夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『もち』

2020年08月31日 | 映画(ま行)
『もち』
監督:小松真弓
出演:佐藤由奈,蓬田稔,佐藤詩萌,佐々木俊,畠山育王他
 
TOHOシネマズ梅田で前述の『はちどり』を観た後、テアトル梅田へ移動して。
 
岩手県一関市を舞台にしたご当地ムービー
役者は演技経験のない地元の人々だそうです。
 
14歳の中学生ユナ(佐藤由奈)は、閉校が決まった中学校にかよっている。
この学校の最後の卒業生になるのだ。
 
祖母が亡くなり、その葬儀を執りおこなう日、
祖父(蓬田稔)は突然、餅を搗くと言い出す。
すでに餅搗き器で搗いた餅があるというのに、何を思ってのことか。
祖父に言われるままに臼と杵を持ち出し、合いの手を入れるユナだったが……。
 
岩手県一関市本寺地区はおよそ800年前の景観がそのまま守られてきた土地だそうです。
ここには古くから餅の文化が根付き、ひとつの臼で餅を搗いては皆で食べるのが当たり前。
餅に込められた意味に触れることができます。
 
ただ、正直言って面白い作品だったかと聞かれると微妙。
60分の作品なのに、普通の尺の作品と同じ鑑賞料金だし、
演技経験のない人ばかりだから、いろいろと素人くさいのは否めません。
 
だけど、ご当地ムービーは否定しちゃいけないだろうと思うのです。
住民が参加して、盛り上げて、1本の映画を撮る。
それをつまらんだとかなんとか、一刀両断することなんてとてもできない。
みんなで映画をつくり上げた、そのドキュメンタリーとして観るべきかと。
 
餅にデコレーションして好きな人にプレゼントするのを見るのは初めて。
これって、餅が硬くなったりしないんですか。
って、どうでもええか、そんなことは。(^^;

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『はちどり』

2020年08月30日 | 映画(は行)
『はちどり』(英題:House of Hummingbird)
監督:キム・ボラ
出演:パク・ジフ,キム・セビョク,チョン・インギ,イ・スンヨン,パク・スヨン,
   ソン・サンヨン,パク・ソユン,チョン・ユンソ,キル・ヘヨン他
 
TOHOシネマズ梅田にて。
第七藝術劇場でも上映中。そうですよね、これってどう考えてもミニシアター系。
どうしてシネコンで上映することになったのか知りたいぐらい。
歪な形状のシアター4にて。上映終了後に即退出する必要があったので端っこ席を確保。
 
韓国期待の女性監督キム・ボラの長編デビュー作。
 
1994年のソウル。
14歳の女子中学生ウニは両親、姉、兄と共に集合団地に暮らす。
学校になじめず、同じ漢文塾に通う別の学校のジスクが唯一の友だち。
 
商店街で餅や惣菜を売る店を営む両親の関心は、
兄デフンの大学受験と、家を抜け出しては遊びに行こうとする姉スヒに向けられ、
ウニはほとんど気にかけてもらえない。
ウニを竹刀で殴るデフンのことを告げようが、耳の後ろにあるしこりのことを話そうが、
両親は実にあっさりとした反応。
 
ある日、漢文塾に新しい女性教師ヨンジがやってくる。
最初は素っ気ない印象を受けたものの、
ウニの話にきちんと耳を傾けてくれるヨンジ。
そんなヨンジのことを大好きになり、全幅の信頼を置くウニだったが……。
 
1994年といえば、韓国が急速な経済発展を遂げていた時代。
しかし圧倒的に男性優位社会で、子どもたちが父親に敬語を使って喋る様子に、
戦時中かよと思いました。継父かと思ったら実父でびっくり。
これが1990年代を舞台にしているなんて、嘘みたいです。
日本でもベストセラーになっている『82年生まれ、キム・ジヨン』を思い出しました。
時代がかぶる。まさにこんな感じ。レビューはこちら
 
キム・セビョク演じる漢文塾の教師ヨンジがとてもいい。
兄から暴力を受けたり、親友と喧嘩したりして悩むウニに煎れる烏龍茶。
黙って殴られていることが美徳ではないのだと静かに諭すシーンもよかった。
 
娘のことなんて無視しているかのような父親が、
その娘が手術を受けて後遺症が残るかもしれないと知ったときに泣いたり、
妹を殴り倒すような兄が、妹が事故に遭っていたかもしれないと知って泣いたり、
そのシーンは感動的というようなものではなく、とても不思議でした。
こんな男性陣にも娘や妹を思う心があったのか、でもだから泣いたとも思えず。
 
理解できないシーンがいっぱいあったけれど、
感性に訴えかけてくるとでもいいましょうか。
すごく好きな作品でした。

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『#ハンド全力』

2020年08月29日 | 映画(は行)
『#ハンド全力』
監督:松居大悟
出演:加藤清史郎,醍醐虎汰朗,蒔田彩珠,芋生悠,佐藤緋美,坂東龍汰,鈴木福,篠原篤,
   植野行雄,甲斐翔真,仲野太賀,志田未来,安達祐実,ふせえり,田口トモロヲ他
 
