる子どもたちがいる。
フィクションながら『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』もそうでした。
富裕層の隣には必ず極貧層がある。

世の中は偽善者ばかりと話していたタレントだけど、
偽善的であったとしても、こうして手を貸してくれる人がいれば。
伊坂幸太郎の『砂漠』の一節をまた思い出しました。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ペンギン・ハイウェイ』

2018年08月28日 | 映画(は行)
『ペンギン・ハイウェイ』
監督:石田祐康
声の出演:北香那,蒼井優,釘宮理恵,潘めぐみ,福井美樹,
     能登麻美子,久野美咲,西島秀俊,竹中直人他

TOHOシネマズ伊丹にて、前述の『銀魂2 掟は破るためにこそある』に続いて。
上映終了時間と上映開始時間が5分かぶっていましたが、予告編はもう見なくていいし。
出入り口すぐの席を確保して、ほかのお客さんのじゃまにならぬように。

原作を読んだときのレビューはこちら
大大大好きなんです、森見登美彦。
それゆえ、映像化作品を観るときは期待が高まりすぎてしまうのです。
TVアニメ版の『四畳半神話大系』『有頂天家族』『有頂天家族2』は、
期待どおりというよりも期待以上。DVDも即購入。
しかし『夜は短し歩けよ乙女』(2017)は何が駄目だったのか途中寝ました。
何も駄目じゃなかったのに、単に私の飲み過ぎ睡眠不足だったのかも。

『夜は短し歩けよ乙女』がそんなだったから、
今回はムビチケを買いつつもあまり期待しないように努めました。
制作はこれが長編初挑戦のスタジオコロリドだけど、
脚本は『四畳半神話大系』と同じ上田誠と聞いてやっぱり期待。
この人、『FLY! 平凡なキセキ』(2011)の脚本も書いていらっしゃいます。

たいへん賢い小学4年生アオヤマ君。郊外の町に暮らしている。
気になったことはとことん研究してノートに記録。読書も好き。
同じクラスのウチダ君と仲良しで、ひそかにいろんなプロジェクトを実施中。

いまのアオヤマ君がもっとも気になっていることは、
アオヤマ君がかよう歯科医院に勤める巨乳のお姉さん。
お姉さんの研究も余念なく進め、日々ノートに書き留めている。

夏休みを間近に控えたある日、町にペンギンが出没して大騒ぎに。
どこからともなく現れたペンギンたちは、そのままどこかへ消えてしまう。
アオヤマ君はこの謎を解明しようと研究に取りかかるのだが……。

原作を読んだとき、この奇天烈な設定に狂喜しました。
原作をお読みでない方は、以下ネタバレご注意ください。

自販機で買ったコーラ缶。
お姉さんがこれを放り投げると、なんとペンギンに変わるという。
アオヤマ君は目の前でこれを見て、やはり研究を始めます。
お姉さんのことが噂になると大変だから、ほかの人には秘密。

もうひとつ、アオヤマ君が研究を始めるのは、森を抜けた草原に浮かぶ海。
まんまるの海が宙に浮いているのを同級生の秀才女子ハマモトさんが発見。
ハマモトさんがアオヤマ君に相談、ウチダ君と一緒に研究開始。

奇天烈ファンタジーを上手くまとめていると思いました。
いくつか飛ばされた原作中のイベントはありますが、ほぼ忠実です。

違和感があったのは、蒼井優の声。
私の思うお姉さんの声とはちょっとちがうような。
というのは置いておいて、そんなお姉さんに寄せる淡い淡い恋心。
夏の日の一コマが今の季節にピッタリ。

原作では最後の2行に切なさドボドボ。
同じ台詞なのに、なぜか映画版のほうは切なさが足りないように感じました。
これは森見さんの筆のなせる技なのかなと思います。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『銀魂2 掟は破るためにこそある』

2018年08月27日 | 映画(か行)
『銀魂2 掟は破るためにこそある』
監督:福田雄一
出演:小栗旬,菅田将暉,橋本環奈,柳楽優弥,三浦春馬,窪田正孝,吉沢亮,勝地涼,夏菜,
   長澤まさみ,岡田将生,ムロツヨシ,キムラ緑子,佐藤二朗,堤真一,中村勘九郎,堂本剛他

TOHOシネマズ伊丹にて。

大ヒットした『銀魂』(2017)の続編は、冒頭からナメてます(笑)。
小栗くん菅田くん環奈ちゃんの顔出しなしのトークから始まり、
日本アカデミー賞にかすりもしない小栗くんネタで盛り上がる。
いかにも福田雄一監督らしい始まりです。
そうそう、昨年度の日本アカデミー賞最優秀主演男優賞って菅田くんだったのですね。
『あゝ、荒野』(2017)をスルーしてしまったから、知らなんだ。

幕末、地球人と天人(あまんと)と呼ばれる宇宙人が共に暮らす町、かぶき町。
“万事屋(よろずや)銀ちゃん”を営む元攘夷志士の坂田銀時(小栗旬)と、
縁あって住み込みで店を手伝う志村新八(菅田将暉)と神楽(橋本環奈)だったが、
一向に仕事の依頼はなく、家賃を数カ月滞納している。
家主のお登勢(キムラ緑子)が怒鳴り込みにくることもしばしば。

自分から仕事を貰いに行くなどプライドが許さぬと憤る銀時を説き伏せ、
新八が取ってきた仕事はキャバ嬢だったり床屋の留守番だったり。
しかも行く先々に警察庁長官・松平片栗虎(堤真一)が客として現れる。
彼は「庶民の生活に触れたい」という将軍・徳川茂茂(勝地涼)をお忍びで連れ回しているのだ。

そのころ、真選組の副長・土方十四郎(柳楽優弥)が首に何かを撃ち込まれ、
以来、人が変わったようにおかしな言動が増える。
これは真選組の局長・近藤勲(中村勘九郎)の暗殺を企てる伊東鴨太郎(三浦春馬)の陰謀。
そうとも知らず、伊東と沖田総悟(吉沢亮)の進言により、近藤は土方を辞めさせることに。
それでも真選組を思う土方は、犬猿の仲の銀時に助けを求めるのだが……。

ゲロネタとかう○こネタは勘弁してよと思いましたが(笑)、
そこを除けば満遍なく楽しい。もちろん寝る隙なし。
テレビでやってりゃいいことを派手にしただけと言えなくもないし、
ここまでふざけるとおふざけが過ぎるのではと思わなくもありません。
でもねぇ、大人も子どもも大笑いしているし、
家族丸ごと楽しめる作品という意味ではこれでいいんじゃないでしょうか。

出番は少なくても長澤まさみ岡田将生はしっかり。
人斬り河上万斉役の窪田正孝も光っています。
千人斬りの異名を持つ彼に「弱けりゃ何人でも斬れる」という銀時の台詞、
そりゃそうだわと妙に納得してしまいました。
裏切り者を裏切り者のままで死なせたくないという真選組にはジーン。
いままで柳楽くんにあまり興味はなかったのですが、この土方、カッコイイですよね。

ま、そんなことで。しつこく続編あっても歓迎します。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする