顔見世が行われている京都「南座」。その西側にある和菓子のお店「祇園饅頭」。
文政年間に創業した和菓子の老舗です。文政年間は、1818年~1829年の10年間、日本の海に、イギリスなどの海外の船が現れ、シーボルトが長崎にやってきたのも、この時代です。慶長8年(1603)に京都四条河原で、出雲の阿国が、歌舞伎踊りをして以来、四条大橋の近くには、当初7つの芝居小屋が許可されます。火事などで、次々に歌舞伎興行をする場所は、廃業し、文政年間には、北と南側の2座のみに。「えーそのころから、このお饅頭屋さんあるんだー」。その後も2度ほど大火で2座とも焼失。明治26年に北側の座が廃業し、南座のみになり、現在に至ります。
「南座が火事で焼失するってことは、このお饅頭屋さんも火事にあったよねー。きっと…」
元の屋号は、「鶴遊堂」というそう・・・でも、みんな「祇園の饅頭屋さん」と呼ぶので、屋号自体を「祇園饅頭」に変えたそう。
ミモロがよく利用する東西線東山駅の平安神宮方向の出口を出て、1筋目の細い道ぞいに、いつも何人かが外で待っている和菓子屋さんがあります。
この道は、白川沿いに平安神宮方向への抜け道として、最近、観光客に人気。お隣は、そばの「桝富」、向かい側は、うつわの「阿閑堂」があります。
和菓子があるのは、店先の棚。普通の和菓子屋さんのように、和菓子が並ぶガラスケースもありません。「変わった和菓子屋さんだねー」と、ずっとミモロは、思いつつ、駅から家に帰る途中、お腹が空くと「ひとつください…」と、お饅頭やしんこを買っていました。
実は、この不思議な和菓子屋さんこそ、南座の隣りにある「祇園饅頭」の工場なのでした。
現在5代目となる林純一郎さんと、娘婿である安田就介さんが、南座にならぶ和菓子を作っています。
「もともとここでは、お菓子を販売していなくて、製造専門だったんです。でも、東西線が開通し、東山駅ができてから、ここを通る人が増え、お菓子を買いたいという声が高まったんで、販売もするようになったんです。ですから、お菓子を入れるケースもないんですよー」と、林さん。
店先にある和菓子を見て、注文すると、奥に置かれた和菓子を包んでくれます。
工場なので、南座のお店の開店する10時前に、そこに並べる和菓子を作らなくてはならないので、朝からご主人や和菓子職人さんたちが、忙しそうに働いています。
ミモロが、訪れたお昼には、もう和菓子づくりは一段落。工場は、しばしの静かさを取り戻していました。
「これでキンツバ焼くんでしょ」ミモロは、工場の中の道具が珍しくてたまりません。
「ミモロちゃん、こっち来てごらん・・・」と、ご主人が、工場の奥へミモロを連れて行ってくれました。その窓を開けると、目の前に白川の流れが。
「ここから、夏は、蛍が見えるんですよ。今は、鴨が来てます」。林さんも安田さんも、「白川を創る会」のワークショップの参加者。ミモロよりずっとずっと前から、白川の魅力を熟知し、それを守ろうとしている方々です。「ミモロも白川大好きでーす」。大好きな白川の流れが目の前にある景色は、いつ見ても心和みます。
さて、工場では、午後からは、明日の準備が始まります。北海道産の小豆をコトコトと煮て、餡子の準備が…。「美味しそうな匂い…」と、鼻をピクピクするミモロ。
暮れは、正月の鏡餅の注文もあり、工場の忙しさは、いっそうだとか。料理屋さんなどからの、正月飾りの鏡餅の注文に追われます。
午前中の作業を終えた、静かな工場の中を歩きまわるミモロ。やはり、できたての豆大福の前でピタリと足が止まります。「柔らかい皮とほどよい甘さのアンコがね、お口の中で調和して、美味しんだー」と、今にもよだれがこぼれそう。
その様子を見て「ミモロちゃん、今日はリポートに来てくれたから…」と、豆大福を2つプレゼントしてくださいました。「えー頂いていいんですか~」あまりのうれしさに声も震えるミモロです。
「では、遠慮なく・・・いただきまーす。ありがとうござました」というと、豆大福のはいった袋をうれしそうに持って家に帰ります。
「美味しいお茶煎れて、おやつにしよう…また、買いに来まーす」お正月を控え、観光客の姿もいくぶん少ない京都、東山エリアです。
*「祇園饅頭」南座横:京都市東山区四条通大和大路西入ル 075-561-2719 10:00~21:30
東山工場:京都市東山区三条通白川橋西入ル大井手町103 075-771-1353 販売は、10:30頃~夕方ごろまで
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私は工場でしか買ったことないけど、
手土産にしんこ饅頭持って行ったら、茶請けにだされたのが、同じ祇園饅頭の大福餅だった。 京都って、お饅頭屋さんが多いって聞いたけど、手土産にしたり、茶道も盛んやからかな?
どっちにしても、お饅頭屋さんが多いことは良いことです。
職人の世界は素晴らしいと思います。 特に日本の職人さんはどこか違う。
ところで 「しんこ」って何?と思ってしまいました。「お新香(お漬物)???」
調べましたら、東京では「すあま」らしいです。びっくりしましたー
「しんこ」って、御新香ではありません。
ミモロの知る「すあま」とは、ちょっと違いまーす。
だって、表面に粉がついてたもの・・・。
「しんこ」は、どちらかというと、「ういろう」に近い感じ・・・
艶やかで、モチモチしてます。
もともとは、夏のお菓子だったそうですが、
今は、1年じゅう見られます。
ここでは、ニッキなどもあります。
京都に来たら、食べてみてねー
東山駅そばを散策していたら行列を発見。
検索したところ貴ブログを発見し、次の日に買いに行きました。
お陰様で美味しい甘味にありつけ、楽しい京都旅行の思い出の
ひとつになりました。ありがとうございました。
ところでちょっと気になることが。ミモロさんが外歩いてる写真と工場で見学してる写真か載ってますが、まさか土足でお饅頭作ってる台に立ってるってことは無いですよねー。細かいことですか衛生的にちょっと...。食べ物屋さんでは靴は脱いでね。
立っているのは、機械やなんかが置かれてる場所。
ご安心くださいませ。
食品などの取材の折は、衛星に大丈夫なところまでしか、
ミモロは、立ち入らないようにしてますので・・・。
お家に上がるときも、靴は脱ぐようにしてるんですが、
でも、どうしても靴がないと立てない場合があるので…
靴下もってゆくこともあります。