まずは109シネマズ大阪エキスポシティにて『ダンケルク』(2017)のIMAXレーザーGT版を鑑賞。
通常版を観てから3年近く経過しているわけですが、
衝撃度の高い作品だったため、わりと覚えていました。
しかし、陸と海と空とで時間の切り取り方が違うのが1回観ただけではわかりにくかったから、
再鑑賞は大正解。そしてエキスポシティのIMAXシアターはやはり凄かった。最高です。
 
興奮冷めやらぬうちにエキスポシティを退出して、イオンシネマ茨木へ。
21時半を回ってからスタートの本作を観ました。
 
熊本県の仮設住宅で両親と共に暮らす高校生・清田マサオ(加藤清史郎)。
以前はハンドボール部に所属して真剣に練習していたが、
震災をきっかけにそれができなくなり、今はスマホ命。
 
ある日、自分がハンドボールをしていた頃の写真を眺めていると、
なかなか格好良く撮れているものがある。
インスタ映えしそうな写真を何気なく投稿したところ、
いつもは3つか4つしか付かない「いいね!」がみるみる間に増えてゆく。
どうやら閲覧者が直近の写真と誤解したらしい。
 
これに気をよくしたマサオは、親友の岡本(醍醐虎汰朗)と悪乗り。
“#ハンド全力”としてハンドボールをしている写真を捏造、投稿し続ける。
するとフォロワーが何万人まで膨れあがり、マサオは上機嫌。
 
噂を聞きつけた男子ハンドボール部の部長・島田(佐藤緋美)が、
廃部寸前の部を救ってほしいとマサオと岡本をスカウトしにくる。
真面目に部活をする気などさらさらないふたりだったが、
インスタの反応が嬉しくて、写真を撮るためだけに入部するのだが……。
 
ハンドボールというと、大学時代の体育の時間を思い出します。
私たちの時代でも珍しいことだと思うのですが、
なぜかウチの大学の体育は男女混合でした。
前期と後期に分けて3種目、男女混合で試合をしました。
私は卓球バスケットボールのチームに振り分けられ、
特にそのバスケの試合がめちゃめちゃ面白かった。
ラグビー部所属の男子は肩入れて走るし、
ハンドボール部でキーパーを務めていた男子は、
味方のゴール下から相手のゴールへ一気にシュート。届くんだから凄い。
そんなことを思い出しながら、楽しく鑑賞。
って書いてから調べたら、私、前にもこの話書いてた。(^^;
しかも前はアメフト部と書いたけれど、ラグビー部の誤りです。
 
お馬鹿なだけの映画かと思ったら、そうでもない。
震災で気力を失った高校生たちがどう生きてゆくのか。
捏造がバレたときの世間の反応、SNSの炎上、それにどう立ち向かうか。
 
松居大悟監督の描く男子高校生や女子高校生は、
ちょっと説教してやりたくなるタイプも多い。
本作の場合は、マサオに説教する女子がちゃんといて、こっちの出る幕なし(笑)。
 
女子ハンドボール部のエース役を務める芋生悠がカワイイ。
マサオの兄役の仲野太賀はどんどんいい役者になっているし、
両親役の田口トモロヲふせえりもよかった。
 
いろんな意味で「今」の映画。
でも、今時の人じゃないオッチャンオバチャンも楽しめます。

ところでハンドボール部だった人、すみません。
ハンドボールを「送球」と書くことを生まれて初めて知りました。(^^;

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『海辺の映画館 キネマの玉手箱』

2020年08月28日 | 映画(あ行)
『海辺の映画館 キネマの玉手箱』
監督:大林宣彦
出演:厚木拓郎,細山田隆人,細田善彦,吉田玲,成海璃子,山崎紘菜,常盤貴子,小林稔侍他
 
申し訳ないことですが、昔から苦手なんです、大林宣彦監督。
しかし今春この世を去られてこれが遺作になりました。
苦手だと言っても大監督、敬意を払って観に行かなくちゃ。
 
TOHOシネマズ西宮へ。
20:15上映開始でまさかの179分。予告編が15分近くあるから、終わったら23時半。
家に帰ったら日付変わるっちゅうねん。あー、しんどと思いながら。
 
なぜか原作は『波の上のキネマ』だと思い込んでいました。
映画館、海と波で私の完全な勘違い。
映画化したらえらく変わるものだと思っていたのが可笑しい。
まったく別物なんだから、全然ちがって当たり前。
 
尾道の海辺にある唯一の映画館“瀬戸内キネマ”が閉館を迎えることに。
最終日のオールナイト上映は“日本の戦争映画大特集”。
鑑賞していた毬男(厚木拓郎)、鳳介(細山田隆人)、茂(細田善彦)は、
突然スクリーンの中の世界にタイムリープしてしまう。
 
最初は何がなんだかわからなかった3人だが、
上映中の戦争映画の中を旅していることに気づく。
やがて原爆投下前の広島に迷い込み、
女優の百合子(常盤貴子)、一美(成海璃子)、和子(山崎紘菜)らが所属する、
移動劇団“桜隊”と出会うのだが……。
 
