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『再会の夏』

2020年01月15日 | 映画(さ行)
『再会の夏』(原題:Le Collier Rouge)
監督:ジャン・ベッケル
出演:フランソワ・クリュゼ,ニコラ・デュヴォシェル,ソフィー・ヴェルベーク,
   ジャン=カンタン・シャトラン,パトリック・デカン他
 
フランス/ベルギー作品。
ジャン・ベッケル監督の『ピエロの赤い鼻』(2003)が大好きで、
同監督の本作をどうしても劇場で観たいと思っていました。
連日寝不足でぶっ倒れる寸前ながら、テアトル梅田へ。
 
第一次世界大戦が終わった1919年の夏。
軍判事のランティエ少佐は、フランスの片田舎にある留置所にやって来る。
国家侮辱罪の容疑で収監されている青年ジャック・モルラックを取り調べるため。
 
留置所の前にはひたすら吠え続ける1匹の犬がいる。
その犬はジャックの飼い犬らしく、主が留置所にいることを知っていて、
決してその場を離れようとしないのだ。
 
戦争における勇敢な振る舞いを称えられ、勲章まで授かっておきながら、
公の場で国家を侮辱したのはなぜなのか。
ランティエが本人に聞き取りを試みるも、ジャックは頑なに黙秘を貫こうとし……。
 
83分と短めで、へろへろヨレヨレの頭にはありがたい上映時間。
コンパクトにまとまっていて、しかもとても良い話でした。
 
黙秘を貫いた彼の真意は、そんなに褒められたものではありません。
清く気高く厳かとかそんなことは全然なく、誰かをかばっているわけでもない。
ただ彼の思い込みによるもので、それを諭して立ち去るランティエがすごくいい。
やっぱり人間、言わなわからんねん。
 
字幕に残念だったこといくつか。
「出れる」という「ら抜き」にはまぁ目を瞑るとして、
「的を得てるねぇ」はあかん。的は射るもの、得るのは当。
誰か間違いやでって言わんのかいな。
しかしネットで調べたら、最近は「的を得る」を正しいとする向きもあるようで。
その理由が、偉い人が間違えて使ったから正しいことにしてしまおう、らしい。(--;
 
せっかくの佳作が字幕でがっかりさせられるのはもったいない。
アナウンサーと字幕翻訳者には正しい日本語を使ってほしいと思うのは駄目ですか。
もちろん、面白い字幕は歓迎します。

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