ごめんなさい。やっぱり私は苦手です。
話にもノリにもまったくついていけなくて。う~む。
 
しかし、大林監督の作品を観るといつも思うことですが、
好きだという人の気持ちがわからんこともないのです。
「こんなもん誰が好きやねん」じゃなくて、
「好きな人はめちゃめちゃ好きやろなぁ」と思う。
本作も“尾道3部作”に惚れ込んでいる人にはたまらんでしょう。
 
映画じゃなくて舞台みたいで、とことんファンタジー。
私は最後まで苦手だったけれども、それはそれ。
大林監督が亡くなったことは本当に残念です。
私が苦手な作品を撮りつづけてほしかった。
 
余命わずかと宣告された監督が睡眠時間2時間で本作の撮影に臨んだとのこと。
毎日終業後に映画を2本観に行って睡眠時間4時間になったところで、監督の倍寝てるがな。
まだまだ私もがんばれそうな気がします。

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『八王子ゾンビーズ』

2020年08月27日 | 映画(は行)
『八王子ゾンビーズ』
監督:鈴木おさむ
出演:山下健二郎,久保田悠来,藤田玲,丘山晴己,小澤裕太,高野洸,牧島輝,
   三浦海里,才川コージ,早乙女友貴,坂東希,今田耕司,勝矢,RIKACO,松岡充他
 
観た順にUPの鉄則(一応)を破ってたまに順序を入れ替えていたら、
なんと今月初めに観た作品を今月終わろうかという頃にUPすることになってもた。
 
今月1日は土曜日、ファーストデーだというのに休日出勤でした。
もしも夕方4時ぐらいまでに仕事が終わって帰れたら、
晩ごはんの前に1本ぐらい映画を観られそうだと思いましたが、
先月40本劇場で観ているから、観るものがない、ない、ない。
同週末に封切りになった作品があるにはあるけれど時間が合わず。
唯一、時間が合って未見だったのがこれ。
 
森三中・大島みゆきの夫で人気脚本家の鈴木おさむが監督。
同名のヒット舞台劇なのだそうで。
主演の兄ちゃんはEXILEっぽいなと思ったらやはりそう、
この人も含め、ゾンビーズに扮する面々のことは誰も知りません。(^^;
 
ダンサーになる夢をあきらめた羽吹隆(山下健二郎)は、
八王子の山奥にある希望寺で自分探しの修業体験中。
満月の夜には裏手の廃寺に決して近づいてはならぬと言われていたが、
つい廃寺の前でダンスの練習を始めてしまった隆。
 
突然そこへゾンビが現れたと思った瞬間、
住職の孔明(松岡充)が用心棒の一刃(早乙女友貴)と水刃(坂東希)を率いて登場。
一刃と水刃はゾンビに刀を向けてめった刺しにする。
ゾンビなのでもちろん死なないが、焼けるような痛みを感じている様子。
舌なめずりする一刃や水刃と、満足げな孔明。
 
翌日、孔明の弟子で、隆の面倒を見てくれている宝田(勝矢)が、
今晩も廃寺に来るようにと耳打ちする。
満月の晩にしかゾンビは出ないはず。おそるおそる廃寺へ行く隆。
 
するとその晩もやはりゾンビが現れるではないか。
逃げようとする隆に、彼らは“八王子ゾンビーズ”を名乗り、
どうかダンスを教えてほしいと懇願し……。
 
仁(久保田悠来)をリーダーとするゾンビーズは元不良の集まりで、
彼らに私怨を持つ孔明が彼らを成仏させまいとしています。
彼らの肉体を殺しはしたけれど、魂はさまよわせることが目的で、
満月の夜のたびにこうして彼らを苦しめているんですねぇ。
それが、殺陣を躱して満月に向かって踊ることができたら成仏できるって。(^O^;
 
元が舞台劇なだけあってわりとベタ。
最初はそのノリにちょっと躊躇していましたが、
ほかの観客が笑うのに釣られて私も笑う。
なんせ、タイプでないとはいえ、ゾンビたちがイケメンだし。
いや、特殊メイクで素の顔はなかなかわからないんですけれど、たぶんイケメンでしょう。
 
何も考えずに楽しめる作品、と言いたいところ、
でも、「償う」ということについてはあれこれ考えさせられます。
 
追記:本作を観た今月初めは主演の山下健二郎のことを知りませんでしたが、
   一昨日の晩に『ごぶごぶ』を観て、「おおっ!この兄ちゃん♪」。
   飲食店に行き、「この人の名前で」と言って領収書を切ってもらう。
   グループ名とフルネームで領収書切ってくれと頼んだら、
   はたして店員は山下くんの名前を知っているのかというやつでした。
   店員さんは見事漢字でフルネーム書いてみせましたが、
   グループ名については「三代目の人」と書いてあってワラけた。
   ちなみにその店員さん、ちゃんとグループ名もわかっていたけれど、
   「英語がわからないから『三代目の人』って書いた」そうです(笑)。

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